第2話 俺見えてるか?
「勇者達よ! 勝手に召喚してすまなかった」
煌びやかな服を着た男性が高校生達に頭を下げていた。
「王様、頭をお上げください」
「それは聞けぬ。勝手なことをしたのは私達なのだ」
「ですが……」
「うん、めちゃくちゃ胡散臭いな…….」
明らかに演技だと匂わせる男性二人が話しているところを見て思ったのは全てが演技に見えた。
「えっ、俺達が勇者なのか?」
「ああ、そうみたいだな」
「涼くんこわーい」
そんな中女子高生二人は同級生に抱きついていた。
「えっ……」
そして一番戸惑っていたのは、一花と呼ばれていたコンビニ店員であった。
「おい、おっちゃん!」
「お主王に対して無礼だぞ」
一人の騎士が剣を抜刀し、男子高校生に刃を向けた。その迫力に彼らは息を飲んでいた。
「団長も辞めぬか! 勇者達よ本当にすまない」
「あっ……」
「こちらこそ王様だと分からず申し訳ありません」
すぐに機転を利かせたのはゲームをやっていた涼と呼ばれている子だ。
「勇者達も突然呼ばれて混乱しているだろう。まずは少し休憩できるよう部屋を用意しよう。落ち着いたらまた集まってくれ」
「はっ!」
王と話していた男性はすぐに返事をすると、周りに指示をだし高校生五人は案内されていた。
「あれ、俺は?」
騎士達が去っていく中俺だけが広間に一人残されていた。
俺の存在にいつ気づくのだろうか。俺はしばらく待っても気づかれることなく待っていた。
「あのー、すみません」
「ん? お前どこから侵入したんだ!」
俺は声をかけた騎士に剣を向けられていた。
すぐに手を挙げ戦いの意思がないことを伝えても剣は俺に向けられていた。
「いや、俺が聞きたい。いつのまにかここにいてさっきの奴らと同じとこから来たんだが……」
騎士は俺を上から下まで見た。きっと服装を見ているのだろう。
「ひょっとして勇者様ですか?」
「いや、勇者なのか?」
「神のお告げでも勇者は四人か五人と言われているはずなんだが……」
「そうなのか?」
「とりあえずすぐに伝えてきますのでお待ちください」
騎士はそういうとどこかへ走って行った。
「やっぱり俺って巻き込まれて来た感じなのか……」
慶はしばらく考えているとさっきの騎士が急いで戻ってきた。
「お待たせしました。部屋の用意がまだ出来ていないので先に違う部屋に移動してもらってもいいですか?」
やはり俺は免れざる客のようだ。
騎士に言われるがまま着いていくと、小さな会議室のようなところに俺は連れて行かれた。
移動している間にこの世界のことを聞くと、どうやら数百年に一度魔王の復活によって魔物が活発化して街を襲っているらしい。
その魔王や魔物の討伐のために俺達は異世界から召喚されていた。
「ではしばらくお待ちください」
騎士は俺に一礼すると部屋から出て行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます