おかあさんといっしょ。
まぁ、だからといって『何も無かった』なんて
「この組み合わせは良くも悪くも振り切ってますから...
ソラにそう言われて他のエジプト神話系の奴等を思い浮かべ、『確かに』と素直に納得してしまう。
まぁ、基本的に神々なんてそんなんばかりだと思うんですがね。
「いらっしゃいませ。〈気まぐれ猫〉へようこそ」
「いらっしゃいませ!」
私の担当している珈琲も順調。リズの和菓子、カメリアのパンは昼過ぎには売り切れかな?ルーチェのハンドクリームも午後の整理券も配り終わったようですし、
そうそう、ルーチェの種族、〈エンシェントエルフ〉のことは内緒の方向で話を進めていきましょう。
ヘケトには沢山の種族が集まるとは聞いていましたが、種族間のいざこざ、みたいなものも少ないようで妖精族の彼女をエスコートする人族の青年や、魔族の夫におねだりする獣人族の妻、と平和なようす。
よく小説とかである『他種族は認めない』とか『○族至上主義』など、排他的な思想を持つ人と今はまだ会っていない。逆に地球のほうがそういうのは問題とされている気がしますね。
「お待たせ致しました。ホットコーヒーとホットカフェ・オ・レ、セットのチョコレートケーキです。右手奥のテーブルをご自由にお使い下さい」
「ごゆっくりどうぞ〜」
そういえば。
ダンジョンかぁ...何が楽しくてそんな所に行くのでしょうね。富とか名声とか、そういうモノに取り憑かれた
それなりの成果をあげさせて勇者の名声を上がれば、
そんな、結局は
思っていたほどの大忙しでもなく、程よいくらいの活気と売り上げの中、最終的にはルーチェのハンドケア体験にパンが完売したのでカメリアがヘルプに入り、予想より早く14時過ぎにはめでたく閉店となる。
お手伝いの報酬として、セルジュさんには珈琲を淹れる道具一式と焙煎してある珈琲豆とミルを。2人の従業員女性には約束通り〈KumA〉の高級ハンドクリームを。もちろん、非売品であることと入手先は秘匿してもらうようにお願いをしてあります。
「さぁ、みんなお疲れ様でした。少し遅くなりましたがお昼ご飯にしましょう。
カメリアとロイロ、ウェネトはテーブルとイスの用意を。ルーチェとソラ、アンナは私のお手伝い。フェルミナは売り上げ金の計算をお願いします。リズはフェルミナに計算を習いながらお手伝いしてね。ステラとつき君はゴミとかが落ちたりしていないか見回りをお願いします」
「ハイ」、と皆が元気良く返事をして行動に移る。セルジュさん達は宿に戻るとのこと。
私とルーチェ達を連れて〈猫厨〉へ。
「お昼ご飯は、と...そうだ、ロコモコ丼にしよう。ドラゴンハンバーグも残ってますしね」
ハンバーグを焼くのは私。ご飯や具材の盛り付けをソラとアンナ、ルーチェにはスープを作ってもらいます。
テキパキと調理を済ませると、皆も準備が終わり配膳します。
「いただきます」
「いただきますです!」
「いただきます」
「いただきニャ〜」
「にゃん」
「メェ〜」
「美味しいね」という言葉が飛び交いながら、穏やかな時間が流れています。「あのお客さんは面白い人だった」とか、「沢山褒めてもらいました」とか、「美味しかった」「ありがとう」が嬉しかった、とか。
うん、やっぱり皆で営業して良かった。
リズには貴族としての教育も大事ですが、こういった経験も必要です。民あってこその領主、貴族、国なのですから早いうちから体感して欲しかったですし。
...ははは、だいぶ保護者らしいことを考えるようになりましたね、私も。
「アキサメお父さん、リズはとってもたのしかったです!またお店やりたいです!」
そんなことを言ってくれるんですからね。
「そうだね、またみんなでしましょう」
「はいです!次はエリスお母さんもいっしょにです!」
...ふふふ。そうだね、リズ。
「ええ。一緒に、ね」
「はい!」
貴女はちゃんとリズのお母さんですよ、エリス。
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