地獄の王 2

着物を着てみたい

それが日本人の心だから

僕では着れないのかな

だって下手なんだもん

着たところで、僕には無理そう

そういえば、あの王様なら合っていそう

地獄の王様

会ったことはないけど

厳しそうな感じのイメージではある

噂だけど

実際はどうなのだろう

僕は、あまりにも着物が着こなせないため

この度、あの王様に会うことに決定をした

お城までは少し遠いが

乗り物に乗ると割と近かった

お城を目の前にする僕

大きいな

中に入ろうとしたが

先ず兵士に止められた

「何者だ?」と聞かれたので王様に逢いたいと言った

そしたら「何用で?」と聞かれたので真っ白になった

しかし兵士は心を開いてくれたのだろうか それとも見下されているのだろうか「まあ、お前は王様には手も足も出ないよ。」と言われ、通してくれた

ラッキーなのかな

無事に中に入れた

広い

王様はどこだろう?

兵士がクスクスと笑いながら案内してくれた

王様の元へ

いよいよか

考えただけでドキドキする

バッグの中の着物を触ってみる

繊維質が心地よい

僕に着せてくれるかな。頼む人が何で王様なのだろうと思うが

本当はそういったお店の人でよかったはずなのに

それを後で考えたが

そろそろ会える


兵士「こちらだ。」


そうして連れて行かれると

目の前にとんでもなく美しい美青年だ

この人が、王様なんだ


兵士「この方が王様だ。失礼の無いようにな。何をするつもりか分からないが」


相変わらず、兵士は笑っている

僕は王様と話をすることにした

しかしいざそうするとなると何をいったらいいのか分からない

着物の着付けなんて、やっぱりそういったお店の方がよかったのでは

何で僕は王様に.........


王「こんにちは。何か悩み相談あるのかな?」

僕「あっ!」


焦った

僕は王様に対して世間話をしようとしている

国のことでも何でも無い

世間話 しかも僕個人の悩み

そういうのを王様に対して


王「何かを悩んでいるんだね。それでこちらに足を運んだのだね?」

僕「あ、はい ごめんなさい」


僕は何も言えなかった

事実だし、恥ずかしい


王「どうしたの?話してみてごらん。」

僕「あの、僕、着物を着付けられなくて」

王「着物を?」


僕は鞄の中から着物を出す

そして着てみる

が、やはり定まらない

どこもかしこも、ぶかぶかだ


王「ふむ。それはサイズが合っていないのかもしれないね。その着物、貰い物なのかな?」

僕「いいえ。お店で買ったもので。」

王「なるほど。君はなかなかいいけど、サイズ「測ってから買ってみることをお勧めしよう。」

僕「はい。ひょっとしたら、王様だったら似合うかもしれません。着てみてください。これを。」


僕は王様にこの着物を差し出した

すると王様は着てみてくれた

優しく取って

その姿もまた、へんてこりんだった

しかしそれは決して悪い意味では無い

王様はその着物を着れない

締まらないのだ

胸板が出ている

下も隠れそうにない


王「すまないね!俺も着こなせそうにないよ。難しい悩みに遭っていたんだね。」


王様は笑った。苦笑だったが。

僕も笑った

サイズだ

サイズを測るといいんだ


僕「ごめんなさい。僕はこれで帰ります。有難うでした」

王「またおいで。」


僕はお城を出た

兵士が僕をみて驚いていたのは無事だったからだろうけど、僕は単に悩み相談をしただけだ。

さて。帰ろう。我が家へ。

早く僕も王様みたいになりたい

早く寝なきゃ


終わり

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