第34話 ただの変態集団でした
「ああん、魔王様が突っ込んでくれたわ」
ガーゴイル達はお祭り騒ぎになっていた。
「……」
「初体験と突っ込んでもらえて……」
「か・い・か・ん」
俺にハートマークとウインクが飛び散るように言っていた。
「もう、ダメだ」
俺はあまりの衝撃でその場で座りこんだ。
「あわわわ」
あまりのダメージにスケルトン達が心配している。
「魔王様、懲らしめが足りないでしょうか……?」
いや……それ以上はやめてくれ……。
「お前達、魔王様が足りないとおっしゃっているぞ!」
スケルトンの声に反応した仲間達は、ガーゴイル達を縛っている縄をさらに締め上げた。
「ああん、魔王様……最高!」
「あー、もうやめてくれー!」
スケルトン達の予期せぬ行動に、俺はなす術もなく考えることをやめた。
「それで、お前達は何しにきたんだ?」
「ああん、魔王様そんな目で見て……逝っちゃう」
「……」
もう関わるのを本気で辞めようかと思うほどだった。
ガーゴイルの亀甲縛りなんて誰得でもない。
「いい加減にしろ」
「あっ、はい……」
俺は強めに圧をかけると魔物達は身震いをしていた。
「それで何しに来たんだ?」
「はい、ローゼ様に偵察に行ってこいと言われました」
さっきまでのキャラはどこかにいったのか真面目になっていた。
「ローゼ様?」
「魔王様、以前ここの屋敷に住んでいた魔族です」
ゴーレムに簡単に説明されたが、魔族のローゼという者がこの街を管理していたそうだ。
管理と言っても下位の魔物達を住ませて、上位に立っていただけで街として発展もしていなかったと……。
「そのローゼ様はどこにいるんだ?」
このままでは前の主人であったローゼが来る可能性がある。
「ローゼ様は魔族領の南側にある屋敷にいます」
今いる森を北に上がったすぐにある魔族領があり、方角的には一番近い。
「ならそのローゼ様にちゃんと話を通さないといけないっことだな」
だって今できることは交渉しかないのだ。
向こうに屋敷があるならここの街に住んでも問題ないだろう。
「!?」
俺の発言にガーゴイル達は驚いていた。
魔物達が知っている人間は自分勝手で魔物達を討伐して、魔族領を乗っ取ろうとする存在であった。
そんな中、話し合いで解決しようとする姿にガーゴイル達はメロメロになっていた。
「あーん、魔王様最高ですわー!」
「うっ……」
「もう、魔王様の下で夜のお仕事しますわ」
「……いや、それは絶対やめてくれ」
「そんなことを言わず、このガーゴイルを抱いてください」
ガーゴイルは止められないほど暴走していた。
ローゼの命令で偵察に来たのに、自身の主人の元へ戻らないと言い出したのだ。
俺としては、街に魔物が増えるのは良いことだが、ガーゴイルが増えるのはどうしても教育上良くない。
「ここには子どももいるんだぞ!」
俺はスライムをガーゴイルに突き出すと魔物達は首を傾げていた。
「魔王様? スライムは魔王様より何百年も年上ですよ?」
「へっ……?」
どうやらスライムは長寿らしい。
全然雑魚キャラじゃない……。
「魔王様、ここは魔王の力を見せて帰らせるべきですよ」
ゴーレムの言葉に俺もハッとした。
患者であるガーゴイルをそのまま帰したら、また空から降ってきて他の魔物達にも迷惑になる。
「ああ、ここはリハビリをしてから帰すべきか……」
俺はこの時に気づけばよかった。
このガーゴイル達の性格?
いや、性癖を……。
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