商売繁盛。アルバイトリーダー・ロイロの無双再び!?

「いらっしゃいませ!」


 楽しそうなリズの可愛い声が出店スペースに響くと、続けてアンナやカメリアも、いらっしゃいませ、と声を弾ませる。

 お客様がお客様を呼ぶ、といった状況に入り物珍しさもあってか客足は途絶えること無く盛況をみせる〈気まぐれ猫〉。


 営業開始オープンから1時間30分くらい経ちましたが、売れ行きは上々。

 リズ&アンナの和菓子ブースは、リズの元気な接客に惹かれてか年配の女性を中心としたお姉様方が、ユルクでは高価とされている甘味がリーズナブルに食べれるということや、和菓子の可愛らしい見た目も相まって上限の3個ずつ買って頂いているよう。

 カメリアの売るパンは、主婦層もそうですが思っていた以上に冒険者や旅人風のお客様が多い。確かに携帯食としても便利なのかな?早めに召し上がってください、とちゃんと伝えているので問題無いでしょう。カメリアもパンが売れる度に笑顔が増えていきます。

 そして、ルーチェは。

 人数制限をかけたことが功を奏して、以前私とルーチェの2人で行ったハンドケア体験の時のような行列はありません。フェルミナが整理券を用意し、順番待ちの間は他のブースで買い物やテーブル席でゆっくりと休憩して頂いているのでお客様もストレスフリーです。流石は元受付嬢、と言ったところでしょうね。

 そして、体験を終えた女性達が輝くような笑顔でキャッキャと感想を言っています。そんなお客様を見ながら微笑むルーチェの顔も、一段と輝いています。


 で、です。

 私の珈琲とケーキのセットはというと、最初はその真っ黒な見た目を敬遠されたのか、用意していた紅茶とケーキのセットの方が売れていました。

 ですが、年配の男性やエルフ族の男性...だと思われる見目麗しい方に興味をもたれ、次第に注文も増加。男性はブラック珈琲、女性はカフェ・オ・レ、といった感じでしょうか。

 休憩スペースではセルジュさんと、シフト休みでお客様として来ていた宿の従業員の女性2人が流石はプロフェッショナル、と感嘆するほどにスムーズ且つ丁寧に接客してもらっています。

 この女性2人には、ルーチェの時と同じで給金代わりに現物支給で話がついています。

 〈KumA〉のハンドクリーム、の方。思えば、このクリームをリズの実母に売ろうと思っていたのに、カタチでその話も無くなってしまったので〈異空間倉庫ストックルーム〉に仕舞ったままでした。効能が凄いことになっているので下手に売れない商品となっていたのです。

 御礼品としてならいいか、と思って今回は放出します。まぁ、大丈夫でしょう。セルジュさんの部下の人達なので。


 うん、思っていた以上に順調で良かった。

 何やら駄猫ロイロ駄兎ウェネトがコソコソとやっていますが、まだ目をつぶっていましょうか。







 ニャハハハハッ。

 今頃アキサメは〈気まぐれ猫〉の順調な状況にニコニコのはずニャ〜。

 私と妹分ウェネトでアレコレやっているのがこーをそーしているのを知らないニャ。


 私は〈気まぐれ猫〉の看板猫・ぷりてぃロイロちゃんニャ!


 今回は前のよーに失敗はしないニャ。

 ネトに悪意を持つヤカラが入ってこれないよーに結界を張らせたし、マンガイチの時にも大ジョーブなよーにリズムスメ達にも物理殴られて魔法蹴られてもビクともしニャい陣も施したし...アキサメは大丈夫ニャ。もし仮に、アキサメをどーこーできる存在がいて、ちょっかい出してきよーものなら、その時は...ブン殴ってやるニャ。


 百神我等が、全力で、ニャ。


 

 さぁ、ジュンビバンタン!アメアラレ、ニャ!

 〈招き猫〉のセイノーを思い知るがいいニャ!


「ニャハハハハッ!ニャーハッハッハ!」

「うわッ!?急に高笑いするなピョン!びっくりして結界が一瞬歪んだピョン!」

「ニャ?めんごめんごニャ〜。

 にゃあ、ネト。私達はガンバッテるニャ?」

「え?あ、まぁ、頑張ってるんじゃないかピョン?御館様もくれてるし」

「だよニャッ!?じゃあ、ゴホービがあってもいいと思うニャ!

 だ・か・ら、今からぶーすをまわって楽しむニャッ!」

「え!?マジ?私達って従業員、ってヤツじゃないの?え?イイってそんな事?本当に?あ、ち、ちょっと、バステ...ロイロ姉!待って!待ってよ、置いてかないでよッ!...ピョン」


 ヤバッ!?ロイロ姉が走ってった!

 いつも気怠げなクセしてこんな時だけ俊敏に動くなよッ!?

 あぁぁぁーッ!!

 御館様がコッチ見てるッ!

 ちょ、ちょっと待って下さい!私じゃないんです、アイツです!



 犯人は駄猫アイツですッ!御館様ぁぁーッ!!!



「気まぐれ過ぎでしょッ!?看板猫ロイロ姉ッ!!」



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御一読頂きありがとうございます。


ロイロ姉の暴走のスタートです。

〈気まぐれ猫〉が〈気まぐれ〉であるという事を体現している看板猫は、次回お客様も巻き込んで...。


では、また次話でお会いできたら幸いです。

 

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