第77話 反撃開始 



 突然の爆発で何がなんだか分からない。

爆風、そして耳が割れそうな轟音に呑まれる。

確か俺がミツカミサキをぶった斬った後に爆発した気が・・・


 まさか俺たち、死んだのか?

そんな恐怖を体が襲った途端に体の感覚が引き戻される。

気づいたら全員、東雲の”不可侵領域”の中にいた。


 先頭には東雲がいて、

その横には國咲が立っている。



「私がいなかったら全滅ですよ・・・」



 東雲が”不可侵領域”を使ってそこに國咲が”完全未来予測”で全員を移動させたのか!

國咲がガクッと跪く。



「大丈夫か!?」



横にいた仙撃たちと共にすぐに駆け寄る。



「はぁっ、はぁっ、大規模な未来の改変は体力を使うんですよ・・・」



 國咲は相当体力を消耗したようだ。

もう戦えないか・・・



「こいつのもう一つの能力は”攻撃蓄積”だ。今まで俺たちが与えたダメージを蓄積して

それを一気に放出したんだ」



仙撃が分析している。



「無駄に攻撃してもまた蓄積して反撃されるだけか・・・」



 でもこれで全ての能力がわかった。

”能力阻害”と”即時再生”と”攻撃蓄積”



「能力阻害のせいでうまく能力が使えない状態で、やっとの思いで攻撃を与えても即時再生される。さらにそのダメージを蓄積されて一気に解放される。これは非常にまずいな」



 仙撃が諦めるような言い振りをする。

既に完全に再生しているミツカミサキが東雲の”不可侵領域”向かって突進を続けている。



「観察したところ、即時再生の能力は限界がないようですね。何度でも続けて再生できる」



 國咲が言う。

確かに、あんな凄まじい爆発だったのに体が既に再生している。



「あと、絶望的なことを言うと、核は体の中を自由自在に移動させられるみたいだ」



 俺からみんなに伝えた。 

大剣でミツカミサキの体を真っ二つに斬った時、

途中で核を見つけた。

しかしそれを斬る瞬間に核が体の奥へ移動していった。



「本当ですか?じゃあどうやって倒せばいいんだろう・・・」



三島が呟く。



「こいつを倒す方法は1つだけ・・・体の中から核を引っ張り出してきて斬るしかない」



 全員が黙り込む。

そんなことするのは至難の技だ。



「・・・鳴神、任せていいか?」



仙撃が腕輪を差し出してくる。



「”擬似覚醒状態”になれるか試してみよう。俺たちじゃダメだ。でもお前ならできる」



他のみんなも続々と腕輪を俺に渡す。



「能力者の限界を引き出す覚醒・・・あなたなら到達できるはずです」



 國咲がそう言って最後の腕輪を渡してきた。

全員の思いが込められた腕輪がここにある。



「ちょっとだけ時間を稼いでくれ」



俺は腕輪を6つ装着した。



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