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「君には本日付で移動してもらうことになった」
翌日、偉そうにふんぞり返っている男から言われた言葉に、アルファードは目を見開いた。
「なんで、俺は、来週だったはずです!」
「カール君から連絡が来た。お前が何か企ててるとな」
男の返答にアルファードは舌打ちをしそうになる。余計なことをする男だ。今まで、シュヴァルツの部下が予定より早く飛ばされたのもカールの仕業に違いない。昨日の会話から推測して話したのだろう。
「こちらとしては、これ以上優秀な人出を失うわけにはいかないのでね。未来の為に」
「『未来の為に』なら、先にアンタみたいな奴がいなくなればいいんじゃないか」
ポツリ、と呟いた言葉に男は一度驚いて見せたが、すぐに胡散臭そうな笑顔を見せる。
「おいおい、笑えない冗談は止してくれよ」
「冗談じゃないね、責任はあんた達にあるんだ。あんた達が処刑されるべきだ」
「何を――」
男の台詞を遮るように、ノックの音が響く。男は「ああ、どうぞ」と返答をすれば、一人の男が部屋に入ってきた。短く切られた色あせてしまっている茶髪に、頬に走る傷跡。反乱軍が雇い入れた傭兵団の隊長の男だ。
「ああ、申し訳ない、また出直す――」
「いや、構わん。もう話は終わったのでね、兎に角、君の移動は明日だ。荷物をまとめて置くように。それに、先ほどの暴言。シュヴァルツとの面会はもう許さん。連れて行け」
ドン、と押されてアルファードは部屋から外に出る。怒りに任せて思いっきり扉を殴れば、近くを通っていた兵がぎょっとした顔でアルファードを見た。
「どうすれば、いい」
アルファードはカールが憶測したように、シュヴァルツを助けるつもりでいる。
何が今度は一人の命ですむ、だ。そんなものは、ただの自己満足であり、まわりはたまった物ではない。
しかし、自分はもうシュヴァルツに会いにいくどころか、牢獄に近づくことさえもできないだろう。しかし、シュヴァルツを死なせる気はない。
「どうすれば――」
アルファードははっと視線を上げた。最適な人物がいるではないか。アルファードは、扉に視線を向けた。
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