第91話 【ミッション・コンプリート】

万九郎は、山の稜線を、降りています。


今の場所は、まだ雲の上です。


「こりゃ、降りるのも大変だな」


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雲の中を通り抜けて、ようやく下界が見えるように、なりました。


「ここで、高度5000mくらいか」


ここから、下までの距離を考慮しています。


今は朝ですが、厳寒の岩から、鬱蒼とした密林まで、極端に違うエリアを歩き抜けなくては、なりません。


山に掛けられていた呪詛は解きましたが、異界であることには違いなく、魔獣どもにも対処する必要があります。


「ふぅ」


万九郎が、一息ついてLOOKでも吸おうかと、足を止めた時、


「Hooooooooo-Heeeeeeeey!」


ドクの声です。


同時に、ドクの愛車エイドリアンが、宙に浮きながら現れました。


「そろそろ、この辺に、お前が現れるから、迎えに行くように、佳菜に言われたんじゃ!」


なるほど。

さすが、佳菜です。


「近くに寄せるから、飛び乗れ!」


「おう!」


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“Oh, shit!You are heavy!"


マーティーです。


エイドリアンは当然、二人乗りなので、万九郎はマーティーの上に乗る形になります。


「こっちは、とんでもないミッションやらされて、金もたぶん出ないんだから、我慢しろ!」


万九郎は、男には無愛想です。


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西九州自動車道が、見えてきました。


ちょうど、ずっと真っ直ぐになっているところです。


「おっ!?」


(あれは・・まさか、コブラか?)


真っ赤なコブラが、エイドリアンと同じ方向に、凄い速度で突っ走っています。



「ACコブラ」

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


構想・開発[編集]

1950年代までACカーズ(英語版)は他の多くのイギリス中小自動車メーカーと同様、他社製エンジンを取り入れていた。AC・エース(英語版)などのエンジンはブリストル・カーズから供給された直列6気筒だが、これは元々第二次世界大戦前にBMWが設計したものであった。ボディは鉄製のフレームにアルミニウムのハンドメイドである。

1961年、ブリストルはエンジンの生産を中止。そしてクライスラー製の313 in³(5.1 L)V8エンジンの採用を決めた。この事態を受けてACカーズは経営難に陥った。その後、ACカーズはイギリス・フォード製ゼファー(英語版)の2.6 L 直6エンジンを採用。同年9月、アメリカ人レーサーのキャロル・シェルビーはV8エンジンを搭載した車の製作を同社に提案。シェルビー自身がエンジンを調達することを条件として合意が成立した。シボレーは同社のコルベットの対抗車種に成り得るという懸念からエンジン提供を断ったが、フォードから最新のチャレンジャーV8の供給を受けられることになった。


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「さすがに窮屈じゃ。佳菜の車に乗り換えろ」


ドクがそう言うと、マーティーが、


“Get the fuck out!You shit!"


と言いながら、万九郎をエイドリアンから蹴り出しました。


(マーティーの奴、今に見てろ)


と、言う間もなく自由落下!


ドスッ


なんとか、コブラの助手席に、落下できました。


「どうだったの、成果は?」


「ああ。悪くなかった」


「ミッション・コンプリート!」


そう言うと佳菜は、物凄い速度で、コブラをかっ飛ばします。


「帰るわよ!」


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佳菜さん、何かカッコいいです。

明日は、大晦日ですね。


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