第7話 エピローグ

 人は一番仲のいい友達を親友と呼ぶ。僕にも勿論いる。彼はもうこの世界にいないけれど、僕が彼を忘れない限り僕の中で生きている。


 社の近くにある枝垂桜の下で着ている絹のような着物をひらりと揺らして、花がふわりと咲く様に微笑む彼。


 お賽銭箱の前でお賽銭より、お稲荷さん頂戴と少し大きな下駄をカタカタと鳴らして、駄々をこねる彼。


 雨の中、赤い番傘を差して雨音をぽとぽと、しとしとと、楽しむ彼。


 真っ赤な彼岸花の様な瞳からぼろぼろと涙を流し、僕に微笑んでくれた彼。


 僕の中には僕の大好きな親友が今も僕を守ってくれている。そして、ずっと僕と一緒に生きている。

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大切なもの @yutoraru10

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