第45話 【Supernatural】

「それで、どこに行くの?」


アスカが、聞きます。


「ウチのディレクラーが、何か、ヤバイんだ」


それぞれの、やり取りで、シボレー・インパラは、凄い速度で、走り始めました。


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「とにかく、俺たちが今、住んでいるところに、行くぜ」


「ところ?」


万九郎が、やっと発言できました。


「ああ。ディーラーが作ってる、アパートだ」


「アパート?」


「言ってみれば、分かる」


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「本当に、アパートね」


「そうだろ」


そこは、人が1人、過ごすために、とても合っていました」


「なるほど。アパートだなあ」


「だろ」


「過しやすくて、いいよ」


「私たちにも2つ、用意してくれる?」


「Sure。当然だ。そのつもりで、連れてきたんでな」


「Thanks.」


万九郎が、言いました。


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「とても、いいわ」


「キャンピング・カーみたいだな」


「こんなのは、普通以下だ」


「だから、あなたたち2人に、来てもらったんだし」


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家の中は、説明するまでもないです。


「これは、さっさと終わらせたくなるなあ」


「そうね」


「Then, get to the subject.」


「そうだな」


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「俺たちも、すぐ撮影に入る」


ディーンが、言いました。


「お前らも、端役で出れるが、どうする?」


「遠慮しておくわ。必要以上に顔が売れるのは、私や万九郎にとっては、迷惑でしかないの」


「なるほどな。本当に、そっちの業界では、名前が売れてるようだな」


「ご想像に、お任せするわ」


また、万九郎は、発言するチャンスが、ありません。


「仕方ないか」


万九郎は、そう思います。

確かに、自分よりアスカの方が、頼りになっています。


「じゃ、俺たちは、行くよ。Watch and enjoy!」


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「ひゃぁーーーーーーーーーーーーーーー」


女性の、叫び声です。


女性の叫び声というと、「キャーーーーーーーーーー!」が定番ですが、実際には、もっと真に迫った声になります。

と、誰かに聞いた、気がします。


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そこでディーンとサムが、暗い部屋の中から、窓ガラスを豪快にぶち破って、登場!


“Don‘t move!”


ディーンの右手には、懐中電灯。それを、普通とは逆の逆さ持ちで、肩の上から、何かを照らしています」


ズゥーン!


サムが、拳銃で、その黒い靄を、撃ちました。



暗い闇の奥の奥から湧いて出た、その怪物は、その一撃で霧散しました。


「ぴゅー!パチパチ!」


周りで撮影していたスタッフが、称賛しています。


万九郎も、実に見事だと、感心しました。


「でも、あれって、少しヤバイ奴だよね」


「ええ。あれを、こう見事に退治できるなんて、あの2人にも、退魔の才能が、あるわね」


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それから、食事を兼ねた休憩が、2時間ほどあり、その後、撮影が再開されました。


「あの、画家が使うチェアを豪華にしたようなのに座ってるのが、ディレクターかな?」


「そうね」


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撮影は、順調に進みました。


ある時点まで。


トイレに言った男性スタッフの1人が、血相を変えて、飛び込んできたのです。


「デビッドが、デビッドがトイレで、死んでる!」


「な、何だってーーーーーーーー!」


何か、2chっぽいリアクションです。


「じゃ、あの人は?」


万九郎が、言いました。


“Shape shifter."


ディーンが、事も無げに、言いました。


「あの銃、使った方が、いいかな?」


サムが、聞きます。


「やめろよ。あんなザコに、もったいない」


さすがに、児童の頃から、ハンターをやっていたディーン。年季が、違います。


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「いつも通りだ。粉砕するぞ」


「うん!」


本当に、頼もしいです。


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現場に行くと、もう偽のディレクターは、いなくなっていました。


「厄介だね」


「誰か別の奴に、変身してやがる。ぬかるなよ、サム」


「分かってるよ。いつも通りだね、ディーン」


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間もなく2人は、サブディレクターに会いました。


身長172cmでブルネットの、綺麗な女性です。


「ブルネット」

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ブルネットは黒髪に次いで最も一般的なヒトの髪の色である。ライトブラウンからミディアムダークヘアーまで多岐にわたる。高レベルの黒い色素であるユーメラニンと低レベルの薄い色素であるフェオメラニンに特徴づけられる。ブルネットはフランス語のbrunetteの女性形であり、brun(ブラウン、ブラウンの髪もしくはダークヘアー)の指小辞である[1][2]。

ブルネットは西洋では一般的であり、特に中央ヨーロッパ、東南ヨーロッパ、 東ヨーロッパ、南ヨーロッパ、コーノ・スール、アメリカ合衆国でポピュラーであり、中東でもこの髪色を持つ人口は存在するが、黒髪に変わりつつある[3]。アボリジニとメラネシア人にもブルネットが多い[4]。


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「ミス・フランソア?撮影現場は、大変なことに、なってるのですが?」


「知ってるわ。彼が死んだから、私が引き継ぐんだけど、それでアイディアを練ってたの」


「こんなところでか?」


ここは、男女兼用のバスルームです。


「ここって、男は来にくいでしょ。静かで、いいのよ」


「ほう。一応、Make sense.」


「疑ってるの?私を」


“Just want to be cautious. Nature if our job.”


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「誰か、誰か来てーー!フランソアが自室で、死んでる!」


「これは、どういうことかな?Pseudo Fransoa.」


ディーンが、あっさりと言いました。


「サム。Kill it.」


ズゥーーーーン


サムが撃った拳銃の音が、低く、響きました。


眉間に一発。即死です。


さっきまでフランソアだったものは、黒い、黒い、暗黒の霞になって、消えました。


「グッジョブ」


アスカが、称賛しました。


「俺達の案件は、一段落したが、お前らはお前らで、もっと厄介なブツ、抱えてるんだろ?」


「来る?死ぬかもしれないわよ」


「ここまで来て、後は知らないとか、そんな育ちじゃないんでな」


「うん。ぜひ、連れて行ってほしい」


サムも、言いました。


「もう遅いから、明日にしましょ」


“That's sensible, and make sense."


というわけで、万九郎とアスカは、スタジオの個別型アパートで、一晩を過ごすことに、なったのです。


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翌日。


「俺とサムは、インパラで行くが、また後部座席に乗るかい?」


「心配ご無用よ」


アスカは、そう言うと、自分の赤いフェアレディZ 89年型を、どこからともなく、呼び寄せました。


“Wao!Z car!That’s yours?”


ディーンが、嬉しそうに、言いました。


“Dean, you are way off topic.”


サムが、冷静に指摘します。


「少し遠回りになるけど、バーナビーの方から橋を渡って、ウェストバンからソースバン。それから、さらに西に走るわ。目的地は、ディープ・コウヴ(Deep Cove)よ」


「ちょっとした、旅だな」


「楽しみましょう(Drive and enjoy?)」


これだけで、誰と誰の会話か、丸わかりです。


万九郎は、また何も言う機会が、ありませんでした。


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Z carが先、その後をインパラの順で、マリン・ドライブ、少し北上して国道1号を、2台は、突っ走っています。


途中で、マウント・シーモア・パークウェイに入ります。


「どんどん、景色が寂しくなって、行くんだな」


やっと、万九郎が、素直な感想を、言いました。


「今は、もう冬だから、なおさらね。ウェストバンから、ずっと西にあるホーシューべイ(Horseshoe Bay)は、既設を問わず、風光明媚なんだけど」


Z carとインパラが、1軒の家の前で、止まりました。


「さあ、行きましょ」


「おう」


ディーンが、言いました。


万九郎が、次に何か言えるのは、いつになるのでしょう。


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「あの家よ」


アスカが、言いました。


大きな、一軒家です。


ほかの家々とも、かなり距離が、離れています。


万九郎も、ディーンもサムも、続きます。


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アスカが、家のブザーを、押しました。


ピンポーン♪のような音がします。


でも、誰も出てきません。


「仕方ないわね」


ガチィッ。


ドアは、割と軽く、開きました。


「ミス・エマ(Emma)?」


“Are you not at home?”


「何か、用?」


「あなたに、大量殺人の、容疑があります」


「大量殺人?何を証拠に?何も証拠は、無いはずよ」


「ええ。あなたが、若い男の子ばかり何十人も、実験のために捉えて、性交して、あなたの身体の中に、吸収したからよ」


「否定しても、無駄なようね」


「ええ」


その瞬間、エマは忽然と、消滅していました。


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「何が、起こったんだ?」


ディーンが、訪ねます。


「あの女は、宇宙人よ」


「宇宙人!?」


万九郎とサムが、同時に声を、上げました。


「もうすぐ、出てくるわ」


############################


4人の目の前に、銀色に輝く、いわゆるUFOが、現れました。


「こりゃ。俺やサムの手には、負えないぞ!」


「こうするのよ!」


アスカが、言いました。


その瞬間、UFOは、あたかも最初から、何も存在していなかったかのように、消滅しました。


「!」


万九郎もディーンもサムも、何も言うことが、できません。


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「魔導については、詳しくないんだが、あんな凄い魔導には、長い呪文の詠唱が、必要じゃなかったのか?」


ディーンが、聞きます。


「今のは、初歩的な魔導よ。思っただけで、発動するわ」


“Where did that go?”


サムが、聞きました。


「消滅したのよ。始めから、存在しなかったように、あらゆる因果が、書き換えられただけ」


「つまり、最初から、居ないほうが、良かったと?」


万九郎が、聞きます。


「性善説なんて当然、ウソ。暗い暗い、本当の憎しみの塊。悪魔は、存在するのよ」


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「じゃ、俺たちは、今からスタジオに帰る。いいもの、見せてもらった」


ディーンが、言います。


「バンクーバーは、本当にいいところだから、いろいろ見て回るといいよ」


サムが、言います。


「そうね」


「俺たちこそ、一緒に居て、楽しかった」


ディーンとサムが、インパラに乗って、帰って行きました。


「さあ、私たちも、楽しみましょ」


「そうだな」


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書いてて楽しかったです。









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