第5話 5歳だよ、全員集合!

 早い、早いよ。気がついたらもう5歳だよ。まだまだ弱いよ、僕は……

 最近はリラと模擬戦を行ってるんだけど、身体強化を使っても勝てない…… リラは身体強化を使ってないのにもかかわらずだよ。自信が根こそぎ奪われてしまっている。

 けど、ラメルさんだけじゃなくガルンさんも僕の強さは同世代では頭一つどころか三つ四つは抜け出ているって言うんだ。

 では、アナタ達二人の娘は六つ七つ抜け出てますよね……

 まあそれでも3歳の時よりは強くはなってるんだ。リラが別格なだけで……



名前:トーヤ・ログセルガー(公爵家五男)

年齢:五歳

種族:人種

位階レベル:6

性別:男

性格:ムッツリ・アレオッパイ星人

称号:転生者

体力:38

気力:86

技力:48

魔力:208

魂力:416

技能:魔力操縦・全属性魔法(3)・身体強化(中)・気配察知(範囲中)・刀技(3)・見極眼みきわめ(5)・隠密行動(2)・料理(1)・小太刀(1)

加護:アメノウズメの加護

   【道具箱】【知識箱】


 見極眼が(5)になったからリラの能力を知る事が出来るようになったんだ。前は全部を見る事が出来なかったんだけどね。



名前:リラ(公爵家庭師の娘)

年齢:五歳

種族:獣人けもびと(山羊獣人と牛獣人のハーフ)

位階レベル:4

性別:女

性格:トーヤ命

称号:魔法獣人

体力:82

気力:41

技力:62

魔力:98

魂力:81

技能:魔力操作・身体強化(中)・属性魔法(1)【赤・水・緑】・気配察知(範囲中)・剣技(5)・隠密行動(3)・短剣術(2)

加護:ミチザネの加護

   【頭脳明晰】


 リラの体力と技力に関しては参考に出来る大人がガルンさんとラメルさんしかいないから、二人からしたら低いけど、多分だけど普通の人族の大人(戦闘職)と同等ぐらいの数値じゃないかなと思ってる。


(ガルンさんの体力は136、技力は155。ラメルさんの体力は192、技力は140だった。)


 そして、ミチザネの加護だ。何と天神様の加護を授かっているとはお釈迦様でもご存知無いだろう。え? 神様だから仏様がご存知ないのは当たり前だって? そんな事は無いです。神仏習合があったからね。(意味合いが違うのは知ってるよ)


 天神様のお使いは牛だからなのか、興味は尽きないけど、その加護が【頭脳明晰】って言うのがまた凄いと思うんだ。リラは5歳の他の子供(前世の)と比べても賢いからね。


 そうしてリラとの模擬戦を終えて家の中でリラックスしていたら、本邸からセバスがやって来たんだ。前にセバスが来たのは3歳の頃だったかな。何の用事だろう?


「トーヤ様、ご無沙汰しております。実は旦那様がトーヤ様を教会にお連れして、神儀式をお受けするようにとの事でしたのでお迎えに上がりました。ラメル、リラも私の権限で受ける事が出来るから、一緒に連れて行くつもりだ。いいか?」


「セバス様、よろしいのですか? 旦那様に怒られるのでは?」


「心配はいらない。旦那様は去年、トーヤ様の兄君であらせられるクルイ様の能力が非常に高かったので機嫌が良いのだ。それに、私が勝手にする事を旦那様が気がつく事は無いからな。安心するがいい」


 セバスがそうラメルさんに言うとホッとしたラメルさんはセバスに礼を言った。


「有難うございます。よろしくお願いします」


 それにウンウンと頷きながらセバスが僕とリラに


「さあ、それでは参りましょう。御者は私が致しますので」


 そう言って家の外に連れ出してくれた。離れの前には公爵家の家紋の入ってない馬車があった。


「トーヤ様、申し訳ございません。本来ならば公爵家の家紋が入った馬車をご用意するべきなのですが、旦那様がダメだと仰られまして……」


 僕はその言葉に気にするなという気持ちを込めて微笑みながら首を横に振った。


「有難うございます。さあ、それではお乗り下さい。リラも乗りなさい」


 そして僕とリラが乗り込んだのを確認してから、セバスは御者席に移動して、


「さあ、参りましょう! 屋敷の敷地を出るまでは窓から顔をお出しにならないようにして下さいね。敷地から出たらお知らせしますので」


 そう言って馬車を動かした。


 それから3分後にセバスが敷地内を出ましたと教えてくれたのでリラと二人で窓から顔を出して外を見た。初めて見る町並みは前世では外国に行った事のない僕にはとても新鮮で、ワクワクしながら外を飽きずに眺めていた。


「凄い、凄い、人が沢山いるね〜」


 リラがそう言って僕を見る。僕もニコニコしながら頷く。恐らくこの辺りは貴族街なのだと思うけど、侍女姿の人や執事の人、それに貴族自身も街を歩いていた。また、衛兵さんも巡回しているようだ。

 そこから馬車は貴族街にある教会を素通りして、門を出て、庶民の住む街に入った。そこは本当に人、人、人だ。貴族街よりも多くの人が街にいた。


「フワァ! もっと沢山の人が居るねー、トーヤ〜」


 リラが驚きの声を上げた。馬車は速度を落として正面に見える大きな建物に向かっていく。そしてセバスが僕達に話しかけた。


「トーヤ様、本来ならばあなた様は貴族街の教会で神儀式を受けるべきなのですが、旦那様が庶民の教会に連れて行けと仰られまして…… 私の力が足らずに申し訳ありません……」


 僕は気にしないよという意思を込めて、御者席のセバスの肩をポンポンと叩いた。


「有難うございます。入り口は庶民の子らと同じですが、トーヤ様とリラの儀式は個室にて行う事になっておりますのでご安心下さい」


 そう言われたけど、僕はそもそも神儀式について知らないから、どう安心すればいいか分からなかった。そこで、セバスの肩に手を当てて心話を試してみた。


『セバス、神様って何をするの?』


 僕の心話が届いたのだろう。ビクッと肩を動かして振り向くセバス。危ないから前を向くようジェスチャーする僕。慌てて前を向いてセバスが喋る。


「い、今のはトーヤ様でしょうか?」


 僕は心話で返事をした。


『そうだよ。でもコレはセバスだけの秘密にしてね。父上にも言わないで欲しいんだ。それと、返事も心の中で思ってくれたら僕に分かるから』


『わ、分かりました、トーヤ様。この秘密はセバスが墓の中まで持って行きます!! 神儀式についてでしたね。神儀式とはその者の能力を表してくれる儀式なのです。人は神に教えて貰わなければ自分の能力を知る事が出来ませんので』


 うん、受けなくてもいいね。僕自身は自分の能力をいつでも見れるし、見極眼でリラにも教える事が出来るから。僕はセバスにその事を伝えた。


『なっ! 何ですとっ!! そのような事がお出来になるとはっ!!』


 セバスが絶句している。ここぞとばかりに僕はセバスに言った。


『でも同じ年齢の子に会ってみたいから教会には行ってみたいかな。儀式は受けなくていいから』


『畏まりました。因みに後ほど私の能力をトーヤ様に見て頂けますでしょうか? 私も最後に受けたのが20年前なので、その頃と何か変わっているのか知りたいのです』


『うん、分かった。後で見て紙に書いて渡すね』


 セバスの肩から手を離して僕はリラを見たら、飽きずに窓から外を一所懸命に見ていた。 


 教会に着くと親に連れられて多くの子供が居た。その数はザッと見て200人程だ。みんな僕やリラと同い年なんだ。馬車の中から僕達が見てると、何人かの子供が馬車の近くにやって来た。


 その子達の一人がセバスに言った。


「おじちゃん、ここに停めてたら邪魔になるから、アッチに停めた方がいいよ」 


 セバスは言われて気がついたようだ。


「おお、確かにそうだな。教えてくれて有難う。コレはお駄賃だ。皆でお菓子でも買いなさい」


 セバスはコソッとこの子達以外には見えないように銀貨を数枚渡す。


「おじちゃん、有難う」


 受け取った子も小声でセバスにそう言って去っていった。


「あの子達は孤児のようですな。恥ずかしながら私も孤児でしたのでつい……」


 セバスは孤児だったんだ。けれども今や公爵家の執事なんだから凄く努力したんだろうな。


「今日ここに居るのはこの王都に住む庶民の子で5歳になる子の凡そ半分です。午後からもう半分の子らがこの教会にやって来て儀式を受けます。トーヤ様、儀式を受けないならばどうなさいますか?」


 聞かれた僕はセバスの肩に手を置いて返事をした。


『儀式を覗いてみるのは可能かな?』


『はい。大丈夫ですよ。私が一緒に居りますので』


『じゃあ、覗いてみたいな』


『畏まりました。それでは参りましょう』


 そうして、僕とリラはセバスと一緒に教会の中に入る事になった。  

 


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