第54話 【休息】

長ーーーい食卓の周りに、みんなが座っています。


一番奥は当然、狂子様。

以下、佳菜、美奈、アスカ、万九郎、サングラス部隊。


ひと仕事終わった安堵感が、皆んなに溢れています。


お昼ごはんは、真っ白ごはんと、永谷園のお茶漬け海苔です。


「うーん。松浦家の食事にしては、質素だな。金持ちは質素っていうし、そんなものか」


勝手に納得してる、万九郎です。


「まあ、ごゆるりとなさって。でも、忘れているかも知れないけど、今、この瞬間も、月は、落ちて来ているのです」


そうだった。


色々ありすぎて、ホッと、し過ぎてたな。


万九郎は、反省します。


「それに、アメリカと欧州が、何か動き始めた様子。午後には、仕掛けてくるでしょう。すでに、この邸を中心に、第3防衛戦まで構築済み。強化チタン合金で完全防備した機甲師団を3個大隊、5個中隊、展開しています」


「月が落ちて来ているのに、地球人同士で、何でそんな、内輪もめみたいなことを、しているんだ?」


「連中は、アスカさんが死ねば、落下が止まると、考えてるらしいんですの」


「アスカが居なくなれば止まるとか、そんな簡単なわけじゃ」


「当然ですわ。アチラの上層部は、すっかり”Land of Confusion."。おつむが馬鹿に、なっています。日本政府も、巻き込まれて。それに今は、民主党政権ですからね。国が、私達の敵なのです」


「第一、そんな簡単な話なら、万九郎とアスカさんが地球の反対側に行って、インパクトの瞬間、松浦家の超巨大シェルターにテレポートすれば、いいだけです。我が家のシェルターは、ユカタン級隕石の落下にも耐えられる構造と備蓄を、備えています。たとえ人類が滅んでも、私達は無事。新しい世界を作っていけます」


それって、ひょっとしていいかも。


万九郎は、ちょっとだけ、そう思いました。


「でも、それじゃあ駄目なんです。夜に月の出ない世界なんて、許せませんわ!」


ビシリと、言い放つ佳菜。


「酒も、まずそうじゃな」


ポツリと、狂子様が、言います。


夜真っ暗な世界かあ。

チカンなら喜びそうだけど興味ないし。第一歩きにくいよな。


「必死なアチラは、ワシがエリア51に残してきた技術を、総動員するじゃろ」


ドクが、言います。


「ま、肝心なものは、ワシのここに、あるんじゃがな」


と、自分の頭を指差します。


「ワシの予想じゃが、UFOからワシが解明したテクノロジーと、あちらさんの古代魔導とやらを統合して、巨大な何かを、作っていたハズじゃ」


“That’s heavy.”


マーティーが、こっそりと言います。


############################


横に座ってるアスカを、見ます。


アスカも、ニッコリ微笑んで、


「頑張りましょうね」


「お兄ちゃん頑張って」


と美奈。


「期待されておるなあ」


と狂子様。


せっかくの緊迫した雰囲気が、台無しです。


############################


午後2時を、過ぎました。


みんな、思い思いに、くつろいでいます。


時折、サングラス部隊が数名動く以外は、風の音ぐらいしかしません。


「平和だなあ」


そのとき!

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