第12話_ダンジョンボンバー
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012_ダンジョンボンバー
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奥多摩に出現したダンジョンからモンスターが溢れ出した。
テレビに映るモンスターたちは、警察官を屠りながら国道を遡って青梅市方面へと進んでいく。
ダンジョン内のモンスターの数が一定数を超えると、こうやって地上へ放出する。外国みたいに軍でもなんでもいいからダンジョンの中に入れて、モンスターを倒していればこんなことにはならなかったんだが、日本は閉鎖するだけで何もしなかった。
ウチの裏山のダンジョンは俺がダンジョンマスターだから、そういうことは起きないように管理しているが、他のダンジョンはそうではない。
「あれだけ警告したのに、完全に無視されたか」
ダンジョンを封鎖しているだけでは、いずれダンジョンボンバーが起きると何度も警告した。匿名だが、俺はダンジョンが現れることも事前に警告していた。そのことに重きを置いて、俺の警告に耳を貸せばこんなことにはならなかったのだ。
政府はすぐに自衛隊を動員し、モンスターの殲滅に乗り出した。
戦車から発せられる砲弾、爆撃機から落とされる爆弾。奥多摩から青梅市にかけて、モンスターの死体が無数に転がった。
だが、自衛隊の武器では倒せないモンスターが現れた。そう、自衛隊の武装は浅いエリアのモンスターには有効だが、深いエリアのモンスターには無力だったのだ。
「チャタ。ちょっと行ってくるわ」
「アン」
防具に身を包み、妖魔喰を腰に佩く。最後に隠匿の外套を纏うと、俺の姿は誰にも見えなくなる。
転移を発動させると、戦場さながらの戦闘地域へ一瞬で移動する。サラリーマンをしていた時は東京に住んでいた。その際に奥多摩に遊びに来たことがあるから、転移できる場所だ。
最後のボス部屋のアイテムボール七色からドロップしたオリハルコン装備は、とても軽く動きを阻害しない。それでいて、ダイヤモンドの百倍以上の硬度と、超高熱に耐える耐熱性を誇る金属がオリハルコンだ。
足に軽く力を入れてジャンプ。チャタのように空を駆けるスキルはないが、軽くジャンプしただけで500メートルほど飛んだ。
またジャンプしてさらにジャンプ。空を飛ぶかのように移動する。
弱いモンスターは自衛隊の攻撃でミンチになっている。ダンジョンの中じゃないから死体は消えない。その代わりアイテムボールもドロップしない。
宮殿型のダンジョンから出て来たのは、アンデッド系のモンスターだ。生命力が強いモンスターでこのようにミンチにしないといつまでも動き続ける。アンデッドなのに生命力が強いとか、おかしなことを言うもんだと苦笑する。
民家が酷い有様だ。民間人が全員避難できたとは思えない。
大破した自衛隊の車両もあちこちにある。航空機もかなり墜落している。これだけでも人的被害がバカにはならないだろう。
「見えた」
巨大なドラゴンゾンビに戦車からの集中砲火がされているところだ。あの攻撃を受けても、ドラゴンゾンビは平然と大地を進む。
奥多摩は緑豊かな土地だった場所だったが、ドラゴンゾンビの腐食ブレスによって死の大地に変わってしまった。
「これを浄化するのは骨が折れるぞ」
上空ではレイスやリッチといったモンスターが、戦闘ヘリや戦闘機と戦っている。実弾兵器が効かない霊系モンスターに一方的にやられている。
「攻撃が効かないのだから、すぐに引けばいいのに」
そういうわけにはいかないんだろうな。自衛隊の後ろには東京23区がある。そこには1000万を超える人が住んでいるのだから。
銃弾や砲弾が飛び交う中、隠匿の外套を極アイテムボックスに収納した。
地面を蹴って、上空へと向かう。妖魔喰を抜き、レイスを切り捨てる。妖魔喰は触れたものの生命力を喰らうため、物理攻撃と特殊攻撃が同時に発動することになる。
妖魔喰に生命力を吸い取られたレイスは、その半透明の体の色を薄くして消えていった。実態を持たないレイスやリッチは、ダンジョンの中じゃなくても消え去るようだ。
アンデッドなのに生命力とか矛盾していると思うかもしれないが、ステータスで言えばHPに相当するから問題ない。
「亡者を焼く地獄の業火よ、不純なるものを全てを飲み込み灰塵をも残さず燃え盛れ。獄炎の舞!」
上空に存在するモンスターを炎のヘビが喰らっていく。50体程居た上空のモンスターを全て喰らい尽くし、獄炎の舞は消えた。
俺は自由落下しながらその光景を見つめる。あ、戦闘ヘリのパイロットと目が合ったような?
地面に着地し、今度はドラゴンゾンビへ向かう。全長50メートルのドラゴンゾンビが5体。
さらにミイラ男が1体。このミイラ男のほうがドラゴンゾンビよりも強い。
モンスターには危険度によってランクがあって、上はAから下はJまである。
ドラゴンゾンビのランクはEランク。そしてミイラ男(ただしくはロード・オブ・マミー)はDランクだ。Dランクなんて弱いと思ってはいけない。Cランクになると核兵器の直撃でも倒せないくらい強いのだ。
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