第44話 息抜きは続くのさ

 さてっ今日も今日とてあの謎の駅にネビウス様の力で到着した。年も明けて仕事は忙しいのだが、だからこそ息抜きはしっかりするのが僕のモットーだ。


『やあ、あれだけ大変なダンジョンをクリアしたってのにまた新しいクエストを?ワーカーホリックってヤツかな?』

「ならもう少し簡単なクエストにしてくれませんか?」


『そこは報酬を豪華にしたり、死人が出ないようにしたんだからぶーぶー言わないの』

 まあ確かにあの富士山ダンジョンでは被害者とかは本当に居なかった。


 人目を気にせずに頑張ったから後々面倒くさい事もあるにはあったが、僕は現代日本に直ぐに引っ込めるので何という事はない。


 適当に相手をし、後はずっとパーティーに勧誘とかしてくるようなしつこいのが現れたら無視して日本で生活するって事を繰り返せば次第にそのしつこい人達は姿を消していった。


 そしてようやく異世界での息抜きが再開したって訳である。と言ってもそんなに日数が経ってる訳じゃない、元からあまりにもしつこいと魔法で追い返したりしていたからね。痛い目を見れば少しは冷静になるものさ。


『それで?次はどんな獲物を?』

「ん~やっぱり冬の最高級食材、カニを狙いたいですね」


 新年を迎えても季節は当たり前の様に冬なのだ、寒い。

 しかしだからこそ美味そうな食材は無数にある。


 テレビとかでは高すぎて全く手が出ないカニ、しかし異世界アレクサンドではカニを倒せばタダでゲット出来るのだ。

 ……但し、普通に海にでて手に入るカニではないのである。


 僕が狙うカニは、ドラゴンなのである。


『白銀の霊峰』、氷山の山脈の地下には巨大な地底湖がある。そこに住まうドラゴン、ソイツがなんでもカニみたいな殻を纏ったドラゴンなんだとか。

 そしてその身もカニみたいでとても美味いらしいのだ。


 ドラゴンの名前はタラバドラゴン、ベニズワイドラゴンと言う。ウィンダー地方でも共に最強と言われる双竜である。


「今回のクエストは命懸けです、マコラやパニアさんやリゼルさんにも声をかけようかと思っています」

 何かポンコツちゃんにもしつこい勧誘があったとか、マコラやリゼルさんがしつこい連中をぶっ飛ばしたと聞いた。


 僕の時もしつこい連中を黙らせてくれたりしたよ、助かる話である。

『うんうん、アレクサンドに住む皆とも仲良くして欲しいな僕は。まあ中にはどうしょうもない悪党もいるから、そう言うのは掃除してくれていいけど』


「………まあ出来る事はしますよ」


 出来る範囲でだけどね。何しろ息抜きで来てる世界で物騒な真似は出来れば勘弁だからね。

 あっアレクサンド行きの電車が来た。


「それでは、行ってきます」

『行ってらっしゃい。気をつけてね』


 そうして、僕の異世界での息抜きは続くのさ。


【完】







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息抜きで異世界へ~金や権力に興味のない超有能冒険者のオッサンは息抜きで冒険をする~ どらいあい @driai

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