追いかけ合い

明日は、我が父親の命日だ

私は子供の頃から父親っ子だった

お父さん大好きで、よくお父さんと遊ぶのが好きだった

お父さんは今、天国で何をしているかしら

お父さんの死因は事故だ

違法スピードで走っていた車に轢かれてしまった

即死だった

その轢いた人は、確か女の人

あの時の私は子供だったけど

その女の人はあどけなさのある愛らしい雰囲気だった

人は見かけによらずというものだ

さて。そろそろ外へ行こう

外の空気を吸ってこよう

私は外へ出る

都内の街を散歩する

人々が賑やかだ

すると前の方から何者かが走ってくる

何者だ?

どうやら人と.........

防衛服を着た人のようだ

追いかけっこになっている

前の側の人は走って防衛服の人から逃げているようだ

防衛服の人は「待て」と言っているようだが

その声は恐ろしかった

何かを仕留めようとしているようだ

そのような感じの声色だ

防衛服の人は、前の人を追いかけてどこかへ行ってしまった

前の人が私の横を通り過ぎると同時に、何かを落とした

どうやらカードのようだ

コーヒー専門店エスユー?

住所を見ると、どうやらこの近辺のようだ

探しに行ってみるか

コーヒー専門店のようだ

私は住所のところに行ってみた

するとあった

ここだ

中に入ろうとした

どうやら今は臨時休業のようだ

せっかく来たのに

諦めて帰ろうとしたその時

後ろから何者かがやってきた

かなり早い足音だ

そして目の前に突然現れた、全身防衛服の人

あの追いかけていた人だ


「いらっしゃいませ。突然の臨時休業ですみませんでした。今終わりましたので、どうぞお入りください。」


私は驚いたまま、中に入る

この人、この店の店員だったのか

席へと案内をされた


私「さっき、人を追いかけていましたね?」

店員「あぁ、あの人、代金を払わずに店を出ていきましたからなあ。」

私「そりゃ迷惑だ」


そういうことだったのか

それはお疲れ様だ

私はメニューを見て、バターコーヒーにした

すると店員は店の奥へ行った

いい香りがしてくる

やがて、コーヒーがやってきた

店員さんが持ってきた

どれどれ

美味しい!

バターのまろやかな塩みと苦味がうまく合わさっていて美味しい

良い逸品だ

自分はこのコーヒーを飲みきった

お会計だ

私は焦るようにお会計を済まようとした


店員「いいえ。いりませんよ。」

私「え?!」


すると店員は私の両腕に何かを付けた

手錠だ


店員「お客様は指名手配の車轢き逃げ犯ですね。」

私「違うわ。あれは私ではなく、あれは」

店員「作り物の記憶は良くないですよ。ある男性を轢いて亡くならせました。今、外にパトカーがいるよ。さあ、乗って。」


この時私は悟った

私は現実逃避をしていたのだ

父親は生きている

あれは作り話だ

さっき見た追いかけ合いのあの光景は、、、、

私を見せに呼び出す為の演技だったのだ

私は最近、あの道をよく通るから、覚えられていたのだろう

案の定、パトカーに乗ると

運転士はあの追いかけられていた人だった

私は終わった


終わり

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る