第123話 周回攻略後のステータス変化①


「あ、そういえば今回の周回でみんなレベルが結構上がったろ? せっかく集まってるし、ここでステータスの確認をしても良いか?」


 俺の提案に対して真っ先に手を上げたのはネルフィーだった。


「それなら私から良いか? 確かに強くはなっているが他の3人と比べると見劣りするだろうからな。先に見てもらいたい」


「わかった。んじゃ、こっち来てくれ」


<ステータス>

【名前】ネルフィー・ガーデン

【種族】ダークエルフ

【状態】

【レベル】60(+10)

【属性】樹

【HP(体力)】3200/3200(+300)

【MP(魔力)】700/700(+100)

【STR(筋力)】40

【VIT(耐久)】35(+3)

【DEX(器用)】108(+29)

【INT(知力)】70(+10)

【AGI(敏捷)】95

【LUK(幸運)】25

【称号】従属者

    光陰

【スキル】

・観察眼

・隠密

・樹属性魔法(Lv6)

至妙しみょう

泰然自若たいぜんじじゃく:DEX・AGI・INTが150%アップ

・分身:魔力での自身の虚像を生み出す

・追跡:対象にマーカーを付け、居場所を感知する

・弓術(Lv.6)

・短剣術(Lv.3)


 なるほど、すげぇ尖ったステータスになってきたな。【黒の霹靂】に入ってからは後方からのサポートや、遠距離からの攻撃を与える役割ダメージディーラーとして敵に対して的確にダメージを与えていたのがステータスに如実に表れている。しかも【泰然自若たいぜんじじゃく】という攻撃に特化した強化バフスキルと獲得し、2重バフも可能となったようだ。

 さらに【追跡】スキルは斥候や暗殺時にめちゃくちゃ有用だ。今回の計画ではネルフィーの能力を宛てにしているところも多くあるし、仲間の中で唯一無二の能力だ。これは今後【星覇】としてクラン単位で動く時にも大いに力を発揮してくれることだろう。


「これはすげぇステータスになってきたな」


「自分でも驚いている。正直こんなにも強くなれるなんて思ってもみなかったからな。

 だが、やはり種族的に進化はできないようだ。何となく分かっていたが、少し残念だな」


「ん? そうなのか? あれ……? 最近ハイダークエルフっていう種族を見た気がする…………あ! ノーフェイスだわ!! あいつのステータス見た時に種族が【ハイダークエルフ】になってたんだ」


「ハイダークエルフ……だと? それにノーフェイスとは何者だ?」


「実はさ、非公式会合に潜り込んでた帝国の奴が居たんだ。詳しいことは後から話すけど、そいつのステータスを鑑定した時にそんな種族になってたぞ。だからネルフィーも今後進化できる可能性があるって事じゃねぇか?」


「ふむ……にわかには信じられんが、少し希望が見出せそうだな」


「あぁ、ドレイクみたいに進化に特殊な条件があるかもしれんし、ちょっと気にして調べてみてくれ」


「わかった。情報感謝する」


 黄金の葡萄亭での時は咄嗟だったこともあり、数値やスキルばかりに目が行っていたが、アイツは思った以上に色々と秘密がありそうだな……。

 まぁ、ノーフェイスの事は今考えても仕方ない。次はドレイクのステータスを見てみるかな。


「っし、次はドレイクだ。こっち来てくれ」


「うっす!」


<ステータス>

【名前】ドレイク・ベレスティ

【種族】龍人

【状態】

【レベル】61(+9)

【属性】氷・風

【HP(体力)】7600/7600(+800)

【MP(魔力)】900/900(+200)

【STR(筋力)】114(+21)

【VIT(耐久)】76(+8)

【DEX(器用)】46

【INT(知力)】90(+20)

【AGI(敏捷)】90(+8)

【LUK(幸運)】10

【称号】従属者

    破壊帝

【スキル】

氷風武装ひょうふうぶそう

雲蒸竜変うんじょうりょうへん

・風属性魔法(Lv.6)

・氷属性魔法(Lv.5)

・竜化

・飛行

・剣技(Lv.3)

・棒術(Lv.5)


 ドレイクは新しいスキルは獲得していないが、棒術のスキルが3レベルも上がっている。これはずっと【赤鬼の金棒】を使っているためだろう。今では確実に俺よりも【赤鬼の金棒】を使いこなしていると言える。

 近接攻撃力の高さと耐久力の高さに加えて、2属性の魔法を合成して使いこなす事ができるそのセンス。そして物怖じしない性格と根性。

 現在このパーティー内で継続的なダメージを一番安定して与えられるのは間違いなくドレイクだ。しかも、2重バフを使用する事で全体的なステータスを底上げする事ができるため、その安定感がさらに増す。まさにパーティー戦闘での潤滑油的な存在となっている。


 だがこれは、生まれ持った“才能”という言葉で片付けるには軽すぎる。

 言わばこのステータスは、【星覇】というクラン内での自分の在り方を誰よりも悩み、試行錯誤を怠らず、日々努力を積み重ねてきた、ドレイク・・・・という『自己同一性(アイデンティティ)』。

 ステータスの伸びが今までと比べて大きくなっているのは、これは龍人へ進化したからっていうのが理由ではあるだろうが、ドレイクの成長を後押しする追い風のようなものだ。


 それにドレイクは、俺とアークキメラの戦闘後に新スキル獲得のための試行錯誤をしだした。ステータスを見る限りではまだ習得には至っていないが、最近の様子を見ると、何かしらのアイデアは浮かんでいるんだろう。それ次第では一気に開花する可能性も大いに秘めている。


「ドレイクは努力が形になってきてるな」


「そうっすね! 兄貴に色々相談に乗ってもらったお陰っす! でもまだまだ強くなるっすよ!」


「おう! 期待してるぞ」


 次はキヌとシンクの2人だな。この2人は元々が魔物であることや、俺と同じく6度目の進化を済ませていることもあり、色んな意味で変化は大きそうだ。


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