第46話 【チャイナタウン】

「まだ初冬だけど、このシーズンのバンクーバーは天気が良くないし、海はグレー。楽しめるところは、限られているわ」


「ホーシューベイは、どうなんだ?」


「あそこは、晴れている時なら、今のシーズンでも、とても綺麗よ。でも、今の天気は」


「今にも雨が降ってきそうなくらい、曇ってるな」


「それに、いくら景色が綺麗でも、そこに物語が無ければ、心に来ないわ」


「ああ、それは分かる。俺は、九十九島の海が、世界で一番綺麗だと、思ってる」


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「そういうわけで、チャイナタウンに、決定ね」


「俺は、チャイナタウンに行ったことないから、楽しみだ」


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「車で、行かないのか?」


「もう、私の家に戻しちゃたわ。歩きと、公共交通機関で、行きましょう」


「それも、楽しいかも、知れないな」


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万九郎とアスカは、ウォーターフロントステーションに居ます。


「ここで、SkyLineに乗るわ」


「SkyLine?」


「地下鉄よ。地下なのが都心部だけなのは、東京と一緒」


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万九郎とアスカが乗っている電車が、Stadium駅に着きました。


「チャイナタウンの最寄りは、この駅。だけど、次のMain street Science world駅からの方が、きっと楽しめるわ」


「ほう」


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万九郎とアスカは、Main street Science world駅で下車して、今は東の方に歩いています。


「おっ」


「でしょ」


「ああ。見事なくらい、廃墟だな」


「シャッター街なら日本にもあるけど、何十ブロックにも亘って、ビル街が廃墟になってるのは、いかにも北米的ね」


「ああ」


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2人は今、チャイナタウンに行くべく、北の方に歩いています。


「看板が、漢字になったな」


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万九郎とアスカは、ビルの2階にある、中華料理店に居ます。


ほかにも、食事どきでもないのに客が入っており、繁盛しています。


「俺は、注文の仕方とか、全く分からないから、任せる」


「ええ」


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アスカが注文したのは、チャーハンと、エビの卵あえ(扶桑)でした。


飲み物はCoors。北米のライトなビールです。


万九郎とアスカ、それぞれに出てきました。


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「このチャーハンは、美味い!日本で食った、どのチャーハンより美味い」


「そうでしょ。中国には厨士っていう、料理人のランキング制度があって、日本みたいに適当じゃないの」


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「この扶桑も、美味い。俺が、セレスに作ったのは、モドキだったんだなあ」


万九郎は、少しだけ、しんみりしました。


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「店が違えば、別の地域の中華料理を楽しめるわ」


「そりゃ、楽しみだな」


「あと、前言ったタイ料理店も、必須ね」


「そうだった」


万九郎は、マジで忘れていました。


「それに、Stadium駅のすぐ側に、T&T Marketってスーパーがあって、そこではロブスターやノコギリガザミを、活きたまま売ってるわ」


「そりゃ、楽しみだな。アメリカに居たことはあるが、ロブスターは一度も食ったことがない」


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こんな具合で食三昧、万九郎とアスカは、10日ほどバンクーバーを満喫して、日本に帰ったのです。


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この話は、iPhoneでCBCを聞きながら書きました。


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