そもそものそもそもニャよ?

「私、【merchandisingマーチャンダイジング】スキルじゃ無いニャ。全くの別物ニャよ」


 ......どういう事でしょう?

 確か、初めてロイロと会った時は...


『久しぶりの人間ニャ。今度のマスターの名前を教えるニャ』

『はかざりのねこがしゃべった、が名前ニャ?長い名前だニャ〜』

『モリヤ・アキサメ...日本人ニャ?』

『敬語は要らないニャ。日本人のマスターはアキサメで2人目ニャよ。アイツも良い奴だったニャ。ちゃんと天寿を完うしたニャ』


 ...だった筈です。

 久しぶりの人間、名前を聞いた後に日本人かの確認、1人目のマスターは天寿を完うしたという情報.....その上で、ロイロは私の事を生まれた時から見ていたので、御堂院を知っていた。

 そして、私のスキル〈MD〉では無い、と。

 でも、スキルの事を色々と教えてくれましたよね?


「ですが、ロイロは私にスキルの使い方や特性を説明してくれましたよね?」

「ニャ〜、そりゃそうニャ。アキサメよりも早く私が知ったから教えてあげただけニャ。私も知ったのはつい最近ニャよ?」

「それは、私がこの世界に喚ばれた時、ですね?」

「ニャ。あの時はビックリしたニャ〜。お昼寝してたら、突然、が広くニャって。びふぉーあふたーニャ。匠の技ニャ」

「...成程。取り敢えず、以前から私の中に住んでいた、〈MD〉スキルでは無い、という事は分かりました。

 では、何故、初めて会ったみたいな反応だったのです?ロイロは、知っていたのですよね、私の事」

「アキサメの居たから、アキサメの顔を見る機会は少なかったニャ。それに地球にいる時は省エネお昼寝もーどだったからニャ〜。それと、アキサメが護屋を名乗ったからニャよ?」

「.....私、護屋を名乗る様になって、それなりに経ちますけど?」

「それは、アキサメが御堂院本家の屋敷から出ていったから、私のチカラが弱まって超省エネ爆睡もーどになったせいニャ。あの場所は神気ぱわーすぽっとだったニャ」


 そんな事実、初めて知りましたよ。

 ロイロは本当に何も...猫なんでしょうねぇ。


「で、ロイロの正体は教えて頂けるので?」

「...黙秘するニャ。弁護士を呼ぶニャ!」

「ここまできたら、喋ってしまった方が楽になりますよ、容疑猫ロイロ

「騙されないニャ!行き過ぎた取り調べは冤罪を生むニャ〜!」


 どうやら、今はここまでの様ですね。

 ロイロと〈MD〉は別々の存在。

 ロイロは私が産まれた時からの付き合いで、ユルクに喚ばれた事で、こうして会って話が出来るようになった。

 リズとルーチェの件は、私の事を思っての行動(多分)だった、と。


 これからも長い付き合いになりそうですし、いつかはロイロが正体を教えてくれる日が来ると良いですね。

 さて、


取り調べオハナシは終わりニャ?私の無実の勝利を記念して、祝杯をあげるニャ!

 アキサメ、純米大吟醸〈宵月〉出すニャ!」

「誰が貴女に無実だと言い渡したのですか?

 私が晩御飯の準備をしている間、好きなだけ食い散らかしてくれましたよね?しかも、ほぼロイロだけで。商品の和菓子やケーキを。

 楽しそうでしたよねー。私が帰って来た時は、何でしたっけ?魔王ごっこでしたか?

『ニャハハハハー!吾輩は魔王アキサメであ〜る!ルーチェ姫を助けたければ、吾輩を倒してみよ勇者リズ!』

 名演技でしたね〜、ロイロ君」

「い、いや〜それほどでも無いニャ〜...やっぱりお酒は程々が大切ニャ。あ、あ〜なんだか、今日は疲れたニャ、そろそろ寝るとするかニャああっ!!?」


ーーガシッ!


「やだなぁ、ロイロ君。これから皿洗いを2人でやる約束じゃないですか〜。無銭飲食なんて駄目ですよね〜」

「や、やだニャ〜。アキサメのモノは私のモノ、私のモノはもちろん私のモノ、ニャ?...ニャニャニャニャ!!?アキサメ、いたい、いたいニャ!食い込んでるニャ、指!!」

「食い込ませているんですよ、指」

「ごめん、ごめんなさいニャ!よろこんで洗いますニャ!はい、よろこんでー、ニャ〜!」


 その後、仲良く2人で皿洗いを終わらせ、グッタリしているロイロに「おやすみ」と伝えて、戻る事にしました。

 帰り際にロイロがブツブツ言ってましたが、愚痴だろう、と思い振り返らずに手を振って。




「そもそも、私はアキサメのスキルじゃないニャ。産まれた時からアキサメの中に居たニャ。

 だから、私の正体も大事かも知れニャいけど、、産まれた時から、猫神が中に居るアキサメこそ、何者なのかニャ?フツーじゃないニャよ?

 突然目の前に現れたからビックリして、苦しい言い訳してしまったニャけど、おそらく、せーふニャ。

 ヒミツは色々あるニャけど、まだ教えてあ〜げニャい。

 ニャハハハハ!ニャーーハッハッハ!


 ......ゆっくりと、おやすみなさいませ。秋雨

 

 

 

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