第三章 能力消去装置編 現在執筆中
第91話 平穏な学園生活
中間試験が終了し、学園の日常が帰ってきた。
朝から夕方まで授業を受け、終わると寮に戻る。
放課後はたまに流星や神藤さんと街に行って寄り道。
これの繰り返し。
でもこんな日常が楽しくもあった。
俺たちは能力者だから普通の人間と同じような人生は歩めないことは、
今までの経験から十分理解していたからだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
昼休み。
流星や仙撃たち、いつものメンバーで教室で昼ごはんを食べる。
「次の授業なんだっけ」「昨日やってた映画見たやついる?」「これ美味しい」
それぞれが喋りたいことを勝手に喋っている。
「そういえば、あの噂のこと知ってるか?」
仙撃の気になるフレーズにみんなが反応する。
「あの噂?」
「”能力を消す装置”のことだよ」
能力を消す装置?
「そんなのあるのか?」
「それがあるらしいんだ。学園がそれを保管してるって噂になってるぞ」
そんなの初めて聞いたぞ。
「俺もそれ聞いたことある!」
英田が叫ぶ。
「なんか国の研究所が作ったって。それに近々、生徒に向けてお披露目会があるらしいとかなんとか」
「みんなよく知ってんな。俺なんて全然知らなかったぞ。流星、知ってたか?」
「いや、僕も初めて聞いたよ」
「だよな。それって使えば能力が完全になくなるのか?なら能力者の俺たちは普通の生活に戻れるんじゃないか?」
俺の発言にみんなが黙り込む。
まあ学園がそんなことを許すわけがない。
能力者は核兵器に匹敵するぐらい、他国に対しての大きな抑止力なんだから。
「まあ人づてに聞いた噂だしな。本当かどうかもわからない」
仙撃が会話をまとめ、その日の昼休みは終了した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
放課後、
散歩がてら街に行くことに。
俺は昼休みにみんなで話した”能力を消す装置”のことが頭から離れなかった。
能力が完全に消えるなんてこと、あるのだろうか。
そんなことを考えながら歩いていると、
目的地である街の大きなショッピングモールの目の前まで来ていた。
「にしてもでかいな」
学園以外の普通の街にもある有名なショッピングモール。
中には様々なお店が勢揃いしており、ここに来ればなんでも揃う。
そのおかげか、お客さんが次から次に出入りしている。
「にしてもでかいわね」
俺の隣で同じことを呟いている奴もいる。
ふとそいつを見ると、A組の天使だった。
「おう、お前も買い物か?」
「・・・そうよ、買い物よ」
「何買いに来たんだ?」
「そんなの秘密よ!」
天使はそう言うと、
怒ったのか大きな足音を立ててデパートに入っていった。
「なんだあいつ・・・」
呆れつつ、俺もデパートに入っていく。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
しばらく中を見て周る。
このショッピングモールは広いので、一周するだけでも時間がかかる。
そうだ、本屋に行こう。
欲しい本があったんだ。
確か1つ上の階だよな?
エスカレーターで上の階に上がろうとする。
エスカレーターに乗っている人を見ると学生が多かった。
やっぱ放課後の溜まり場になってるんだなー
すると横の下りのエスカレーターに金髪の女性が乗っているのが見えた。
・・・天使だ。
距離はどんどんと近づいていき、すれ違う。
天使は何か買ったのか、片手に買い物袋を持っている。
「お目当てのものは買えたか?」
俺がエスカレーターのすれ違い様にそう声をかけると、
何も言わずにキッ!と睨まれた。
俺はそれに唖然とする。
なんて愛想のない奴だ。
っていうか俺、天使に嫌われてる?
そして本屋で買い物を終え、
今度はエレベーターで下の階に行こうとする。
エレベーターに乗っていると、途中でチン!と鳴った。
誰かが乗ってくるようだ。
ウィーンとエレベーターのドアが開く。
目の前にはまたもや金髪の女性がいる。
・・・天使だ。
天使は乗ってこようと数歩進んだが、俺の顔を見た瞬間立ち止まった。
驚きの中、2人でしばらく見つめ合う。
天使は口を開けてポカンとしている。
何か買ったのだろうか、片手だった荷物が両手に増えている。
すぐさまエレベーターの閉まるボタンを連打する。
ドアが閉まっていくが、天使が足をガッと突っ込んで止めた。
「閉めるんじゃないわよ!」
怒った表情でドアをこじ開け、
中に入ってくる。
天使はフン!とそっぽを向いて俺の前に立つ。
そして自分の目的の階のボタンを押した。
エレベーターのドアが閉まり、下に進んでいく。
静寂が訪れる。
「お前、俺のストーカーか?」
「あんたがストーカーなんでしょ!?行くとこ行くとこ現れて!」
「違うわ!」
エレベーターが止まってからも言い合いは続き、
その勢いのまま一緒にショッピングモールを出た。
仕方なく、2人で学園に向かって歩き出す。
天使は恥ずかしいのか、俺の隣を距離を開けて歩いている。
そうだ、せっかくだし聞いてみるか。
「天使、”能力を消す装置”の噂知ってるか?」
「もちろん知ってるわ」
「じゃあこの噂、マジなのか?」
「マジよ。近々生徒を集めて公開するらしいわよ」
噂は本当だったのか。
「へー。でも能力が無くなれば普通の人間に戻れるってことか。それっていいことだよな!」
「・・・全然よくないわよ」
天使が呟く。
「能力が無くなるのは自分が無くなるのと同じ」
なぜか天使は暗い顔をしている。
こいつにとって能力はそんなに大事なものなのだろうか。
「まあ、あなたみたいなC組なら、普通の人間に戻れていいじゃない」
「それはそうだが、確かに能力がなくなるのも寂しい気がするな」
天使の言う通り、
能力は自分の個性であって大切にしないといけないのかもしれない。
「そう思えばお前の飛ぶ能力、便利だよな!そうだ、歩くの疲れたから寮まで運んでくれよ」
「嫌よ!自分で歩きなさい!」
「頼むって!」
すると天使の背中から白い翼が現れた。
そのまま俺を運んでくれると思いきや、天使は一人で空に上がっていく。
「おい!」
「歩くの疲れたから飛んで帰ろっと」
「ちょっと待て!俺も連れてけ!」
「じゃあねー」
天使がニヤニヤしながら飛んで行った。
異能学園最底辺C組 〜落ちこぼれ能力者たちの下克上〜 ぺいぺい @peipei_1234
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