第15話 起立性低血圧
起立性低血圧とは、急な姿勢変化で急激に血圧が下がり体全体に血液が行き渡らない状態を言う。
普通なら自律神経によって、自然と血圧が下がらないように維持する働きがあるがゴブリンは何かしらの影響でその機構がダメになっているのだろう。
一般的に循環血流量の問題だが著しく筋萎縮をしている足も原因の一つになっているのだろう。
「一般的に血が巡ればこういう症状は出ないがゴブリンは足が痩せ細ってるし、血を体に戻す力が足りないんだろうな」
「ん……うん?」
魔物達は理解していないため、俺は話を砕いて説明した。
「まずはゴブリンの痩せている足は下腿三頭筋と言って、第二の心臓と言われている大事な筋肉なんだ。その筋肉がしっかり動くことで血液を心臓に戻す助けをしているから何かしらの影響で血流を戻す力も弱く、筋肉も使えなくなっているから血液を戻せないんだと思う」
他にも問題点はあると思うが俺ができるのはこれぐらいだ。
「ってことは血液が戻ればゴブリン達はふらふらしないってことか?」
コボルト達も一緒に勉強しているのか、みんなで考えていた。
本当は魔物って人間よりも優秀なのかもしれない。
見た目もモフモフしているやつもいて可愛いしな。
「起立性低血圧が原因であればそういう考えもあるかなって」
俺の言葉にコボルト達は少しずつ尻尾を振っていた。
その姿はご主人様に褒めて貰いたい犬だ。
それに気づいた俺はコボルトを撫でると他のコボルト達も近くに寄ってきた。
これがいわゆる"モフモフ天国"なんだろう。
俺は一通りコボルトを撫で終えると説明を続けた。
「だからまずはしっかり座った状態で血圧管理ができることが重要になると思う。ゴブリンの場合、血流を戻す体の力がないから足でカバーしてどうにかなればいいが……」
ゴブリンは人間と構造も若干違うが自律神経がうまく働かない原因は他にもあるはずだ。
そもそも、自律神経の概念があるかどうかもわからない。
一つ言えることはウィンドウにも出てきた、痩せ細った下腿三頭筋が何かしらの糸口になっているといつことだ。
「これからはここで一緒に頑張ろうな」
俺はニヤッと笑い、ゴブリンの肩を叩いた。
「魔王様だー!」
決してそのつもりはないが、まるで魔王が微笑んでいるようにゴブリンは感じているのだろう。
ゴブリンの叫び声は俺に届くことなく、ゴブリンは強制的に入院することが決定した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます