ランラン♪ランチタイム。①〈私が許しません!〉
前を走る馬車が徐々に速度を落とし始め、馭者の方がハンドサインで停車を伝えてくる。
「みんな、どうやらお昼休憩のようですよ。降りる準備をして下さいね」
「はーい!」
「にゃ!」
「分かりました」
「了解」
やがて、ゆっくりと馬車が街道脇にある少し開けた広場のような場所で停止する。
出発前の打ち合わせで教えて頂いたのですが、街道沿いにはこうした休憩場所のようなところが所々にあるみたいです。高速道路のSAみたいな感じでしょうか?道の駅?まぁ、自販機もトイレもお土産物屋さんもありませんが...あったら面白いかも?
広場には、私達一行の他に先客がいます。5台の馬車が並んで停車しており、その側で馭者が馬に水や飼い葉を与え、一頭ずつマッサージをしているのが見えます。
馬車の前には20〜25人くらいの人達が3つに分かれて休憩している模様。
エリスさんの乗った馬車の後方にマカロンを停めて運転席から降りると、後部座席から各自降車し始めたので、リズとルーチェが降りる際にエスコートする。
「アキサメお父さん、ありがとうです」
「にゃ」
「ありがとうございます、アキサメさん」
慣れているリズとは違い、ルーチェが少し頬を赤らめているのが微笑ましくて、ついつい私も笑顔になってしまいました。
「どうぞ、カメリアさん」
その流れのまま、カメリアさんもエスコートします。本来なら先に降りて警護するのでしょうが、ドアの前にリズが陣取っていたので最後になってしまったのでしょう。私がドアの外に居たので慌ててはいませんでしたが。
「あ、ありがとう。アキサメさん」
貴女まで照れてどうするのですか...。
普段の凛々しい姿とは違う、女の子らしい仕草が可愛いらしかったのが印象的です。
「どういたしまして、お嬢様方」
態とらしく恭しくお辞儀をすると、3人とも笑顔になった後、身体を少し解し始めました。
今回は忘れてしまわない様に助手席側に回り、つき君を降ろします。
「つき君、つき君。お昼休憩ですよ、起きて下さい」
爆睡していたつき君を揺さぶりながら起こす。
何故こんな刺激的な色なのかは、未だに教えてもらってないんですよね...。
「メ...メェ〜?...メェ!」
《あ...あとごふん〜?...らんち!》
本当に人間くさいスライムですよね、つき君。
つき君の言う、友人の方と過ごした日々の影響でしょうか?余程仲が良かったのでしょうね。
「ええ、ランチタイムですよ。なので降りましょうね。直ぐに用意しますから、遠くには行かないで下さいよ?」
「メェメェ!」
《らじゃ!》
つき君を解き放つと、早速リズとルーチェに向かって突貫して行きました...まぁ、いいでしょう。用意が終わるまで遊んでいて下さい。
「アキサメ〜!お昼御飯どうするの〜?」
エリスさんに呼ばれた私はエリスさんのもとへ向かい、お昼御飯の件で話をする。
「エリスさん、
「そうね。予定通り食事にするわ。簡単なスープとパンを用意するみたいよ」
「......それだけ、ですか?」
「そうよ?馬車で旅してる最中の食事なんて、だいたいそんなものでしょ?まだ野菜類があるから良いと思うけど...まぁ、貴族連中の中には態々豪勢な食事を用意する奴もいるみたいだけど、私達はそんな事はしないわ。夜御飯なら野営地の周辺で狩りでもして、もう少し豪華な食事はなると思うけど?」
「..............エリスさん」
「何?」
「ダメです」
「え?」
「そんな偏った食事なんかしていたら、身体に良くありません!」
「えぇ!?いや、みんなだいたいそ」
「ダメです!そんな事は私が許しません。
よし、決めました。今後、町や村以外での旅の食事は私が皆様の分を御用意します。これは決定事項です!」
「えぇ!?...本当にいいの?アキサメが大変になるんじゃ...」
「大丈夫です。その代わりと言っては何ですが、護衛の皆さんは休憩中の見張りをお願いします。私達は皆で食事の用意をしますので」
「え、えぇ。そのくらいなら、元々交代で見張りを立てる予定だから大丈夫...ん〜、そうね。じゃあ御言葉に甘えさせてもらうわ。日持ちのしない食材は提供させてもらうし、きちんと対価も払うわ。これは、絶対よ」
確かに、無料、というのは貴族相手では余計な事になりかねないですし、エリスさんの立場もありますからね。
「分かりました。細かな内容は後ほど。
急いで支度してきます。それでは」
さぁ。頑張りましょうーー
「リズ、ルーチェ、カメリアさん、つき君、ステラ、集合!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます