◉私は勇者《主人公》だ。それ以上でもそれ以下でもない。〈⚠︎時間軸のズレ注意〉
『今、この時を、楽しみなさい』
私達、勇者一行はダンジョン都市から王都へと帰還中。
ダンジョンの中で、秋雨お兄ちゃんと出会い、
秋雨お兄ちゃんの仲間...いや、家族は本当に良い人ばかりだった。
久しぶりに顔を合わせた
私は、負けない為の力を再びこの手で掴んだ。
秋雨お兄ちゃんに渡された刀を佩いた私は、いつの間にか
【ハルミ・ミドウイン 女 (17)
状態 安定
職業
スキル 神刀術〈御堂院一刀流〉、身体強化、アイテムボックス、言語理解
称号 巫女】
勇者...卒業?
スキルにヤバそうなのがある...ユルクでもその名を轟かせるとか、さすが御堂院、半端ねぇっす。
《わたしが邪神ニャ?おかしな事を言う娘ニャ。こんなプリチーな邪神なんかいないニャよ》
『ロイロが邪神...。完全に否定出来ないのは何故でしょうね』
《ニャ!?シツレーなのニャ!私は今も昔もどちらかと言えば善神寄りニャ!》
私達は、与えられた邪神討伐という課題について知らなければならない事が増えた。
異世界というファンタジーな環境にいっぱいいっぱいで、討伐対象である邪神について座学では習ったものの、詳しい内容、何故邪神なのかという部分を知らない。
そもそも、意図的に知らされていないような気さえする。
《そもそも、神って存在はヒト如きにその在り方を決められるものではないニャ。
ヒトが善い面と悪い面を併せ持つように、神だって見方ひとつ変えれば、善くも悪くも見えるのニャ。
その一つの側面だけで『アイツは邪神だ』なんて世迷言を言うのは、いつの時代も狂信者か、悪巧みしている神の尖兵くらいニャ》
『成程ね。恵みの雨を与え賜う救いの神も、見方を変えれば自然災害を引き起こす畏怖の対象となるように...あぁ、だから〈ヒト如き〉なのですね』
私は、基本的に無神論者だ。神様が居ないだなんて嘘は言わないが、神様を過剰に信奉する事は無い。
《そもそものそもそも。
私達、神という存在の為す事の事象に、恩恵だの苦難だの勝手にギャーギャー騒いでいるのは〈ヒト〉だけニャ。
その他の動物達も植物達も。〈ヒト〉以外の生き物達は、それをありのままに受け入れているニャよ。
神の所業を損得勘定ではかるのは、昔から〈ヒト〉だけニャ。
ショージキ言って、チョーめんどくさいニャよ、〈ヒト〉って。
だから、キレた神達が『人間風情が〜』って言いたくなる気持ちも神様メンタル的には分からなくもないニャ。
どぅーゆーあんだすたん?ニャ》
『あぁ...そういう。で、キレた神を『邪神だ!』って声高らかに叫ぶのですね。
確かに神から見たら面倒な存在でしょうね、〈ヒト〉は。まるで幼な子のようだ』
私は、王城にある資料を漁ってもう一度、事の真相を探る。
それと、今回の首謀者。
第三王女の背後にいる黒幕...〈ヒト〉か〈神〉か分からないけど、其奴を見つけ出して理由を、真意を確かめてみせる。
その上で、もし、この
《つまり、このユルクという世界には
だから、『邪神だ〜』と言ってユーシャを喚んで討伐させようとした、という事かニャ?
私、なんかしたかニャ〜?この世界の事はあまり記憶にニャいのだけど?》
『ロイロなら何かしてしまったかも知れない、と思うくらいには信用の無い事がロイロらしいというか』
《ニャ!?アキサメはなんて事言うニャ!
私が邪神ニャら、アキサメは邪神に仕える魔王認定されるニャよ!
『ニャーハッハッハ、よく来たな勇者共よ〜』とか三下みたいな台詞を言って、あっさりやられる奴ニャ!》
『どちらかと言えば、その御役目はロイロが適任でしょうね。
まぁ、その時はその時ですよ。
神だろうが、ヒトだろうが。
私や私の家族の前に敵意を携えて立つのならば。
斬る。
ただ、それだけです。
それ以上でも、それ以下でもなく。
斬って捨てるのみ。
例えそれが、勇者と呼ばれる者達であったとしても。
覚えておきなさい、春海』
私は...全身全霊を持って、秋雨お兄ちゃんを止めるべく、対峙する。
私は、
それ以上でも無ければ、
それ以下でも無いのだから。
だから、そんな未来は全力で回避しなくちゃならない!!
私はまだ死にたく無い!!
私は、御堂院 春海はッ!
こんなごりごりの異世界ファンタジーじゃなくて、イチャイチャなラブコメがしたいんだよ、バカやろーーッ!!
王城に着いて2日後、ダンジョン都市の未踏破ダンジョンが初踏破されたというニュースが王都を賑わせた。
初踏破した人物についての情報は
国民達は、時期的に勇者達の功績だと勘違いしているみたいだが、ルーク王国あえて放置しているようだ。私達も、それに倣う。
おそらく、この状況も秋雨お兄ちゃんの手の平の上なのだろうけど。
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