4 : 王子の家出


魔法の授業が始まってから半年が過ぎた。

僕は一所懸命に、真面目に授業を受け続けている。

もちろん王子としての勉強も。


改めて言うけど僕の夢は勇者になる事。

だから魔法だけは一人前になりたかった…だけど



―――――――――――――――――



師匠であるマスタンド・レイブンは優秀な魔術師だ。

しかし、僕はというと未だに魔法をひとつも習得出来ていない。


マスタンドによれば体内で魔力を作れない人間は多く・・・・・・・・・・・・

そういった魔力を生み出せない人間は

いかに正確に詠唱をしても発動が上手くいかない事があるらしい。



「フォルテ様…落ち込むことはありません。努力を続けた先に素晴らしい成果があるはずです、頑張りましょう」


「はい…」



僕は落ち込んだ。

マスタンドは僕に気を使ってくれている。



僕には…魔法の才能がない・・・・・・・・のだ。



――――――――――――――――――



落ち込む僕を見て、レベッカは

「魔法を生み出せる人間はこの世界で少数ですよ。大半の人間は【魔道具】を使い生活を送るのですから、そう落ち込まなくても…」



【魔道具】

とはその名の通り誰でも簡単に魔法を使える道具の事だ。



例えば簡単に火魔法を起こせる【火炎玉かえんだま

有限だけど水を生み出す【泉石いずみいし

といったものがある。



でもレベッカ…そうじゃない僕は


「僕は!勇者になりたいんだ!!魔力がないなんて、そんなの勇者じゃないよ!」



大きな声を出し部屋を飛び出した。



こんなに大きな声をレベッカに出したのは初めてだった。


「ごめんなさい」と謝るべきだろうか


それでも僕は走り続けた


走って走って…


生まれて初めて、ひとりで城の外へ出た。






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