第4話 親友

星を見た日から二週間が経った。


「ねえ、夏樹颯君だよね?」


「はい、そうですけど..」


帰りのホームルームを終えた所で声をかけられた


「私隣のクラスの葉月香奈です。七瀬咲希の友達の」

「その..咲希のことでちょっと話したいことがあって」


「は..はい」


重い空気が流れていた。二人は人気のない場所に階段に移動した


階段に腰をかけると葉月が話し出す


「あの子ね、中学の頃は軽音部でボーカルをしてたの。でも喘息になっちゃってね、お医者さんから歌は辞めたほうが良いって言われて。すごく落ち込んで学校にもこれなくなった時期があったの。今は普段は明るく振る舞ってるけど音楽を避けるようになって.....」


「ありがとう、話してくれて」


「ありがとう」


二人はその場で解散した。



ぷるるる。颯のスマホが鳴る。


「どうした?七瀬」


七瀬は体調が悪いとのことで学校を休んでいた。


「全然大丈夫..あのさ、今から家に来てくれない?ちょっとだけで良いから」


「わかった、すぐ行くから待ってて」


急足で七瀬の家に向かった。


インターホンを押すとすぐにドアが開いた


「ごめんね、急に」


「気にすんな」


「取り敢えずあがって」


「お邪魔します」


いつもより元気がなさそな声で出迎えてくれた。七瀬の部屋で小さなテーブルを挟んで座る


「なんかあったの?元気なさそうだし」


「へへー。ちょっとね」


無理矢理笑う。


「無理すんなよ」


「...ありがとう」


「なんかあったの?」


「抱きしめて」


「いいよ」


そっと七瀬を抱きしめる。


「落ち着く」


「好きなだけこうしてていいよ」


「うん..」


七瀬は颯の胸に顔をうずめた。


「あのさ..」


七瀬は颯の胸に顔を埋めたまま話し始める


「私は颯のこと名前で呼んでるのに颯は私のこと七瀬って名字で呼ぶじゃん....その..」


「咲希」


初めて七瀬を下の名前で呼んだ。


「もう一回」


「咲希」


「まだ足りない」


「咲希」


「ふふっ、颯可愛いっ」


「ふざけやがってー」


「ありがとね、元気でたよ」


「なら良かった」




「そろそろ親帰ってくるかも」

「こんなことしてるところ見られたら大変だね」


「じゃあまた明日な」


「うん!」


咲希は玄関で手を振り合ってから颯は帰路につく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る