第76話 腕輪の力
あまりの能力の強さに感激する。
「でもいつまでもここに篭っておくわけにもいかないぞ」
仙撃の言葉で我に返る。
「そうだな。まずミツカミサキのもう一つの能力は”即時再生”で間違いないだろ」
「はい、そうでしょうね。でも”能力阻害”と”即時再生”、あと1つがわかりません」
國咲が冷静に分析する。
「とにかく再生する能力がある以上、生半可な攻撃じゃ意味がないな」
「ああ、鳴神のあの威力のエネルギー砲でも倒せなかった。それにみんな見ただろ?あの核のようなやつ」
「見ましたよ。あれがミツカミサキの心臓のようですね。でもあなたの強力な一撃でも壊れなかった」
そう、俺の今出せる最強の一撃でも核を壊すことができなかった。
じゃあどうすれば・・・
「今は倒すよりもう1つの能力の解明が最優先じゃないですか?」
東雲が言う。
「鳴神、お前ならどう動く?」
この場のみんなが俺に注目している。
王様ゴールの時を思い出すな。
「東雲の言う通り、今は倒すことは考えなくていい。まずは再生能力に限界があるのか知りたい。無尽蔵に再生するのか、それとも攻撃を続ければ再生が遅くなっていくのか。もう一つの能力を解明しつつ、攻撃を加えて様子を伺おう!」
「了解!」
仙撃の元気な返事が聞こえる。
「國咲としずくちゃん、東雲はミツカミサキの注意をひいてくれ。俺と仙撃と三島は攻撃だ」
「おう!」「わかりました!」「りょーかい!」
俺の作戦に対してそれぞれの返事が返ってくる。
「じゃあみんな行くぞ!」
瞬間、東雲が”不可侵領域”を解除する。
小さく透明なドームが消えていくと同時に、
距離を取ってそれぞれの役割に散っていく。
「こっちですよ!」
國咲としずくちゃんがわざとミツカミサキの目の前に立って囮になっている。
ミツカミサキが噛みつこうとするが、能力で回避する。
「能力阻害のせいで攻撃が予測しづらい!」
國咲が叫ぶ。
でもうまく囮になって2人に注意がいってる!
注意をひいている間に仙撃が横から攻撃する。
仙撃の放った衝撃波が直撃する。
「どうだ!少しは効いたか!?」
即時再生の能力のせいで与えた攻撃が瞬時に再生している。
ミツカミサキが國咲たちを無視して仙撃の方へ向く。
しかし三島の能力で仙撃と三島の場所を入れ替え、
仙撃がまた別の方向から攻撃する。
「ガァァァァ!」
ミツカミサキの悲痛な叫び声が聞こえる。
よし!うまく翻弄できている!
今のところミツカミサキの新たな能力は確認できない。
でも”能力阻害”のせいでみんな動きが鈍い。
今は仙撃と三島がミツカミサキを攻撃している。
俺は後ろから観察し、もう一つの能力を探っている。
いつまでもこうしている時間がないぞ。
そういえば出会い頭に俺が撃ったエネルギー砲では肉が削げ落ちて骨だけになっていた。
俺のエネルギー砲は魔法攻撃みたいなもんだ。
あれじゃあ核に全ての威力を集中できているわけじゃない。
なら物理攻撃ならどうだ?
「仙撃!腕輪貸してくれ!」
「わかった!」
仙撃から腕輪を受け取る。
これで俺が着けている腕輪は2つだ。
力を入れ、両手で剣を構えるポーズをする。
意識を集中させて剣を構成し、
みるみるうちに目の前に大きな大剣が出来上がっていく。
そして黄色の分厚い大剣が完成する。
剣なんて使ったことねぇけどまあいい。
こいつであの核を叩き斬ってやる。
「三島!」
大きな声で叫ぶ。
すると三島は気づいて俺の意図を汲み取ってくれたのか、
能力で俺と三島の位置を入れ替えてくれた。
瞬く間に戦場に駆り出される。
すぐ目の前にはミツカミサキ。
三島は俺と位置を交換して後ろの方にいる。
「仙撃!俺を飛ばしてくれ!」
声とともに上を指差す。
仙撃が俺と、俺が持っている大剣を見て全てを理解する。
「了解!飛ばすのは得意だ!」
仙撃に向かって走っていく。
同時に仙撃の衝撃波が俺に向けて発射され、それを踏みつけて大きくジャンプする。
「久しぶりだなこの感覚!」
王様ゴールの時も、何度も仙撃に上に飛ばしてもらった。
真下にはミツカミサキ。
持っている大剣を構える。
「これは痛ぇぞ?」
自由落下で落ちていく。
ミツカミサキは気づいていない!
さっき再生した時はミツカミサキの体の中心に核が存在していた。
今はその真上にいる!
「うぉぉぉぉ!」
バスン!とその巨体を一刀両断した。
見ると、ミツカミサキの胴体は真っ二つになっていた。
その時、ミツカミサキの体内から凄まじいエネルギーを感じた。
なんだこれ・・・
「何か来ます!」
國咲の言葉より一歩早く、
ミツカミサキを中心に大爆発が起こり、
あたりは爆風に飲まれた。
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