◉遅れんなよ、テメー等?御館様がお喚びだぜ?〈⚠︎俺様秋雨注意〉
ニッコニコの、リズ。
ニコリと笑う、ルーチェ。
ニヤニヤとしながらジト目気味の、カメリア。
涙目の、エリスさん。
号泣している、カイン。
皆を一瞥した後、踵を返し部屋を出る。
宿の外は阿鼻叫喚の巷と化していました。
ふぅ。
腹の底から息を吐き出す。
すぅ。
肺の奥まで空気を送り込む。
さぁ、始めましょうか。
「来い、
現れた鴉はその三本足で肩に掴まると、カァ、と一声だけ鳴いた。
【我が聲が聴こえている者よ、集え】
ーーーカァッ!
【我が心裏の視える者よ、並べ】
ーーーカァッ!
【一心尽な貴様等の忠義を以て、我は言挙げする】
ーーーカァッ、カァッ!!
【
遅れるなよ、貴様等】
ーーーバサッ、バサッ、バサッ...
〜同刻・座標点〈地球・
「だりぃ〜ニャ〜...帰りてぇ〜ニャ〜」
私の隣でダラシなく姿勢を崩すロイロちゃん。勘弁してよ、周りの
「ちょっと!もう少しちゃんとしてってば!
ほら見なさいよ、若い子達がドン引きしてるじゃない。
「え〜...そんな若ぇ奴等の事なんか知らんニャ〜。それよりも早く終わってほしーニャ〜」
「そんな事言ってもしょうがないじゃない。
「アマテルちゃんはちょっと真面目過ぎニャ。いいんちょータイプはサブヒロイン枠を抜け出せないニャよ?」
その地には、〈神〉が集う。
年に一度、日本の神々が集うことで有名なその地は、10年に一度、地球の神々の集う地でもあった。
そんな10年振りの会合は、神達からしてみれば、この間も会ったよね?、といった感覚となるのも当然だった。
「バステト、天狐、私語は控えなさい。
今回の会合の主題は協議を終えました。
新しく神の仲間入りをした子達も紹介が済みましたね。
では、最後の」
その聲は突然響いた。
《我が聲が聴こえている者よ、集え》
「な、なんだッ!誰だッ!」
「何奴ッ!姿を見せろッ!」
ザワザワと、新神を中心に騒めく。
キョロキョロと辺りを確認しながら警戒体制を取り始めたようだけど。
それは無意味だ。
古き神達の反応は三つに別れた。
一つ。
畏れ慄き蹲る者、ガタガタと震えながら泣き出す者などなど。
二つ。
多少の動揺はしているが、比較的落ち着いている者が多い。何かを思案中のようだ。
三つ。
分かり易く喜色を浮かべ、中には歓喜のあまりに泣き出す者さえいる。
私ですか?そりゃもちろん、
「ニャハハハハハハッ!!!キタキタキタキターーーーッ!!」
「えぇッ!!?マジかよ!御館様じゃん!?
ヤッベェーーッ!!」
「こ、この声は
なんで?まだ御封陣で療養されている筈じゃ...ハッ!?バステトッ!貴女もしかして!?」
「バステトォッ!!どうして彼奴が起きている!?」
あぁ、そっかぁ。
やっぱりロイロちゃんの言う通り、損する委員長タイプっぽい...大神様に失礼だけど。
「ニャハハハハ!!御封陣?そんなの知らんニャ!
私はくだらない〈神法〉を守って御封陣を施してあったニャ。
アハハッ!でもニャ、アンタ達みたいな事勿れ主義の
「ロイロちゃん、煽り過ぎだってば」
「天狐ッ!あなたも知ってるのね!?どうしてあの男が起きているのか!」
あ、ヤバい。なんかイラッとする。
ロイロちゃんも、フシャー、とか言って威嚇してるし。
「ゼウスの糞爺もハデスの根暗もキサマ等も。
とても小さくて、大きな間違いをたった一つだけしてしまったニャ」
「確かに。
私達は〈神〉、故に世界を渡る事で制約は受けても恩恵は無い。
まぁ、精々その土地の〈神力〉を得るくらいかな?」
「だ、だから何よ!?だから神は基本的に世界を渡り歩かないわよ!」
「そーニャ。私達はいつでも世界を渡れるから気がつかない。
ヒトという種族の
地球のように〈神力〉が少ない土地でも、しっかりと永らく封印できるように省エネなモノを」
「そうね。あくまで、地球上で施すには最適な御封陣だったね」
「え...ウソ、いや、マジ!?聞いて無いんですけど!?なんでッ!?」
「ニャニャんッ!問題です。
貴様等が畏れ慄きまくって、最後には地球上の神の法律を変えてまで封印する事になった、こわ〜い、とってもこわ〜い御堂院家18代当主、御堂院 秋雨さんは、今、何処で、何をしているでしょうか?
早押しでお答えくださいニャ」
うわぁ...ロイロちゃんいい笑顔じゃん。
でも分かるわ〜、ざまぁみろ、ってヤツだよね。あ、私がノッてあげようかな。
「ピコンッ!!」
「ハイ、ソラちゃんッ!答えをどうぞッ!」
「世界一周旅行中、滞在先のエジプトでロイロちゃんの
「ソラちゃん失礼だニャ!?アタシん家キレーだし!!」
「アレが綺麗なら世の中からゴミ屋敷が消えるわ!偶には掃除しなよ、ただでさえホコリ臭いところなんだから!」
「ちょっと、貴女達だけで盛り上がらないでよ!あれ?...ロイロにソラ?貴女達もしかして」
《我が心裏の視える者よ、並べ》
あぁぁ、ヤバいヤバいヤバい!
ロイロちゃんじゃ無いけどテンションが上がってくる!
あの聲はまさに...。
「ニャハハハハハハハハハハハハ!!
我が名は
御堂院 秋雨様の護り神にして、太陽神・ラーの瞳。〈王の乳母〉なり。
この黒漆の濡れたような深く黒い髪に感動された御館様より頂いた〈真名〉なり」
「ふふふ。
御堂院 秋雨様の護り神と新たになりました、1000年の時を経て神獣位を頂きました天狐。そろそろ
この空色、スカイブルーの別名、真空色のように麗らかな空のような髪色を綺麗だとおっしゃって、御館様から頂いた〈真名〉」
「私達は御館様と結ばれた」
「私達の存在は御館様のもの。御館様の一部」
ポカン、としている神々。
特に、はしゃいでいたこっち寄りの神達の顔は凄い。九尾ちゃんとか美人なんだからそんな顔しちゃダメだよ?
《一心尽な貴様等の忠義を以て、我は言挙げする》
来る....!
御館様の言の葉が言霊となって、私達に号令がかかる...。
あぁ...御館様、あの御館様が帰ってくる...!
「ちょ、ちょっと待ちなさいッ!バステ『ロイロだと言ってるだろ』...ロ、ロイロ、さっきの答えは?何で御館様が顕現されているのよ?
それに、御館様は何処にいらっしゃるのよ!」
早押しクイズの途中でしたね〜。
「あぁ、忘れてた。
答えは至極簡単。簡単過ぎて、揃いも揃って大神だと偉そうにしている神達は気がつかなかった。
この世界線とはかけ離れた、剣と魔法とかいう〈ごっこ遊び〉が流行っているど田舎の世界線。
そこの引き篭もりの陰キャ三流神が、万が一、いや、40/7,900,000,000の確率で行った
御堂院 秋雨様が、偶々、ね。
知ってる?近代文明化を選択しなかったど田舎世界って、〈神力〉がそこらじゅうに溢れてるんだよ。
魔法とかいう火遊び用に龍脈を閉めて無いから、その星自体のエネルギーも、神への信仰エネルギーも。
ドバドバ垂れ流しなんだよ、
あとは分かるだろ?そんな世界でユルユルな省エネ御封陣なんて。
一回、慌てて張り直したけどムリムリ。
上手く出来たと勘違いしてたけど、一瞬で焼き切れてた。その上で御館様は封印されたフリをして下さった、私に責が及ばないようにする為に。
でももう大丈夫。私はちゃんと〈神法〉を守った。その上で御館様は目覚められた。
原因はユルクの
そこで、ロイロちゃんの言葉は遮られた。
《
遅れるなよ、貴様等》
他の誰でも無い、御館様の、御言葉で。
「私が1番乗りだぁーーーッ!!」
「あ、待ってよ!私も行くッ!!」
ロイロちゃんが魔法陣をそこら中に書き散らしました。優しいね、ちゃんと道標は用意してあげるんだから。
「遅れんなよ?テメー等、
次の瞬間、その場からロイロとソラが消えた。
➖・➖・➖・➖・➖・➖・➖・➖・➖
御一読頂きありがとうございます。
はい、◉ストーリーとなりました。〈ポ〉の字も出せなかったので。
御堂院 秋雨という人物(?)のちょっと深掘り回でした。
正直、好き嫌いや賛否両論あるかと思いますが、伝家の宝刀〈作者の意向〉を抜きました。
こういう話は書いてて楽しいですよね、好き勝手、遠慮なしですから。
さて、始まる戰という名の蹂躙劇。
この流れとポルク君のお話の着地点。
大筋は出来上がってますので、頑張って文字として並べていきます。
ちょっと熱っぽくて、気が付いたら3500字オーバーしてました。普段はこの半分くらいですが、上手く分割出来ませんでした。
読み辛い箇所もあるかも知れませんが、このまま投稿しちゃいます。
あと、イラストも1枚近況ノートにあげときますね。『遅れんなよ?と笑顔のロイロ』です。
では、また次話でお会いできたら幸いです。
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