熱中症
鴉外
熱中症
8月の暑い日、俺は校庭で部活をしていた。
サッカー部はイケメンが多いからと観にくる女子が沢山いる。
俺にも多少はファンがいたらいいなと思いながらボールを蹴る。
が、すぐに取られてしまった。その瞬間女子からの声援(悲鳴)が起こる。
そう、俺からボールを取ったのはサッカー部1のイケメン戸塚蓮。汗をかいているのにキラキラ輝いて見える。こいつは男の俺から見てもイケメンだ。
しかも、非の打ち所がない。勉強ができ、容姿端麗、誰にでも優しい完璧マン。怖がりだとか少しは煽れるところがあれよ、と不道徳心が出てしまう。
いけない、いけない道徳心を持たないと。
そんなことを考えているうちに頭がボーッとしてきた。そりゃそうだ、こんな暑いのに水分を取ってないのだから。あぁ、蓮に気を取られていないでちゃんと休憩とっとけばよかった。
意識が朦朧とする。うっすらと開ける瞼から光が入ってくる。
「だ...じょ...か..い.き...は?」
何か声が聞こえてくる。誰だ、男か女かもわからねぇ。
「ね..ちゅう..し...よ...」
ん?ねぇ、ちゅうしよう?キス?俺に彼女なんていたか?都合のいい夢か、それならキスしてもいいよな。俺にひとときの夢を見させてくれ。
顔を上げて相手の唇に触れた。ん?なんかリアルだ、そう思った瞬間
意識が戻った。目の前には顔を真っ赤にさせた蓮がいる。練習をしているときよりも汗がダラダラと流れ落ちている。あれ、俺今何した?こいつにキッキスした?!そんでなんでこいつはまんざらでもなさそうなんだよ!蓮が急に俺の手を掴んだ。
「俺、お前がそんな気持ちなの知らなかった。でも、嬉しいよ。付き合おう?」
あぁ、俺の学校生活は終わったなそう思うと今度は冷や汗を掻いてきた。蓮はタオルで優しく拭ってくれ、立ち上がった。
そんな動作もイケメンとはどういうことか。
「じゃあ、今日はここで休んでな。帰りは一緒に帰ろうな!」
拝啓神様、こんなイケメンを彼氏にしてしまった俺はこれからどんな仕打ちを受けるのでしょうか。
熱中症 鴉外 @nekotatooru
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
僕は可笑しい?/鴉外
★16 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます