第13話 原因
表示されたウィンドウには見慣れた言葉が書いてあった。
――下腿三頭筋
下腿三頭筋とはいわゆる
下腿三頭筋は、腓腹筋とヒラメ筋で構造されており、血流を促す筋肉で第二の心臓と言われる部位だ。
「やっぱり下腿三頭筋が異様に萎縮してるからこんなに顔色が悪いんですね」
下肢を挙上させたときになんとなく思ったのはひょっとしたら心臓に戻す血液が足りないのではないかと思ったのだ。
足を上げることで心臓に血液を戻しやすくするのだ。
その結果、顔色は良くなったため単純に血圧が下がっていたのだろう。
普通の人や魔物で有ればある程度動くことで筋肉が収縮され血液が押し出されて心臓に戻っていくが、下腿三頭筋が萎縮すると血液を押し戻す力が弱くなっていたのだろう。
ゴブリンは成長と共に下腿三頭筋が萎縮する種族。
本当に魔物を知るたびに変わった体の構造で異世界に来ても毎日勉強ばかりだ。
「下腿三頭筋を鍛えればふらふらするのがどうにかなるかも知れないですね」
俺の言葉にゴブリンは驚きの表情をしていた。
今まで治らないと言われていたものが治るって聞けば驚くのも無理はない。
「なぁ……治るのか?」
「まぁ、やってみないとわからないですが、リハビリに通ってもらえばどうにかなると思いますよ?」
一ヶ月程度動いていないだけで、50%程度は筋萎縮すると言われている。
動いていても筋が萎縮しているのならリハビリにはたくさんの時間がかかるだろう。
それでも俺の言葉を聞いてゴブリンは涙を流していた。
ただゴブリンはこの時はまだ気づいていなかった。
長年の筋萎縮を改善させるために行うリハビリの大変さを……。
そしてリハビリをしている時の俺の恐ろしさを……。
って俺はいつでもめちゃくちゃ優しいけどな。
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