第187話 呪われし魔人
≪ってかさルザルク。言いにくいんだけど、王都……結構壊しちゃうかも≫
≪……ほどほどに頼むよ。ただでさえ色々大変なんだから……≫
≪うーん、善処するわ!≫
≪まぁ、ある程度は仕方ないけど、ハァ……。問題は山積だね≫
ルザルクと念話で情報共有をしつつ、言いにくかった事も伝える事ができた。
ルザルクはすでに協議会を終わらせ、アルト王国へ飛空艇で帰還しだしているそうだ。早ければ明朝に王都へ到着する予定となっているらしい。あれから1時間程度で協議会を
ルザルクとレジェンダに関しては俺と主従契約を結んでいるため、最速で王都へ戻ってこようとするならばアルラインダンジョンへ帰還転移すれば良い。ただ、現実的に考えてソレは後々になって問題が起きかねない。
勘が良い他国の首脳陣ならば転移に準ずる手段をルザルクが有していると察せられてしまうだろうし、一緒に帰国予定であったルザルクの護衛や外交担当の貴族たちに疑念を抱かせるわけにもいかない。
それに今すぐルザルクが王都へ帰ってきたとしてもできる事はそれほどない。むしろフェルナンドにとって都合が良い展開にすらなりかねない。これらのことを総合的に考えると、俺達の目標達成までのタイムリミットは明朝までということになる。残り約半日ほどでフェルナンドの捕縛か殺害、街の奪還、民衆の避難を終わらせなければならないというわけだ。
視線を前に移すと王都を囲む城壁や王城などが見えている。ということは、そろそろ敵からも俺達の事を視認できるようになっているということ。目算では王都到着までおよそ5分程度といったところだろう。
≪そろそろ王都に到着する≫
≪うん。阿吽達の事だから心配ないとは思うけど、気を付けてね≫
≪おう! んじゃ行ってくるわ!≫
ルザルクとの念話を切ると、横に座っているキヌに袖をクイっと引っ張られる。
「阿吽、ネルフィーに細かい指示伝えておいた」
「おっ! さすがだな! あとは俺達のここからの動きだが……」
「それも考えてある。阿吽とドレイクは守りながら加減して戦うの、苦手。なら民衆が居る闘技場よりも、王城に向かった方が思いっきり動ける。闘技場には私とシンクが行ってネルフィーのサポートと場内の反乱軍の掃討をする」
「オッケー、それで行こうか! ドレイク、まずは闘技場に向かってくれ。その後二人で王城に行くぞ」
「ん。闘技場の上を通ってくれるだけで良い。この高さなら、飛び降りても大丈夫」
「わたくしもそれで問題ありません」
「了解っす! なら闘技場の上空を通過しつつ、王城直行コースっすね!」
「おう! 王都に入ればいつ戦闘になるかも分からん。気張っていくぞ!」
「うっす!!」 「ん。がんばる」 「承知いたしました」
徐々に暗くなっていく空を視界に収め、頬に伝う雨を感じながら再度気を引き締める。
数分後、闘技場の上空付近に到着すると、キヌとシンクの二人は「いってきます」とこちらに笑顔を向けドレイクの背中から飛び降りていった。この二人がネルフィーと合流すればどんな状況でも落ち着いて対処してくれそうな安心感がある。マジでウチの女性陣って有能なヤツ等ばっかりだな。武力だけじゃなく、状況判断能力も高いし冷静に状況を見極める事ができるだけの広い視野を持っている。
そう考えると俺とドレイクのコンビは、何かを破壊することは得意だけど丸く収めるってのは苦手なんだよな。
……あれ? このペアって、大丈夫なんか? 急に不安になってきたぞ……。
んー、まぁいっか! 気に食わんかったら全て力業で押し切って、後からルザルクに謝ろう!
そんなことを考えていると……、突然側方から巨大な火球が飛来した。
「ドレイク! 左に旋回しろ!!」
「うぇ!? あっぶな! 一体どこから……ってアレ、何っすか!?」
「とりあえず竜化を解いていいぞ。ドラゴンの身体だと避けにくいだろ?」
「うっす! んじゃこのまま竜化解いちゃいますね!」
気を緩めていたわけではなかった。即座にドレイクへ指示を伝えられたのも、王都に入ってから常に周囲を警戒していたからだろう。それでも、魔法が飛来するまで敵の存在に気が付かなかった事に驚きは隠せなかった。
人型に戻ったドレイクとともに民家の屋根に着地。咄嗟に火球が飛んできた方角へと視線を戻し、その存在を鑑定する。
<ステータス>
【名前】ブライド・イシュロワ
【種族】魔人
【状態】狂乱・激情・幻聴・熱痛・出血・空腹
【レベル】54
【属性】火
【HP(体力)】9709/9900
【MP(魔力)】1510/1800
【STR(筋力)】171
【VIT(耐久)】120
【DEX(器用)】99
【INT(知力)】202
【AGI(敏捷)】255
【LUK(幸運)】18
【称号】魔ノ者との契約者
剣帝
豪炎
呪われし者
【スキル】
・魔人化:蜈ィ縺ヲ縺ョ繧ケ繝??繧ソ繧ケ縺?80??い繝??縺鈴」幄。悟庄閭ス縺ィ縺ェ繧九?
・
・フレイムソード:炎でできた剣を具現化する。MPの使用量に応じその大きさが変化(MP消費50~200)
・フレイムボール
・フレイムランス
・体術(Lv.4)
・剣術(Lv.6)
【装備】
・魔剣オルグヌス(呪):鑑定不可
・ファントムヘルム(呪):鑑定不可
・アスピレーションソウルアーマー(呪):鑑定不可
・ブラッディーグローブ(呪):鑑定不可
・ソーンブーツ(呪):鑑定不可
・デビルズリング(呪):鑑定不可
「っ!? ブライド……だと……?」
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