第7話

(ふう。どうやら無事だったみたいね)


彼女はどうやら隣町の川から溺れ流されて、俺たちの町についたらしい。そして、意識が朦朧とし、足取りさだかではなかったせいか、這い上がったこの川辺周辺の土手に草むらの中で力尽き、気絶していたようだ。そこを俺たちが機械を使い発見した。そこそこ広い面積の草むらだったが、天恵の発明によりすぐさま発見できた。草刈りが終わった、時期だったりすれば発見された可能性は高かっただろうに、あいにく草刈りの時期はまださきだったのは運が悪かったのかもしれない。とはいえ、俺たちに見つけてもらったのは運が良かったとも言えるかもしれない。がこのさいどうだっていい。それよりも問題なのはーー


(磁石になったかと思ったわ!)


文音ちゃんの応急処置を終え、動かしてもいい様態だと確認できたところで、救急車を手配し、あそこで雨ざらしになるのはよくないとのことで、天恵が捜索しながら目星をつけていたと思われる、救急車の到着指定した公園からすぐ近くで雨宿りができる大きな木の下へと移動することにした。

雨宿りの場所の地面に天恵が毛布の敷き、俺はその上にまるで姫を扱うようにやさしく高鈴文音ちゃんを降ろして、毛布を被せ終わると、すぐさま天恵を睨みつけつつ、小声で怒鳴ってでてきたのが、今のセリフだ。。


それ半分当たってる。地球が磁石みたいなものだから、それらを応用したわ。あとは彼女から流れる特殊な脳波をレーダーにして……)


(もういい。俺は文系なんだ。そんなこと言われてもわからん。あとてめえ。顔をグルリで焼いたみたいとかいったこと一生忘れないからな)


機械を使って居場所特定したときに起きた出来事を詳しく話そう。あのあと俺はその言葉とおり磁力に引っ張られるようかのように高鈴文音ちゃんの元へ駆けて行った。途中脛に木をぶつけること数回。川を突っ切ること数回。フェンスにぶつけるの一回と結構悲惨な目に遭いながら、彼女を発見した。なので結構な傷だらけだ。この傷が彼女を見つけるための最短ルート起こったことなら、多少目をつむるのだが、結構な遠回りするかのように、無駄移動を繰り返したのが、腹を立つ。


「それはわるかったけど、詳しく聞かずに行くあんたにも非あるわよ。まぁ悪かったわね。ごめん……とっ、とにかく素質あるってことよ。あっ、あんたには。それともう小声じゃなくてよさそうよ」


「そうかい。あとそんな素質いらん。でも、まぁこんな隠れた場所。機械じゃなければ絶対に彼女は見つけられんだろうから今回は俺の素質とお前の発明やらに感謝だな」


救出した高鈴文音ちゃんを見つめながら呟くと、天恵は「そうでしょ!」と鼻高々といった感じで、誇らしげにしている。

今後の行動計画を確認していく。


「峠は越えたから。そんな心配しなくてもいいわ。こっから様態が変わるなんてことはまずないわ。もう少ししたらあの公園にいきましょう。そのころにはちょうどいい感じで、救急車が到着するはずだから」


「近くで付き添ってたほうがいいんじゃねーか」


「どう説明するつもり? 溺れた地点から、大分流されてるわよ。必死にここに辿りついて、誰かが、通報したというシナリオでいいと思う。それにこの子中々のお嬢様みたいだから、誘拐なんかのあらぬ誤解をされるかもしれないわよ」


 眠り姫と化した彼女を横目でみながら、そうだったのか。だから品みたいなのを感じたのか。単なる容姿によるものかと思っていた。なら、それでいいだろう。一に優先されるのは彼女の安全だが、第二は俺らの活動なのだから。念のため近くの草木に隠れ、彼女を見送って救急車が去ったあと、帰るということになった。


腕時計を一瞥し、「ってなわけで、なにか質問ある? 二分くらいなら話せるけど」 


「あと二分あるんだよな?」 


「そうね。もうちょい長くてもいいけど、キツイ?」 


「全く問題ない」


 もう文音ちゃんを担いで指定の公園に運んでもなんら問題ない。帰宅部だが、これで体力なんかは自信があるんでね。支障がなければ彼女をおぶってここから二往復くらいの体力は余裕である。



  「じゃあなに? 聞きたいなら手短にね」


「俺にまだ機械残ってるだろ」


俺にとっては長く、天恵にとっては一瞬の沈黙が流れたであろう直後、「ど、どういう意味?」


誤魔化すの下手くそだな。おい。仮にも精神分野を研究してるやつがド素人に一瞬でバレるなんて情けないと思わないのか? ハイスペックなくせに学校じゃいつもぼっちだもんな。こいつ。最初は頭の出来のせいかと思ったが、どうやら違うみたいだし、他人との交流も避けたいわけじゃなく、なんなら時折輪に交じりたい表情を覗かせるくせにどう接していいのかわからず、俺がフォローしているせいか、クラス内ではいつのまにか俺がこいつのお守り的ポジションに収まってしまったしまっている。


「怒らないからいってみ」


逃げられなと判断したのか。俺の表情を伺いながら、天恵はおずおずと現状を説明し始めた。


 「今回経験を利用したっていったけど、ぶっちゃけ機械はまだ入ってて、そのまま運用した。今は郷田の頭の機械を経由して、夢を見たりというか保存したりしてる」

 

 「待て待てってことは……」

 

 「うん。夢と繋がったりしてるから、おっさんと瞬間的に心が繋がったりしてるっていえるかな…」

 

 「お前ふざんけんなよ。コラ。あのときは必要に迫られたから、やったけどそのまま放置してたのかよ」


 「怒らないって言ったじゃん。あともう終わり。長くなりそうだからあとで。ほら行くよ。二分経った。経った。最後の一言で一旦締め」


俺の計測だとまだ三十秒近く残ってるはずだが、やめておこう。熱が入って万が一彼女の身になにかあってはずぶ濡れになってまでした今までの苦労が水の泡になってしまう。俺らにはこのあとたっぷり時間があるのだから、この話はシャワー浴びたあとたっぷりしよう。


 「法廷で会おう」


 「本当に最後の一言じゃない」


 「これ以上お前と話すことはない。あとは弁護士を通してくれ。行かなきゃならないんだろ? さっさと先導しろ」


  天恵はこちらチラチラ振り返りながら、先頭を歩き始める。あんなこと言ったが、訴えたり、告発する気はさらさらないあくまでこいつの態度が酷くなければの話だが。ともかく俺たちは目的の公園へ文音ちゃんを移動させるため歩き出した。


「ありがとう」


ノールックでぽつりとつぶやくように感謝の言葉を俺に送った。

天恵の先導によりなにごともなく俺たちは公園に着き、無事彼女を屋根付きベンチに寝かせることに成功していた。あと残る仕事は彼女に不審人物などが近づいてこないかを監視するくらいだ。なので、俺と天恵はお互いに顔は見えてない。

 

「お前が礼をいうなんて珍しいこりゃ明日は雨だな」


もう降ってるでしょ。というツッコミを予想していたのだが、 「だって、あんたがいなかったら彼女を見つけられない可能性もあったし、運ぶのもかなり時間を擁しただろうし、なによりも勇気がでなかったかもしれないから。あ、あくまで仮の話。 私は天才だから見つけられたと思うけど、楽になったのは事実だから一応お礼を言っとこうと思ったの」


 牧之瀬も慣れないセリフを言ったせいかどうやら照れているらしい。顔見なくても断言できる。実にわかりやすい。

 なにかを言いかけようとしたとき、救急車のサイレンが徐々に大きく聞こえ始めた。

(ふう。どうやら無事だったみたいね)


彼女はどうやら隣町の川から溺れ流されて、俺たちの町についたらしい。そして、意識が朦朧とし、足取りさだかではなかったせいか、這い上がったこの川辺周辺の土手に草むらの中で力尽き、気絶していたようだ。そこを俺たちが機械を使い発見した。そこそこ広い面積の草むらだったが、天恵の発明によりすぐさま発見できた。草刈りが終わった、時期だったりすれば発見された可能性は高かっただろうに、あいにく草刈りの時期はまださきだったのは運が悪かったのかもしれない。とはいえ、俺たちに見つけてもらったのは運が良かったとも言えるかもしれない。がこのさいどうだっていい。それよりも問題なのはーー


(磁石になったかと思ったわ!)


文音ちゃんの応急処置を終え、動かしてもいい様態だと確認できたところで、救急車を手配し、あそこで雨ざらしになるのはよくないとのことで、天恵が捜索しながら目星をつけていたと思われる、救急車の到着指定した公園からすぐ近くで雨宿りができる大きな木の下へと移動することにした。

雨宿りの場所の地面に天恵が毛布の敷き、俺はその上にまるで姫を扱うようにやさしく高鈴文音ちゃんを降ろして、毛布を被せ終わると、すぐさま天恵を睨みつけつつ、小声で怒鳴ってでてきたのが、今のセリフだ。。


それ半分当たってる。地球が磁石みたいなものだから、それらを応用したわ。あとは彼女から流れる特殊な脳波をレーダーにして……)


(もういい。俺は文系なんだ。そんなこと言われてもわからん。あとてめえ。顔をグルリで焼いたみたいとかいったこと一生忘れないからな)


機械を使って居場所特定したときに起きた出来事を詳しく話そう。あのあと俺はその言葉とおり磁力に引っ張られるようかのように高鈴文音ちゃんの元へ駆けて行った。途中脛に木をぶつけること数回。川を突っ切ること数回。フェンスにぶつけるの一回と結構悲惨な目に遭いながら、彼女を発見した。なので結構な傷だらけだ。この傷が彼女を見つけるための最短ルート起こったことなら、多少目をつむるのだが、結構な遠回りするかのように、無駄移動を繰り返したのが、腹を立つ。


「それはわるかったけど、詳しく聞かずに行くあんたにも非あるわよ。まぁ悪かったわね。ごめん……とっ、とにかく素質あるってことよ。あっ、あんたには。それともう小声じゃなくてよさそうよ」


「そうかい。あとそんな素質いらん。でも、まぁこんな隠れた場所。機械じゃなければ絶対に彼女は見つけられんだろうから今回は俺の素質とお前の発明やらに感謝だな」


救出した高鈴文音ちゃんを見つめながら呟くと、天恵は「そうでしょ!」と鼻高々といった感じで、誇らしげにしている。

今後の行動計画を確認していく。


「峠は越えたから。そんな心配しなくてもいいわ。こっから様態が変わるなんてことはまずないわ。もう少ししたらあの公園にいきましょう。そのころにはちょうどいい感じで、救急車が到着するはずだから」


「近くで付き添ってたほうがいいんじゃねーか」


「どう説明するつもり? 溺れた地点から、大分流されてるわよ。必死にここに辿りついて、誰かが、通報したというシナリオでいいと思う。それにこの子中々のお嬢様みたいだから、誘拐なんかのあらぬ誤解をされるかもしれないわよ」


 眠り姫と化した彼女を横目でみながら、そうだったのか。だから品みたいなのを感じたのか。単なる容姿によるものかと思っていた。なら、それでいいだろう。一に優先されるのは彼女の安全だが、第二は俺らの活動なのだから。念のため近くの草木に隠れ、彼女を見送って救急車が去ったあと、帰るということになった。


腕時計を一瞥し、「ってなわけで、なにか質問ある? 二分くらいなら話せるけど」 


「あと二分あるんだよな?」 


「そうね。もうちょい長くてもいいけど、キツイ?」 


「全く問題ない」


 もう文音ちゃんを担いで指定の公園に運んでもなんら問題ない。帰宅部だが、これで体力なんかは自信があるんでね。支障がなければ彼女をおぶってここから二往復くらいの体力は余裕である。



  「じゃあなに? 聞きたいなら手短にね」


「俺にまだ機械残ってるだろ」


俺にとっては長く、天恵にとっては一瞬の沈黙が流れたであろう直後、「ど、どういう意味?」


誤魔化すの下手くそだな。おい。仮にも精神分野を研究してるやつがド素人に一瞬でバレるなんて情けないと思わないのか? ハイスペックなくせに学校じゃいつもぼっちだもんな。こいつ。最初は頭の出来のせいかと思ったが、どうやら違うみたいだし、他人との交流も避けたいわけじゃなく、なんなら時折輪に交じりたい表情を覗かせるくせにどう接していいのかわからず、俺がフォローしているせいか、クラス内ではいつのまにか俺がこいつのお守り的ポジションに収まってしまったしまっている。


「怒らないからいってみ」


逃げられなと判断したのか。俺の表情を伺いながら、天恵はおずおずと現状を説明し始めた。


 「今回経験を利用したっていったけど、ぶっちゃけ機械はまだ入ってて、そのまま運用した。今は郷田の頭の機械を経由して、夢を見たりというか保存したりしてる」

 

 「待て待てってことは……」

 

 「うん。夢と繋がったりしてるから、おっさんと瞬間的に心が繋がったりしてるっていえるかな…」

 

 「お前ふざんけんなよ。コラ。あのときは必要に迫られたから、やったけどそのまま放置してたのかよ」


 「怒らないって言ったじゃん。あともう終わり。長くなりそうだからあとで。ほら行くよ。二分経った。経った。最後の一言で一旦締め」


俺の計測だとまだ三十秒近く残ってるはずだが、やめておこう。熱が入って万が一彼女の身になにかあってはずぶ濡れになってまでした今までの苦労が水の泡になってしまう。俺らにはこのあとたっぷり時間があるのだから、この話はシャワー浴びたあとたっぷりしよう。


 「法廷で会おう」


 「本当に最後の一言じゃない」


 「これ以上お前と話すことはない。あとは弁護士を通してくれ。行かなきゃならないんだろ? さっさと先導しろ」


  天恵はこちらチラチラ振り返りながら、先頭を歩き始める。あんなこと言ったが、訴えたり、告発する気はさらさらないあくまでこいつの態度が酷くなければの話だが。ともかく俺たちは目的の公園へ文音ちゃんを移動させるため歩き出した。


「ありがとう」


ノールックでぽつりとつぶやくように感謝の言葉を俺に送った。

天恵の先導によりなにごともなく俺たちは公園に着き、無事彼女を屋根付きベンチに寝かせることに成功していた。あと残る仕事は彼女に不審人物などが近づいてこないかを監視するくらいだ。なので、俺と天恵はお互いに顔は見えてない。

 

「お前が礼をいうなんて珍しいこりゃ明日は雨だな」


もう降ってるでしょ。というツッコミを予想していたのだが、 「だって、あんたがいなかったら彼女を見つけられない可能性もあったし、運ぶのもかなり時間を擁しただろうし、なによりも勇気がでなかったかもしれないから。あ、あくまで仮の話。 私は天才だから見つけられたと思うけど、楽になったのは事実だから一応お礼を言っとこうと思ったの」


 牧之瀬も慣れないセリフを言ったせいかどうやら照れているらしい。顔見なくても断言できる。実にわかりやすい。

 なにかを言いかけようとしたとき、救急車のサイレンが徐々に大きく聞こえ始めた。

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