花売りの少女。②
「アナタの両親の遺した借金はそんな花を売ってる位じゃ返せないわよ?アハハハ!」
と高笑いする、商業ギルドの制服を着た女性。
「それは!?...貴方達がお父さんとお母さんを騙して...!」
少々は悔しそうな顔をして、2人を睨み返します。
「オイオイ、人聞きの悪いこと言うなよ?こっちにはちゃあんと証文もあるんだからな?なんなら憲兵にでも訴えてみろよ。そうなって困るのはお前だからな?」
騙されて借金を負い、両親は他界。残った借金を払えなければ身売りをさせられる、ですか。
なんだかキナ臭い話ですね。
面倒事は関わらないに限るのですが。
仮にも自称とはいえ、商人を守り商業を発展させると宣う団体が商売の邪魔をするとわ。
商業ギルドには義理も何も無いですし、何よりも商売の邪魔をする団体なんて鬱陶しいですね。
良くしてくれたイザークさんや知り合いのマルクさんには悪いですが、前に頂いたエリスさんのお話を受けるとしますか。
「少し、宜しいですか?」
「あぁ?何だよ兄ちゃん、見慣れない顔だな?」
「今は取込み中だから後にしてくださるかしら?」
「いやいや、貴方達、私の商売の邪魔をしているのですが?
そこのお嬢さんから花を仕入れさせて頂く予定だったのに、その商品を私の目の前で台無しにしてくれたんですよ?その落とし前をどうつけるつもりですか?」
はぁ?という顔をした2人は花を見た後に私を見て笑い出す。
「あはは、こんな雑草をか?アンタ商人の才能無いぞ!?」
「こんな何処にでも咲いてる花を商品だなんて、貴方は本当に商人かしら?商業ギルドに加盟していないのでしょうね。アハハハ!」
一応、未だ加盟していますよ。でもまあ、もうすぐ脱退しますが。
「ガルトで商業ギルドに登録してありましたが、どうやら商業ギルドは信用するに値しない団体のようなので、ただ今を以て脱退すると宣言しましょう。
で、その
「商業ギルドにこんな人が登録出来るなんてビックリですわ!」
「オイオイ、ガルトの商業ギルドは大丈夫かよ?」
なんか話が進まないので、強制的に進めましょう。早く商売の話がしたいですから。
「巫山戯ないで下さいよ。その花は私が代金を払って仕入れる予定だったんです。どうしてくれるのか、と聞いているのです」
「うるせぇよ!花くらいで!」
「そうよ、花が欲しけりゃ摘んできなさいよ!」
「貴方達は、私に、花を、摘んで来い、そう仰るのですね?
商品を台無しにした上に、私から時間まで奪う予定だと」
気分が悪いので、少々大きな声で言う。
「だから何だよ!」
『何事だ!!』
騒ぎを聞きつけた警備隊が駆けつけてきて、間に入りました。若い男と少し年上の男の2人組。
「この男が絡んで来たのよ!」
あらあら、この女性は何を言うかと思えば。
「あぁ、この男がイチャモン付けて来たんだ!」
「違います!」
少女が否定してくれますが、2人は何の自信があるのか知りませんがニヤニヤして警備隊に話し、こそっと何かを渡しています。
目の前で袖の下を渡すとか、私が気付かないとでも思ってるのでしょうか?
「お前は詰所で話を聞く!」
袖の下を渡された若い警備兵が私を指差しなら言うものの、隣にいた壮年の男が段々と顔色を悪くし始めました。
もう、遅いですよ?
「話を聞かないで連行ですか。賄賂まで受け取っちゃって。しょうがないので自己紹介した方が良いですかね?其方の方は検問所で顔を見ましたしきちんと報告しておきましょうかね」
既に真っ青の壮年の警備兵は、慌てて頭を下げて叫びました。
「申し訳御座いません!!この男はきちんと取り調べてからご報告に伺わせていただきます!」
そう言って、若い警備兵を思いっきり殴り飛ばし、その手に縄をつける。
終始意味の分かっていない若い警備兵と阿呆2人と少女はポカン、としています。
かと言って許す許さないは別。
「どっちでも良いですよ。どうせ
今日明日に罰せられるか、後日罰せられるかの差でしょう?」
徐々に状況の悪さに気付き始めたのか、震え始めた若い警備兵は、土下座しようとするが壮年の警備兵に無理矢理立たされて連れて行かれました。
私は阿呆共に向き直って告げる。
「お2人共、商業ギルドまでご一緒しましょうか。それと、お嬢さんも関係者ですのでご同行してもらえますか?」
まさか私の商売の邪魔をして逃げれるなんて、思ってないですよね?
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