第83話 【猿の世界】

出発して2~3日の間は、下とあまり、変わりませんでした。


ただ、出会う獣や虫が、今まで見たことのないものに、なっています。


一言で言えば、異形。


特定の部分だけが異様に成長していたり、特定部位が無かったり、複数の異なる種類を、無理やり1つにしたようなものどもです。


脚のない大イヌが、何かを飛ばしながら襲ってきましたが、あっさり消滅させました。


「脚がないようだが、当たらなければ、どうということはない」


シャアのように、余裕な万九郎です。


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「ん?」


とても大きなライオンが、います。


「ライオン?」


虎なら、松浦領は変ですから、万一いても、不思議ではありません。


「ライオンは、何か違うだろ」


万九郎は、少し呆れました。


とても大きなライオンが、襲いかかってきました。


が、顎に蹴り一発で、倒しました。


ライオンが、小さい、とても小さい光の粒になって、消えていきます。


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「上に行った奴らは、この山の頂上にあるという、何でも1つ、願いを叶える石が、欲しかったのさ」


あの飲み屋のババアは、そう言いました。


「私の旦那もね、その口さ。小さいバックパック1つだけ背負って、行ってしまった」


「万九郎。私の旦那を見つけることがあったら、もはや人の姿はしていないだろうから、ここに返して欲しいとは言わん。未練が残らん形で、消滅させてやってくれ」


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「このライオンも、元は人だったのか」


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その後も、似たような異形の相手をしながら、登っていきます。


あの家を出発してから、何日経ったのか、分からなくなっていました。


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「キキー!」


猿の鳴き声です。


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猿が本当に、キキーと啼くかどうかは、ここでは考えないでおきましょう。


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何匹もの猿が、木の上から、石を投げつけてきます。


そんなもの、万九郎に当たるわけ、ありません。


猿たちは驚き、先にある粗末な家々に、逃げていきました。


「あれも全部、元は人か」


万九郎は、何とも言えない気持ちになりました。


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続く。


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