第14話 ゴブリンの状態
それからすぐにゴブリンのリハビリが始まった。立って行うと血圧が下がってしまうため、寝た状態でまずは始めることにした。
「足をパタパタ上下に動かしてください」
まずは簡単に足の上下運動から開始だ。
寝ているため、重力がかかっていない状態であれば負荷量自体も少なく運動ができる。
「うー」
それでもゴブリンから声が漏れ出ていた。
簡単な運動でさえ、回数を増やすと耐久性がなく動けなくなる。
「じゃあ、このまま後100回はやってね」
俺は笑顔のままゴブリンを見下ろしていた。
「ひょっとして人間の姿をした魔王様――」
その姿はゴブリンにとって俺は魔王にでも見えたのだろうか。
魔物達からも魔王という存在は恐怖の対象なんだろう。
「ははは、そんなこと言う奴には100回追加だね」
ゴブリンのことを思って俺は回数を追加した。
運動の負荷自体はそこまで強くないため、ゴブリンへのリハビリ内容としてはちょうどいいぐらいだろう。
「うっ……」
リハビリの様子を見ていたコボルト達も絶対に逆らったらいけないと感じたのだろう。
一生懸命コボルト達もリハビリを行っていた。
「あはは、冗談だけど……まぁ、それぐらいやらないと良くはならないからな」
「やっぱり魔王様じゃんか!」
俺は魔物達との関わりに少しずつ楽しさを感じていた。
異世界に来てから優しく接してくれたのも魔物達。
人間と関わってないから分からないが、よっぽどパルス帝国の人達よりは仲間思いで道徳心があった。
「おっ、もう100回できたか?」
それだけ話す気力があるのなら大丈夫そうだろう。
俺の問いにゴブリンは頷いたため、次の訓練に進むことにした。
「なら次は座ってみてふわふわするようだったらすぐに寝てくれ」
ゴブリンはゆっくりと体を起こしそのまま座った。
「大丈夫そうだ……」
特に変化はなかったが、俺が予想していたことが起きた。
数分するとゴブリンの体の色味が変わり、次第に揺れたと思ったらそのまま倒れたのだ。
「やっぱりか」
倒れる寸前に俺はゴブリンの体を支え、ゆっくりと寝かした。
そしてまたすぐにメタルスライムの上に足を置き血流を戻した。
「なんでオラが倒れるってわかったんだ?」
「ゴブリンって自分のことをオラって言うのか……」
まさか自身のことを"オラ"ということに内容よりも一人称が気になった。
だがそこはすぐに頭を切り替え、ゴブリンに説明した。
「たぶん起立性低血圧だと思うよ」
ゴブリンだけではなく、コボルトやスライム達も聞いたことない言葉に首を傾けていた。
――起立性低血圧
リハビリをするのに結構厄介になるやつだ。
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