ランラン♪ランチタイム。②〈お父さんの我儘〉
「はーい!」
「はい、アキサメさん」
「にゃ!」
「どうしたんだい?アキサメさん」
「メェ〜《お〜》」
みんなで
つき君が言いつけを守っていたのが意外。てっきりスライムライダーになって走り回っているものだと思っていました。
「メェメェメェメェ〜《あきさめなんかいいたげだな〜》」
「あはは。いえ、特には。信じてましたよ?
さて、皆さん。
エリスさんと話し合った結果、旅行中の食事は私達で用意する事になりました。
勿論、村や町に滞在する時は別です。
如何やら、旅の食事というのはだいぶ限定されてしまい、栄養が偏ってしまうみたいです」
ふむふむ、と分かったかのように腕を組んで頷く
旅を知らないルーチェは、へぇ〜、といった感じで納得顔。
カメリアさんだけが、かなり疑問に思っているようで質問してくる。
「アキサメさん?それは当たり前だと思うけど?私だって冒険者の護衛依頼で旅をした事あるけど、携帯食や簡単なスープが普通だったし、雨の日なんかは火を使え無いから干し肉を齧ったりしてたよ?」
流石は経験者。
やっぱり、そんな食事なんですね〜。日本人からしたら、旅行=美味しい地元料理を食べる愉しみ、みたいなところがありましたし、旅行の醍醐味の1つでしたが。
飽食の時代、なんて例えられる事もありましたし、価値観自体が違うのでしょうね。
それに、ユルクの方が食べ物に対する感謝の気持ちは強いですね。そこは、フードロスが社会問題になっていた地球出身としては見習わなければなりません。
でも、どうせなら、美味しいごはんを食べたいものです。
「カメリアさんが疑問に思うのも分かります。
おそらく、それが当たり前なのでしょう。
それでも、私はこの家族旅行中は、道中の景色も、車内で歌を歌うのも、新しい出会いも、少し寂しい別れも、薪木を集めるのも、テントを組み立てるのも、食事を作るのも、食べるのも。
その他の事も全て、みんなで楽しみたいのです。
食事の際は、美味しいごはんを食べて笑顔になって欲しいのです。
この旅行が終わって日常に戻った時、家族旅行楽しかったね、と良い思い出として記憶に残るようにしてあげたいのです。
つまり、私の我儘なんですよ。
可愛い娘達の為に、頑張りたいんですよ。
私、お父さん、ですから。
もし良ければ、カメリアさんもお付き合いしてくれませんか?そうですね...歳の離れたお姉さんとして」
キョトン、としたカメリアさんが、次第にその顔に大輪の花を咲かせる。
「うんうん、良いね!了解だよアキサメさ...お父さん」
「ええ、よろしく。カメリア」
あははは、と互いに笑い合うと、他のみんなも会話に混ざってくる。
「よろしくです!カメリアお姉さん!」
「よろしくお願いします、カメリア姉さん」
「にゃ!」
「メェ!《よろ!》」
「うん。みんな、よろしく!」
さぁ急げ!
よし、先ずは
マカロンのバックドアを開け放ち、声を掛ける。
「ロイロ、ソラ。お仕事ですよ。
マカロンを〈気まぐれキッチン・
ランチ営業の時間ですよ」
ロイロと2人で悪だ...進めていた〈気まぐれ猫〉キッチンカー計画。
事の始まりは、街中で
あれもこれもと
私、福さんのお手伝いと、前職のイベントのマルシェで軽食の調理販売を経験している為、結構、料理男子なんです。念の為言っておきますが、板前ではありません。桂剥きも出来ますし、10kg級の寒鰤も、なんなら鰻も捌けますが。因みに、出汁巻(玉子)は京巻きで福さんにも合格点を頂きました。
...ただの仕入れ担当者、です...確か。
で、レオンさんから
少し早まりましたが、結果オーライ。試験も兼ねて、ランチを作りましょう♪
「喚ばれて飛び出てニャニャニャニャーん!!」
「え!?わ、私もやるの!?登場だコ、コン!...うぅ...恥ずかしぃ」
割烹着姿のロイロ。
コックコート姿のソラ。
「いやいや、貴女達、料理出来ないでしょうが」
知ってます?この
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