"魔王様"と呼ばれた男のリハビリスローライフ。魔界のリハビリ教室は今日も賑わっています〜外れスキル【理学療法】は魔物を強化できるらしいです〜
k-ing@二作品書籍化
第1話 ここはどこだ?
「魔王様ー!」
「俺は魔王じゃない!」
俺はいつから魔王と呼ばれるようになったのだろうか。
ただ楽しく生きていたらいつのまにか魔王と呼ばれていた。
小柄な幼女は俺の背中に乗るといつものように首を傾げていた。
「魔王様は昔から魔王様だよ?」
そういえば魔王様と呼ばれるきっかけはこいつだった。
♢
「はぁ、今日も疲れた。いつまでこんな生活が続くんだろうか……」
流行りウイルスが流行している中、病院勤務している俺はコンビニで晩御飯を買っていた。
ウイルスの流行で病院はどこも満床となり世界は一変した。
「まぁ、リハ科の俺には関係ないけどボーナスが減るんだよ!」
お弁当を右手に持った俺はいつのまにかその場で大声を出していた。
リハビリテーション科で働いている俺には直接関係ないがウイルスが流行る前と比べて、病床の空きを確保するためにリ一つのフロアをウイルス患者専用の病棟にすることで病院の入院患者は減っていた。
その結果、リハビリ適用の患者数は減り、以前より感染予防に対しての仕事量が増え病院自体の利益は減っていた。
「すみません、お客様! 感染予防のためにマスクは鼻まで上げてもらってもよろしいでしょうか? あと大声は控えるようお願い致します」
端正な顔立ちをしたコンビニ定員が声を掛けてきた。
「あっ、すみません」
俺は急いでマスクを上げると少女の目元は笑っていた。
「いつもお仕事お疲れ様です」
彼女は品出しに途中だったのか、パン売り場へ戻って行った。
「今時あんなにしっかりした子が居たんだな」
俺はお弁当を籠に入れ、レジを終えるとコンビニの出口に制服を着ていた高校生達が数人集まっていた。
俺は買ったコーヒーを飲みながらそんな高校生達を見ていた。
「いい加減カラオケ行きたいよな」
「私も歌いたいー! あっ、肌荒れがすごいからマスク外せないわ」
「最近聖奈の肌荒れヤバイよね。マスク付けてるから仕方ないけどさ」
女子高生が手を伸ばし隣の子のマスクを取った。
「ははは、本当にニキビできてるやん!」
「もう、由香返してよ」
「いいじゃん! せっかく可愛い顔を出さないと台無しじゃんか」
女子高生二人はワイワイと戯れあっていた。以前当たり前に見ていた光景なのに何故か俺には懐かしく感じていた。
高校生が集まって夜遅くまで話す光景なんてもう何年も見てないのだ。
「そういえば涼は今何のゲームをやってるんだ?」
「ああ、モンスタークエストだ」
「ああ、モンクエか。俺魔法使いが出てこないゲーム苦手だわ」
「あのー、聖奈ちゃんと由香ちゃん。お店の前でもマスクを着けてもらってもいいですか?」
そんな高校生達に声をかけたのはさっき俺に声をかけた彼女だった。
名前を知っていることから同じ高校生なんだろう。
「ああ? あっ、一花じゃん!」
「えっ、どこ?」
男子二人がコンビニ定員である彼女に顔を向けると、女子高生二人は彼女を睨んでいた。
せっかくの可愛い顔が睨んでいたら勿体ない。
「ほんとに一花は真面目なんだから! マスク付ければいいのね」
女子高生二人はその場でマスクを着けていた。
「高校生も大変だよな」
俺はそんな高校生達を見て青春しているなーと感じていた。俺も随分年を取ったものだ。
その瞬間急に地面が光り出し、謎の文字と絵が描かれていた。
――魔法陣
俺の頭の中ではファンタジーの世界で見る魔法陣が浮かび上がったように見えた。
「えっ、なにこれ涼くん怖いよ」
女子高生二人は各々男子高生に抱きついていた。
「あー、そういうことね」
きっと女子高生達はあの男子学生のことが好きなんだろう。
俺は他人事のように見ていたが自然と自分の足元まで魔法陣が広がっていたことに気づいた。
「キャー!」
気づいた時には女子高生の声とともに視界は真っ白となった。
♢
「召喚に成功したぞ!」
「うぉー!!」
「今回の勇者は五人もいるぞ」
「静かにするが良い。勇者達が戸惑っているではないか」
辺りから歓声と威厳のある声が響いていた。
「くそー、目がチカチカ……何だここは?」
俺はゆっくり目を開けると先程まで青春をしていた高校生五人が煌びやかな服を着た男と甲冑なのか騎士と思われる人達に囲まれていた。
俺はなぜか少し外れたところで床に座っていた。
──────────
【あとがき】
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