第75話 即席チーム 


 6人全員でミツカミサキと向かい合う。

改めて前にするとすごい威圧感だ。

思わず足が後ろに下がってしまう。


 それは他の5人も同じで、

俺たちは完全に迫力で押し負けていた。

ミツカミサキはすでに臨戦態勢だ。



「くるぞ!」



 仙撃の声とともにミツカミサキが勢いよく向かってくる。

瞬間、俺が前に出ていきなり最大火力でぶっ放した。



”特大火力砲”



 高威力で広範囲のエネルギー砲。

腕輪で能力を増強した俺が今出せる中で最強の一撃。

完全に仕留めにいった。


 目の前が俺の撃ったエネルギー砲で見えなくなる。

空を切り裂く轟音と反動が俺たちを襲う。



「何やってんですか!体力温存が大事でしょ!?」



後ろで國咲が怒っている。



「最初から全力で行く!俺は好きな食べ物は最初に食べるタイプだからな!」



それを聞いた仙撃はガハハ!と笑っている。



「もう!本っ当に自分勝手な人ですね!」



 そうやって怒る國咲は笑っていた。

下がっていた士気があがったのを感じた。

さっきまで怖気付いていたみんなは何処かに行っていた。


 よし、作戦成功だ。

ミツカミサキの迫力に圧倒されたままだと絶対に負けていた。

爆風と煙に包まれてミツカミサキの姿が見えない。



「まさか倒しちまったか?」



 仙撃が呟く。

まさかな・・・


 煙が消えていく。 

煙の中から現れたのは、

身体中の肉は削げ落ち、中の骨まで見えていたミツカミサキの姿だった。

しかしその肉体はどんどん元に戻っていく。

一つの顔の目が光っている。

能力だ!



「こいつ、治癒系能力か?」



 すると、赤黒く丸い核のようなものを中心に、

ミツカミサキは原型を取り戻していく。

あれがこいつの心臓部なのか!?


 途端に何度も聞いたグルルルル、キリキリキリ、カカカカカ、という声で鳴き始めた。

完全に元の姿を取り戻したミツカミサキは再度こちらに向かってきた。

まずい!



「僕の後ろに下がって!」



 東雲が叫ぶ。

全員で急いで東雲の後ろに隠れる。

東雲が手を広げると透明な大きな壁が出現し、俺たちを取り囲んだ。



”絶対防御”



瞬間、ガキン!とミツカミサキが壁に突撃する。



「すげぇ!」



 これが”絶対防御”の能力か!

流石A組だ!

完全に遮断している。


 しかしミツカミサキは追撃を辞めず、壁に向かって何度も体当たりをしている。

瞬間、ピカッ!とミツカミサキの顔が光った。

そして壁に段々とヒビが入り始める。



「”能力阻害”のせいで破られかけてる!」



 ビシッ!ビシっと亀裂が大きくなる。

もういつ破れてもおかしくない状況だ。



「一筋縄ではいかないか!壁が破れたら國咲の能力で未来を変えよう!」


「いや!僕を信じてください!」



東雲が俺の言葉を遮る。



「A組を舐めないでください」



 そう強く呟いた東雲からとてつもない力を感じた。

何かするつもりだ!

初日に天使から受けた暴風の竜巻と同じようなものを感じた。




”不可侵領域”




 俺たちを囲んでいた壁が無くなり、

代わりに小さく透明なドーム状の空間に包まれる。



「ここにいれば外側から入ってくることは絶対にできない!」



 ミツカミサキが攻撃してもヒビすら入っていない。

”能力阻害”も全く効いていない様子だ。



「このドームは技を発動した時点で空間に領域が確定するんですよ!」


「まさに侵入不可能、”不可侵領域”ってことか」


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