第61話 【坂口さんを、獣化させたもの】

さて、庭先に集められている、ウィッチーズです。


「全員、怪我はありません」


サングラスが、報告します。


「良かったですね」


美香が、言います。


「ええ本当に」


アスカが、応えます。


「ふぅ、ワシのエイドリアンが100万台、タイムトラベルしそうな出力じゃったな。よくウィッチたちは、無事だったものじゃ」


「アスカが手加減してたからよ。半分も力、使ってないでしょ?」


「ええ。大体、1/10000ぐらいの出力に、抑えたわ」


「いっ、1/10000?まっ、ウィッチーズが完全に雑魚なのは、ここでは証明済みの事実ですから、誰が相手しても、同じ結果になったでしょうけど。まあ怪我のある無しを別にすれば、ですけど。あなた方、アスカさんに感謝することね」


「ところで、あなた方、昨日ここで行われた戦闘とその結果、ご存知?」


戦闘?


「ネウロイと古代呪術のなんとかってクソダサい代物。私が5秒でコテンパンにしてやりましたけど」


・・・


「何も知らされずに、多少は歯が立つと思って来たと・・。あの馬鹿でかいUFOが押し寄せて来ているのに、生き残れるとでも思ったの?」


「戦死は元より覚悟の上!ウィッチーズに命令は絶対です」


「命令が、絶対ねえ」


狂子様が、呆れたように、言いました。


「これじゃあ、埒が開かないわね。あなた方には、地下のリビングで軟禁されてもらうわ。全ての事の、片がつくまで」


「それって、いつまで?」


「さぁ?片づいた時に、分かるでしょ」


佳菜さん、ウィッチーズには冷淡ですね。


実は、佳菜様は、パンティーを露出している姿が、嫌いなんです。


にじみ出るような美と優雅さこそ女性!を実践してる佳菜さんには、パンティーの露出は、安易で下品な手段に見えるのでしょう。


「おい、やめなさい!」


サングラスたちの制止を振り切って、小柄なウィッチが先頭に出ました。


「ん?あなたは・・?」


佳菜さん、マジで忘れてる様子です。


############################


佳菜を一瞥し、万九郎を睨みつけます!


「坂口さんを返せ!坂口さんを返せ!」


万九郎、ふらふらと彼女に近づきます。


「いや、あれは公平な闘いの結果だからなあ」


と、狂子様。


「坂口さんに、槍の使い方教えただろ!あのとき坂口さん、お兄ちゃんができたって喜んでたんだ。坂口さんは父上以外、男と話したことが無かったんだ!」


「その父上とも離れ離れ、たった1人だったんだ。おまえと毎日、嬉しそうだったんだぞ!」


「それなのに、おまえは、さっさとバンクーバーに行って・・。坂口さんは、自動車で、2人で一緒に、どこか楽しいところに行けると思ったんだ!それなのに・・。アスカと仲良くして、坂口さんはずっと見てたのに、無視したじゃないか!」


そう言えば、ミリタリールックとサングラスの坂口さんが、いつも見てた、かな?


「挙句の果てに、パンティー盗んだだろ!」


「あ、あれは!」


万九郎、真っ青。


「気が付いたら、履かされてたというか、そんな感じで。俺には、盗んだ記憶は・・」


「関係ない!盗んだものは盗んだ!坂口さんは、びっくりして完全に混乱してたぞ!

1週間ぐらい私の家にいて、落ち着いたときには、殺意の塊になってた!おまえは裏切り者。だから殺すって!その後、家を出たっきり、坂口さんとは二度と会えなかった。噂じゃ、評判の良くない政府機関の研究所に、出入りしてるって話だった」


「なるほど。そこで獣化を施されて、ここに来たと」


狂子様が、淡々と言います。


「獣化?」


「あの娘、ここに来たとき羆のバケモンになっとったぞ」


「そんな・・」


「獣化を逆転するすべはない!だからこその、あの結果だ」


女の子(佐世保西高の同級生で、山本さん、だそうです)は、黙っています。


「さ、問答は終わったようね。全員、地下に連れて行きなさい」


思いがけない事実でしたね。万九郎、大丈夫でしょうか。



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