第23話 リハビリ小屋の模型
小屋に着くとまずは家の中にスケルトン達を案内した。
今回は10体ほど人型から動物型まで様々な形態をしたスケルトンがついてきた。
基本的に強い魂が宿った生物の骨を元にスケルトンが誕生するらしい。
扉を開けるとメタルスライムが小屋の真ん中で寂しそうに待っていた。
メタルスライムは見た目より重さがあり、移動速度も遅いため小屋で留守番をしていた。
俺の顔を見ると勢いよく転がってきていた。
「ただいま! こんなに待たせてごめんな」
俺はメタルスライムを撫でると満足したのか、後ろから付いてきていたスケルトン達に興味を示した。
「ああ、これから一緒に働くことになったスケルトン達だ」
紹介するとメタルスライムもすぐにスケルトン達と打ち解けていた。
そもそも、スケルトン達のコミュニケーション能力が異常に高い。
嫌われ者同士、コミュニケーション講座でもしていたのか……。
「それで小屋でも日が入ってくるからだめだよな?」
小屋でも空気を通すために窓のような穴がいくつか存在していた。
「そうだな。昼間は日が当たらないところに入れば問題ないがこの大きさなら身動きも出来ないぞ」
基本的に小屋自体は小さいため、リハビリを待っている人は外で待機している。
スケルトン達も骨標本として用がある時以外は外にいる必要がある。
そのため、昼間は外を移動しないといけないが、小屋がある環境がそもそもスケルトンが住むのに適していなかった。
「小屋を増築しないといけないのか……」
この問題を解決するには小屋の増築しかなかった。
もしくは、リハビリ自体を暗くなってからやるしか対策はないのだ。
すると話を理解したメタルスライムが分離し、スケルトンの体に包み込むように引っ付いていた。
「おおお、なんだ!?」
急な出来事にスケルトンも驚いていた。
その時、ウィンドウが表示されていた。
――上腕骨骨幹部骨折保存療法(メタルスライム固定)
応急処置として割れた骨をくっつけていたが、メタルスライムが包み込むことでギプス固定の役割を果たしていた。
「おー、これで骨の固定ができるのか!」
スケルトンから顔を少し出したメタルスライムは頷いていた。
しかし、それだけではなかった。
メタルスライムは外に出るようにスケルトンに合図を送っていた。
「外に出るのか? もう日が出てきているぞ」
スケルトン達が住んでたところと距離があるため、移動と話し合いで気づいたら朝になっていた。
それでもメタルスライムは外に出てとスケルトンに頼んでいた。
「わ……わかった!」
命がけでスケルトンが少しずつ小屋から出るとスケルトンは形も崩れずその場で立っていた。
「うぉー、これで自由だ!」
スケルトンは日を浴びて喜んでいた。
どうやら日に当たると崩れ落ちるのがスケルトンの世界では一般常識らしい。
メタルスライムコーティングをしていれば、日は直接メタルスライムに当たるからだろう。
「これで正式採用だな」
「おお、よろしくな」
俺はスケルトンと握手をすると、そこにも変化が現れていた。
強く握っても骨が折れることはなかった。
「うおぉぉ!?」
あまりの変化にスケルトンは戸惑っていた。
これが後に最強のスケルトンになるのかどうかは別の話で語りましょう。
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