第42話 【バンクーバー】
万九郎とアスカが、バンクーバー国際空港から、出てきました。
「ちょっと、待ってくれるか?」
「タバコでしょ」
「うん。ここに、えらく立派な灰皿があるから、誘惑に勝てない」
「ええ。これほどドッシリした灰皿は、滅多にないわ」
「ふぅーー」
万九郎が、LOOKを吸っています。
「フィルターの部分が白いから、強くないタバコなのね?」
「ああ。やっぱり、喉がスッキリしない感覚は、好きじゃないからな」
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アスカがiPhoneで呼んでいたタクシーが、来ました。
「ガスタウンまで」
アスカが、言います。
「バンクーバーは、初めてじゃないのか?」
「初めてよ。でも、これまでの転生で、何度も住んだり、訪れたことがあるの」
「なるほど」
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タクシーが、ガスタウンの、時計台の近くで停車しました。
「最初に、今回住むところに行って、荷物を置いてきましょう。
アスカは、旅行者っぽいキャリーバッグですが、万九郎は、大きめの、黒いバックパックだけです。
「こっちよ」
アスカが、西の方にずんずん、歩いて行きます。
全く、ためらいが、ありません。
「ここから、向こう岸に、船で行くのよ」
「船?」
「シーバス(Seabus)って名前の、小さめのフェリーよ」
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ウォーターフロントステーション(Water front station)から、シーバスに乗ります。
乗客は、多いです。
バンクーバーは、本当に大都市なのだな、と万九郎は思いました。
とは言え、満席になる程ではなく、万九郎とアスカは、硬くて赤い座席に、並んで座っています。
20分ほどで、シーバスは、対岸のロンズデールキー(Lonsdale Quay)に、着きました。
「ロンズデール・キー」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
ロンズデール・キー(英語:Lonsdale Quay、ロンズデール埠頭)はノースバンクーバーの公共交通機関の要所であり、また同地の観光名所でもある。ノースバンクーバー市のロンズデール・アヴェニューの終末、バラード入り江のほとりに位置するロンズデール埠頭はシーバスの北側ターミナルである。またノースバンクーバーの一部のバスの終着点であり、バスターミナルの傍の入り江に面した広場からはバンクーバーの中心街が一望できる。埠頭の建物一階には各種飲食店や食料品店が入っており、マーケットプレイスを形成している他、二階にはホテルがある。
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ロンズデール・キーは、マーケットになっており、夜中以外はいつでも、色々な店が開いています。
「観光客向けよ。私たちは、観光客じゃないわ」
「そうだな」
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ロンズデール・キーを出て、右に曲がって、しばらく歩いて、さらに左に曲がると、老人にはキツそうな、上り坂になっています。
もちろん2人には、平らな道と同じです。
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アスカは、どんどん歩いていきます。
しばらくすると、右手にSubwayが、あります。
アスカは、そこを右に曲がりました。
ためらいが、ありません。
「考えてみれば当然だが、カナダにもSubwayがあるんだな」
「どのくらい滞在するか分からないけど、健康的でしょ」
「そうだな」
万九郎はふと、セレスとSubwayに行った日のことを、思い出していました。
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歩きながら、2車線の道路を、左側に移動します。
この道路も、車の通りが多いです。
さらに歩くと、いかにも北米の勝ち組というか、悠々と老後を暮らしている的な家が、何軒か見えてきました。
3軒目で、アスカが止まりました。
「ここよ」
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「立派な家だな」
「事業で成功して、仕事を引退した夫婦の家よ。2階に住んでいるわ」
「よく知ってるな」
「あまり考え過ぎるのは、良くないのよ」
「それもそうか」
万九郎とアスカは、1階に入りました。
「鍵とか・・」
万九郎は、考えるのを止めました。
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「広いな。これ全部、俺たちが使っていいのか?」
「そこにドアあるでしょ。万九郎の寝室とお風呂とトイレは、そっち」
「お、おう」
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入ってすぐがキッチンとダイニングになっており、大きなテレビと、ゆったりしたソファーが、あります。
そこから奥に行くと、
「右にトイレとお風呂があるわ。お風呂と言っても、シャワーだけど。北米人の家に、お湯を貯めるタイプの浴槽は、無いわ」
「そういや、そうだな。映画とかアメドラでも、風呂にしっとり入ってるシーンとか、見たことない」
アスカが、突き当りのドアを開けます。
そこは、十分は広さの寝室でした。
たっぷりしたダブルベッドも、あります。
「息子たち夫婦が、クリスマスに帰ってくるのよ。隣の、万九郎の部屋は、予備」
「予備?」
「言ったでしょ。上の老人夫婦は、成功者だって」
万九郎も、それなりに稼いでいると思っていますし、アメリカで傭兵訓練を受けたときに、2年近く滞在しています。それなのに、何か不公平感を感じてしまう万九郎なのです。
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「じゃ、ダウンタウンに行きましょ」
「いよいよか」
「気張らなくていいわ。このミッションに、期間の期限はないし。その方が」
「上手く行く」
「そう」
万九郎とアスカは、颯爽と、来たばかりの家から、出掛けています。
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さっきの道路の海側に、さっさと行きます。
「おっ!?」
「ええ。インドカレー屋よ。日本と違って、正真正銘、インド人がやってるわ」
「なんか、凄そうな気がするな」
「気がするだけ。昔は、ネパールもチベットもパキスタンも、バングラデシュも、インドだったのよ」
「そういや、そうだな」
「インド」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
インド(ヒンディー語: भारत、英語: India)[注釈 2] またはインド共和国(インドきょうわこく、ヒンディー語: भारत गणराज्य、英語: Republic of India)[注釈 3] は[3]、南アジアに位置し、インド亜大陸の大半を領してインド洋に面する連邦共和制国家。首都はデリー(ニューデリー)[3]、最大都市はムンバイ[4]。
西から時計回りにパキスタン、中華人民共和国、ネパール、ブータン、ミャンマー、バングラデシュと国境を接する[5]。海を挟んでインド本土がスリランカやモルディブと、インド洋東部のアンダマン・ニコバル諸島がインドネシアやタイ南部、マレーシアに近接している。
インド本土はインド洋のうち西のアラビア海と東のベンガル湾という2つの海湾に挟まれて、北東部をガンジス川が流れている。
1947年にイギリスから独立。インダス文明に遡る古い歴史、世界第二位の人口を持つ[5]。国花は蓮、国樹は印度菩提樹、国獣はベンガルトラ、国鳥はインドクジャク、国の遺産動物はインドゾウである。
概要[編集]
インドは南アジア随一の面積(世界では7位)と世界第2位の人口を持つ国である[5]。13億人を超える国民は、多様な民族、言語、宗教によって構成されている。総人口は2020年代に中華人民共和国を抜いて世界最大になると国際連合(UN)により予測されている[6]。
南にはインド洋があり、南西のアラビア海と南東のベンガル湾に挟まれている。西はパキスタン、北東は中国とネパールとブータン、東はバングラデシュとミャンマーと地境になっている。インド洋ではスリランカとモルディブが近くにあり、アンダマン・ニコバル諸島ではタイとインドネシアとの間に海上の国境がある。
インド亜大陸の歴史は紀元前3千年紀のインダス文明に遡る。その時代において数々の最古の聖典はヒンドゥー教としてまとまっていった。紀元前1千年には、カーストに基づく身分制度が現れ、仏教とジャイナ教が起こった。
初期の統一国家はマウリヤ朝とグプタ朝において成立したが、その後は諸王朝が南アジアにおいて影響を持った。中世ではユダヤ教、ゾロアスター教、キリスト教、イスラム教が伝わり、シク教が成立した。北の大部分はデリー・スルターン朝に、南の大部分はヴィジャヤナガル王国に支配された。17世紀のムガル帝国において経済は拡大していった。18世紀の半ば、インドはイギリス東インド会社の支配下に置かれ、19世紀半ばにはイギリス領インド帝国となった。19世紀末に独立運動が起こり、マハトマ・ガンディーの非暴力抵抗や第二次世界大戦などのあと、1947年に独立した。
2022年、インドの経済は名目国内総生産(GDP)において世界第5位であり、購買力平価(PPP)では世界第3位である。1991年に市場を基盤とした経済改革を行って以降、急速な経済成長をしており、新興国と言われるようになった。しかし、貧困や汚職、栄養不足、不十分な医療といった問題に今もなお直面している。労働力人口の3分の2が農業に従事する一方、製造業とサービス業が急速に成長している。国民の識字率は74.04パーセントである。
ヒンドゥー教徒が最も多く、ムスリム(イスラム教徒)、シーク教徒がこれに次ぐ。カースト制度による差別はインド憲法で禁止されているが、現在も農村部では影響は残っている。アジア開発銀行はインドの中間層(1人1日消費額:2~20ドル[2005年PPPベース])が2011年から15年間で人口の7割に達するとしている[7]。また、アジア開発銀行と定義は異なるが、中間層(年間世帯所得5,000ドル以上35,000ドル未満)は2000年の約22%から、2017年に約50%まで上昇している[8]。
連邦公用語はヒンディー語だが、他にインド憲法で公認されている言語が21あり、主な言語だけで15を超えるため、インド・ルピーの紙幣には17の言語が印刷されている。人口規模で言えば世界最大の議会制民主主義国家であり、有権者数は約9億人である[9]。
州政府が一定の独立性を持っているため、各州に中央政府とは別に政府があり大臣がいる。核保有国そして地域大国であり、2016年以降はモンゴルの人口に匹敵する程の世界で最も人数が多い軍隊(303万1,000人[2017年])[10] を保有し、軍事支出は、2018年では、665億ドルで、GDP比で約2.4%支出しており、世界で4番目であった[11]。
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すみません引用が長くなって。何せインドですから。
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「美味そうだな」
「私は行かないけど、行ってみるのも悪くないわね。でも、チャイナタウンにあるタイカレー屋さんの方が、きっと万九郎の気に入るわよ」
「タイカレーか。佐世保には、無いからな。ぜひチャレンジしたい」
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さっきのSubwayまで来ました。
「入りましょ」
「ああ」
「北米のSubwayは、チキンサブが美味しいわよ。日本と違って、一枚肉で、脂身が全然ないの」
「そりゃいい」
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万九郎とアスカは、ロンズデールキーの、船着き場にいます。
「さっきのサブは、本当に美味かった」
「そうでしょ」
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海を渡って、ダウンタウンの時計台まで、戻ってきました。
「もうちょっと、先よ」
「おう。楽しみだな」
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ランプライター・パブリックハウス(The Lamplighter Public House)。
「久しぶりだわ」
「来たこと、あるんだな」
「何回か前の、転生で」
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さっそく入りました。
日本の飲み屋のパブとは違って、店内は明るいです。
アスカが、カウンターに座って、さっそく注文しています。
“Two pints"
店員は、ニッコリ笑うと、当たり前のように、用意しに行っています。
パインって確か、厚めの容器で出るビールだったな」
「そう。容量は473mlよ」
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“Here you go!"
さっそく、パインが来ました。
飲みます。
「美味い!この厚めのガラス容器の、心地良い重さもいい」
「でしょ」
“Excuse me.”
誰かが、声をかけて、来たのです。
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それは、とても背の高い、ダークブラウンの髪の毛をした青年でした。
“Oh, I’m Sam. This one over there is Dean.”
“Hi.”
もう1人が、言いました。
こちらは、ほとんど黒髪ですが、肌の色は、サムより白いです。
「178cmって、とこか」
万九郎が、今までの経験から、身長を推測しました。
178cmは、日本人だと、長身です。
180cmを超えないと、長身ではないという主張を、どこかで見た気がしますが、日本人は171cm程度です。178cmは、明らかに長身なのです。
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ディーンは、ハンバーガーを食べています。
もちろん、片手で持って、です。
「それにしても、美味そうにハンバーガーを食う男だなあ」
万九郎は、少し驚きました。
ディーンほど、美味そうにハンバーガーを食う男を、見たことがなかったからです。
「それで、何か用?」
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以下、英語で書くのは面倒なので、日本語にします。
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「いや、お前らが、面白そうだから、サムに声を掛けろと、言っただけだ」
ディーンが、言います。
「それにだ。お前ら、何かで有名だろ?だから、金になりそうだしな」
ディーン。正直な男です。
「とにかく、俺たちがいる撮影スタジオまで、一緒に行ってもらおう。ディーン?」
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