第88話 【氷の祈り】

洞窟の中は、焚き火が焚かれており、暖かいです。


どこから持ってきたのか、乾燥した木の枝や幹が、たくさん置いてあります。


女性は、何かを炊いているようです。


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「万九郎さん、暖かいおかゆが、できましたよ」


どこから持ってきたのか、ゆったりとしたベッドの上で、万九郎が眠っています。


「万九郎さん?」


何も返事は、ありません。


「えっ、そんな」


女性は、万九郎の身体に、細くて白い、綺麗な手で触れました。


「冷たい!このままだと、万九郎さんは、凍死する」


女性は、元々凛々しい顔をキリッと引き締め、


「ならば、最後の、手段です」


と、言ったのです。


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ベッドの上に、全裸の万九郎が、仰向けに寝ています。


その上に、全裸の坂口さんが、うつ伏せで、重なっています。


「冷たい。でも、こうやって裸になって、体温で温めれば、大丈夫なはず」


身長182cmの万九郎に対し、坂口さんは154cm。


坂口さんは、身体を一杯に伸ばして、冷たい万九郎の身体に重なります。


2人の身体が、これ以上ないほど、繋がりました。


「私は、あなたを、ぜったいに、死なせない」


坂口さんは、決意を込めた、大きくて綺麗で、透明な目で、そう言いました。


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「良かった。身体が十分に温まったわ。これで、万九郎さんは、このままにしておいても大丈夫」


坂口さんが、裸の身体を万九郎から、いったん離して、言いました。


「万九郎。こう言える関係に、なりたかった。でも、あなたの命を救ったのは私。あなたは知らなくても、あなたの魂の中に、私の心は刻まれて、あなたが死ぬまで消えることはない。それだけで、十分だわ」


坂口さんの全裸の肉体が、白金色に輝きました。


そして、小さい、小さい、無数の輝く光の粒になって、坂口さんは、いなくなりました。


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「ん、ここは?」


「あっ、目が覚めたのね」


「レイ!?」


「あなたのことを、強く、強く思ったら、私はここにいて、裸のあなたが、眠っていたの」


「そうか。死にかけた俺を助けたのは、レイではないのか?」


「私がここに来たときには、焚き火が炊かれてて、洞窟の中も、あなたの裸の身体も、温かかったわ」


「そうか・・」


「そんなことより、温かいおかゆを、どうぞ」


「おう、気が利くな」


「このおかゆも、私が作ったものではないのよ」


「・・」


「そんなことより、早く食べて、体力を回復しなくちゃ」


「そうだな」


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「美味い!」


「それは良かった。おかわりも、何回もできるわよ」


「うん、おかわり!」


「はい」


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万九郎は、股間に掛け布団を被せただけで、黙々と、おかゆを食べています。


「それじゃ、私は着替えてくるわ」


「そうか」


万九郎は、特に気にすることもなく、言いました。


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「レイ!?」


万九郎の目の前に、全裸のレイが、立っています。


焚き火に照らされて、レイの肉体は、酷くいやらしいです。


さっそく、万九郎の股間が、ストロングに反応しています。


「しましょう。下の町で、何度もしたように」


「ああ」


ジュッポ、ジュッポ、ジュッポ、ジュッポ!

ジュッポ、ジュッポ、ジュッポ、ジュッポ!

ジュッポ、ジュッポ、ジュッポ、ジュッポ!

ジュッポ、ジュッポ、ジュッポ、ジュッポ!


############################


その頃、佐世保別邸では、異変が起こっていました。


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