第41話_中国情勢
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041_中国情勢
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総理から連絡があって、総理官邸に向かった。
「小林一佐は殺されていました。
「そうですか、残念ですね」
ミスリルライフルのMR-1を盗もうとした中国の工作員、シュウキンコウについてだった。
「中国政府にはしっかり抗議することになります」
「知らぬ存ぜぬと言うのでは?」
「こちらにはその人物の罪過を見るスキルを持った者がいます。そのことを合わせて主張します」
「外交的に、大丈夫なのですか?」
「スキルなどというものが手に入る世界になってしまいましたから、このまま放置したら日本で犯罪が横行します。今、スパイ法と外国国籍の人のスキル使用制限に関する法律の整備を進めています。スパイ法のほうは元々かなり前から草案はできていましたが、今回のことで自衛隊員が殺されたことが明らかになりましたので、党内の意思統一と野党への根回しをしているところです。法案の成立には、それほど時間はかからないでしょう」
スパイ天国の日本もやっと法整備を行うか。
法律があっても他国がスパイを送り込んで来ないとは思えないけど、取り締まる法律があるのは悪いことではないと思う。
「残念ながら今回捕らえたシュウキンコウに関しては、殺人と窃盗未遂、それから建造物侵入で起訴されて裁判になります。まだスパイ法はありませんので……」
現時点でない法律を適用はできないからね。でも殺人があるから、かなり重い刑罰が科せられるだろう。
「それから中国本土の件ですが、モンスターがさらに繁殖していると報告を受けています。中国政府はまったく機能しておらず、軍も呉共和国軍と蜀国軍と対峙していて、モンスターどころではないようです」
「厳しいことを言うようですが、このままでは中国から他の国へモンスターの脅威が広がっていきますよ。日本のような海を隔てた国はともかく、陸続きのロシアやモンゴルはかなり危険だと思います」
北だけじゃなく、南や西へも広がっていくだろう。
「実際の話、どうも山東省から北朝鮮方面にモンスターが繁殖しながら進んでいるようです」
そう言われても俺は何もしないからね。
「北朝鮮はそれなりの軍事力を持っていますから、大丈夫だと思いたいですね」
あの国の情報は日本政府にあまり入ってないんだろうな。ダンジョンの有無程度の情報も入ってないと思う。
「それから台湾を巡る中国軍の動きですが、艦艇が引き上げていきました。上海から南側の沿岸部の地域は呉共和国に参加しているため、留まると後方から攻撃されると思ったのか、補給がままならないのかは不明です」
なぜ俺にそのことを報告する?
「台湾有事の目がなくなって、良かったです」
外交問題には関わらないですからね。
「暗い話はここまでにして、次はMR-1についてです」
自衛隊で性能試験が行われていたミスリルライフルの話に切り替わる。
「世渡さんから納品してもらったMR-1は、以前いただいたミスリルライフルと遜色ないものであることが確認できました。同じものをあと1挺と弾丸をできるだけ多く生産してほしいと、政府より依頼させていただきます」
そういうのはJDSOを通してしてもらえないですかね。
「承知しました。そのように進めます」
「はい。数日の内には国防省から高台寺理事長を通して、正式に依頼させていただきますので」
「はい。お願いします」
岐阜支部に帰ると、早速磯山にMR-1と弾丸の生産を行うように指示した。
「意外と早かったですね」
「ミスリルがもっと産出されれば、もっと造れと言って来るはずだ。今のうちに慣れておくんだな」
「ふふふ。ミスリル加工の癖は把握してますので、いくらでも来いですよ!」
「頼もしいな。それで風呂にちゃんと入っていたら、言うことないんだがな」
「それセクハラです!」
「いや、お前の臭いのほうがパワハラ、いやスメハラだぞ!」
「ぐぬぬぬ」
「そんなに唸るな。風呂に入るだけのことだぞ」
「風呂はあまり好きじゃないのです」
「それ、女の子の言葉とは思えないぞ!」
磯山は仕事はちゃんとするが、生活無能力者だ。
残念なことに食事は気が向かないと食べないし、風呂など入らなくても死なないと言う始末。さすがにトイレは行くが、掃除洗濯などもしない。
本気で磯山の身の回りの世話をする人を雇わないと、ヤバい気がしてきた。
丑木総務部長に、磯山の身の回りの世話をする人を雇うように言っておこう。人材として磯山は貴重だから、倒れられたら困る。
もし磯山が倒れたら俺に仕事が回って来そうだ。それは絶対に回避したい。そのための経費は無条件でOKだすぞ!
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