第90話 【登頂】

2人の行為は、予感無く、終わりました。


「お、おい。身体が何か、光っているぞ」


「私も、まだやり足りないのですが、この時代の私が意識を失って、流れ込んでいた魔力が、絶たれました」


「この時代のレイ?ひょっとして、レイコのことか?」


「レイコ。私の名前と似てますし、まず、その女性が、今の時代の私です」


こう言いながら、レイの身体は、無数の金色に輝く微粒子になって、霧散しています。


「レイ!」


「レイコのこと、大切にして、くださいね。レイコとして、また会いましょう」


そう言うとレイは、完全に消えてしまいました。


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暗い洞窟の中で、万九郎はまた、たった1人です。


坂口さんが起こした焚き火は、もう消えつつあります。


「性的には満足できていないが、俺には、やらなきゃいけないことがある」


万九郎が、立ち上がりました。


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万九郎が、洞窟から出てきました。


雪が、止(ヤ)んでいます。


超高度の直射日光が、肌に痛いです。


上の方を見ると、ついに、この高い高い山の頂きが、紫に近い青空の中で、はっきりと見えています。


「よし。行くぜ」


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万九郎がついに、山の頂上に到着しました。


頂上は、直径2mほどの円形の平面です。


すぐに、探していたものが、見つかりました。


小さな石の祠があり、その中に、あります。


直径5cmほどの、丸い石です。


「なんだか、あっけないな」


そう言いながら、万九郎は、その石を右手で掴んで、持ち上げました。


そして、右手を開くと、石は一瞬、白金色に輝き、無数の微粒子になりました。


そして、山全体に、降り注いでいます。


何とも言えない、美しい眺めです。


「これでレイも、あのバアさんも、猿たちも、嫌だけど変態たちも、凍った時間から解き放たれ、本来の輪廻に戻るのだろう」


何とも言えない、気持ちです。


「ドラゴーーーーーーー!」


万九郎はロッキーのように、ストロングに雄叫びを上げました。


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ロッキー4でしたね。

次は、下山です。


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