第38話 結果発表 



 C組のみんなでA組から1点獲ったことを喜んでいると、

B組の先生の声がスピーカーから聞こえた。



「それでは結果発表を行いますので全員闘技場に集合してください」



ん?闘技場?



「闘技場なんてあるのか?」


「日向くん、この街の横にあるんだよ。結果発表は闘技場でやるって先生が説明してたよ?」


「全然聞いてなかったわ」

 


 重い足を引きずりながら闘技場に向かう。

C組みんなで協力し合い、肩を貸しつつ歩き出した。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 演習場の街から森の中を歩く。

数分ほど歩くと目の前に大きな遺跡が現れた。

ローマ遺跡のような雰囲気で円形になっている。

1段上がった所に取り囲むように観客席が広がっている。



「す、すげぇな」



 目の前の壮大な建築物に思わず声が漏れる。

コロシアムって感じだな。

すでに多くの生徒が集合していた。



「それでは今回の結果発表を行う!みんな中央に集合してくれ!」



A組の先生が台の上に立って呼びかける。



「今回2日間の合宿で行った王様ゴールの結果は・・・」



結果発表、まあ俺たちは最下位だよな。



「1位はA組!そして2位はB組!最後に3位はC組だ!」



 当然の結果に喜びの声も上がらない。

まあそうだよな。

パチパチと形だけの拍手が巻き起こる。



「順当な結果になってしまったが、どの組も本当に頑張ってくれた!今回の合宿で自分の能力の使い方など各々成長して学んだ部分があるはずだ!」



 でも先生の言うとおり、成長したと自分でも感じる。

1日目はA組にボコボコにやられて、2日目もやられた。

どの試合でもボコボコにやられたけど、最後にA組に一矢報いることができた。

 

 他の組との能力差もよく知ることができた。

それに・・・俺たちは”能力者”なんだということを改めて実感した。



「そしてみんなお待ちかねのMVPの発表を行う!」



 そういえばMVPとかあったな。

MVPに選ばれれば上の組にあがれる”昇格権”を与えられる。

C組の生徒は卒業すれば能力解明のために研究所に送られる。

研究所に送られるということは実験材料として使われ・・・死ぬ。


 っていうかみんなMVPのために頑張ってたんだもんな。

存在を完全に忘れてた。

こんな呑気でいいのか?俺。



「今回のMVPは・・・」



 B組とC組の生徒が固唾を飲んで発表を待つ。

A組はどうでもいいというようにそっぽを向いている。

まあどうせA組のだれかだろうな。



「C組の鳴神日向だ!」



 ・・・は?

状況が理解できない。

え、俺!?



「今回の合宿で鳴神はC組のみんなを率いて大きな能力差があるにも関わらず勇敢に戦った。そしてA組から1点を獲得した!これはすばらしいことだ!なんせこの王様ゴールで今までC組がA組から点を獲ったことは一度もないのだから!」



す、すごいことなのか?



「巧妙な作戦、クラスを率いる統率力、そして類まれな能力、これらを評価してのMVPだ!」



A組の先生が俺のことを褒めちぎる。



「よかったな!鳴神!」「すごいよ日向くん!」



C組のみんなから祝福される。



「よってC組の鳴神日向に”昇格権”を与える!」



 ”昇格権”・・・これがあればB組にあがれる。

C組の祝福する姿と対照的にB組の生徒が俺のことを睨んでいた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る