第6話_ダンジョンに吸収されるのは
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006_ダンジョンに吸収されるのは
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ユニークスキル・酒呑童子は5分程で解除された。今の俺では酒呑童子を維持し続けることはできないようだ。
さて、キングスライムを倒した俺とチャタの前に、あのピンポン球が現れた。今度は黄色と黒色の2つだ。
鑑定眼でその球を鑑定すると、アイテムボールだと分かった。色はレア度を表している。赤<黄<青<黒<七色の順によくなるレア度だから、今回の黄色は下から2番目で、黒色は上から2番目だ。
アイテムボールはモンスターを倒すことで、モンスターの死体が消えた後に現れると鑑定眼が教えてくれた。
前回、チャタが噛み砕いたアイテムボールは青色だったから、真ん中の3番目のレア度になる。
「今度は勝手に噛んだらダメだぞ」
「アンッ」
お座りして尻尾を振りながら俺に返事をするチャタは、お利巧で可愛い。思わず頭を撫でてしまうが、魔装アーマーが頭を護っているので邪魔だ。鎧に覆われてない耳をモフモフ。
まずはアイテムボール黄を砕く。光が発せられて現れたのは、試験管のような瓶に入った緑色の液体だ。鑑定眼で見てみると、中級ポーションで瞬時にHPを150ポイント回復させる薬だった。
ポーションはこういったダンジョンでは鉄板のアイテムだな。
さて、次は黒色を砕くか。光が発せられて、真っ黒な外套が出て来た。鑑定眼さん、出番です!
この外套は隠匿の外套というアイテムで、この外套を纏うと姿を隠すことができるようになる。
中級ポーションと隠匿の外套を極アイテムボックスに放り込む。
ボス部屋には先ほどまでなかった、扉が現れた。
「チャタ、行くぞ」
「アンッ」
扉を開けると、緩やかな坂になっていた。俺とチャタはその坂を下りて行く。
次のエリアもこれまでと同じ洞窟になっている。
「おっと、いけない。ステータスを確認しておかないとな」
大量のレベルアップとボスモンスターを討伐したボーナスによって、かなりポイントが溜まっていた。
チャタのステータスを見るとレベルアップにおけるポイントは入っているが、ボスの討伐ボーナスは入っていない。ボーナスは飼い主の俺に付与されるものなのかもしれない。
ただし、チャタもクラスを得たことのボーナスは得たようだ。
ステータスポイントもスキルポイントも、俺のポイントはチャタと共有できるから問題ない。
「さて、お互いにクラスがヤバそうだな。チャタ」
「アウン?」
首を傾げるチャタを抱き上げて、わしゃわしゃする。
「ステータスポイントを消費して、色々強化するぞ」
「アン」
いいよーっとチャタが言う。
同じだけステータスポイントを消費して、能力値を強化した。
さて、スキルはどうするかな。
「アン」
「何? 威嚇を進化させろって? いいけど、どこまで進化させるんだ?」
「アンアン」
「全部か。分かった」
チャタが言うように、俺は威嚇にスキルポイントを振っていく。威嚇は★2に3ポイント振って★5にした。
「アンアン」
「まだ振れって? でももう★5だぞ」
「アンアン」
チャタがもっと振れと言うので、振ってみたらなんと2ポイント消費して咆哮になった。
「マジか……なんでチャタがこんなこと知っているんだ?」
「アン」
どや顔してるんだけど。どや顔でも可愛いけどな、お前。
咆哮にさらにポイントを振って咆哮の★を5にした。全部で13ポイント消費した。
name 世渡丈二
race 人間
lv 36
class 【鬼神】 ★★★★★
HP 220+50+100+300
MP 220
STR 45+10+100
VIT 45+10+50+100
AGI 45+10+100
DEX 45
INT 35
MIN 35
ST.P 265
SK.P 47
title 【ダンジョン探索者】 ★★★★★
title 【先駆者】 ★★★★★
ボスモンスター戦闘時に、全ステータスを30パーセント上昇させる。
unique skill 【酒呑童子】 ★★★★★
unique skill 【極アイテムボックス】 ★★★★★
unique skill 【滅天使】 ★★★★★
天使族との戦闘時にHPとMP値を+1000ポイント、その他の各能力値を+300ポイントする。天使族の能力を例外なく30パーセント低下させる。
skill 【身体強化】 ★★
skill 【頑強】 ★★★
skill 【質実剛健】 ★★★★
skill 【鑑定眼】 ★★★★
対象の詳細を目視で確認する。ステータス内容、弱点属性、弱点ポイントが見える。
unique item 【妖魔喰】 ★★
触れたモンスターの生命力を喰らう。モンスターを倒せば倒すほど進化する。
称号・先駆者はボスモンスター戦で威力を発揮するもので、ユニークスキル・滅天使は対天使戦における切り札になり得るスキルだ。正直言って天使と戦いたくないが、その時があれば良いスキルなのだろう。
HPとMPはステータスポイントを1ポイント消費することで+5ポイントされる。
チャタのステータスポイントを全部使って足りない分は、俺のステータスポイントを使ってチャタも俺と同じだけステータスを上げた。
name 世渡チャタ
race 柴犬/世渡丈二の眷属
lv 36
class 【獣神】 ★★★★★
HP 208+300
MP 208
STR 42
VIT 42+50
AGI 42+20+150
DEX 42+150
INT 32
MIN 32
ST.P 220
SK.P 23
skill 【咆哮】 ★★★★★
対象を委縮させて行動を阻害する。咆哮によって委縮したものたちは、能力が20パーセントダウンする。
skill 【立体機動】 ★★★
skill 【牙爪強化】 ★
skill 【回避】 ★★
skill 【疾風迅雷】 ★★★★
unique item 【魔装アーマー】 ★★★
レベルアップ時にもらえるステータスポイントは5ポイント。スキルポイントに至っては1ポイントしかもらえない。
ボーナスがあった分、このレベルにしては強いのだと思う。比較対象が居ないので、思うしかできないけどね。
「それじゃあ、ここで飯にするか」
スマホを見るとまだ16時10分だけど、ダンジョンの中では何があるか分からないから、余裕のあるうちに休憩をしようと思った。
俺は鯖缶と非常食用のご飯。チャタはドッグフード。極アイテムボックスのおかげで背嚢に大量に放り込んであった、水や食料の重みを感じない。マジで助かる。
「美味しいか?」
「アンッアンッ」
美味しいと言っている。今日はたくさん戦ったから、やや多めにドッグフードをあげた。
食事をしたら今度は寝る。
「交代で見張りをするぞ」
「アン」
「まずはチャタから寝るんだ。3時間したら起こすから、そこで見張りを交代な」
「アンアン」
チャタ用の毛布を出して地面に敷いてあげると、その上で丸くなった。賢い子だ。
モンスターを倒すとダンジョンに吸収される。他のものはどうなのか? 先ほど食べた鯖缶とご飯の容器をちょっと離れた場所に置いておく。
30分経過したが、特に変化はない。1時間経過したが、まだ変化はない。2時間後も変化はない。ゴミは持ち帰れということかと思っていたら、チャタを起こそうとしたところで空き缶とプラスチック容器が地面に吸い込まれた。
「ゴミは3時間で吸収か。多分だけど、俺たちが死んでも同じなんだろうな」
ダンジョンに吸収されるのなんて、ごめん被る。
「チャタ、起きてくれ。交代だ」
「アウーン」
大きな欠伸をして、チャタは立ち上がった。
「それじゃあ、見張りを頼むぞ」
「アン」
任せておけと、言っている。頼もしい奴だ。
スマホのタイマーを3時間後に設定して、俺も目を閉じた。
チャタは俺の横でお座りしているようだ。
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