第42話 年末年越し大決戦!後編(2)
「ハッハジメさん、この太刀は!?」
ポンコツちゃんがめっちゃ驚いている、この太刀が神器だとでも分かるの?彼女に?そんなバカな。
「一目で異常な魔力を纏っていると分かる、そんな物をお前は持ってたのか?」
「ええっ少し付き合いのある方から借りてます」
「………また知らない人?」
「ええまあ」
流石にネビウス様を紹介するのは良いのだろうか?よく分からんです。
そして他にも妙な視線を向けてくる連中もちらほらと、あのナタリスって女騎士とかね。
とにもかくにもコイツを出したのなら最早負ける事は許されない、何故ならネビウス様はその辺り厳しいのだ。
これを使って逃げ帰った時はしつこくネチネチと小言を言ってくる『僕の力を借りて逃げるのが精一杯ってどうかと思うよ?』云々、敵が強いなら逃げるしかないのに言ってくるのだ。
さてっ気を取り直して本気の魔法を使うか。
「………ゴッドフォース」
僕の身体を金色なオーラが包み込む、特級の上の超級魔法による強化だ。この状態なら僕はスーパーマンよろしく空も飛べる。
「マコラ、僕が一撃でヤツを仕留める。なんとかヤツの気を引けないか?」
「…………分かった、やってみる」
「ちょちょちょっと待って下さい!えっまさかあれに真正面から喧嘩売る気ですか!?」
売る気ですよ、なんだよポンコツちゃんこっちがやる気出してるのに~~。
「勿論ですよ」
「いや勝てる訳ないでしょっ!あんな強そうなマッスルとか女騎士とか冒険者がアリみたいにやられてるんですよ!?逃げましょうよ!」
「情けない事を言わないで下さい、ここが踏ん張り所ですよパニアさん」
「え~~~う~~ん……え~~~~っ」
なんか煮え切らない態度のポンコツちゃんである、しかししばし悩んだ所でため息を一つ。
「……ハァッならあの霊峰富士大将軍、ヤツの動きを少しの間ならワタシが止められますから、その間になんとかして下さい」
「「「……………………」」」
僕は無言で『ウソついてるね?』と言う視線を向ける。その視線にポンコツちゃんはプリプリと怒り出した。
「あっ!全く信じてませんね!?いいですか?ワタシは真の実力はギリギリのギリギリまで隠しておきたい派の人間なんですよ!後しばらく動けなくなるんでワタシの護衛をリゼルさんよろしくお願いします」
「わっわかった……」
なんかあれこれと指示をし出したぞポンコツちゃん、本当にアイツをどうにかできんの?。
「むっまだ疑いの視線を感じますね、ハジメさん?」
「……何しろパニアさんですしね」
「ひっど!…まあ足引っ張りまくった過去があるのは認めましょう、しかし過去は過去です今のワタシには関係ありません」
言い切ったよ、こんな所は素直に尊敬するわ。
「分かりました、それではパニアさんを信じて突っ込みましょうか。マコラ」
「………………えっ本当に?」
「こらそこっ!信じられないって顔をしない!これで本当になんとかしたら拍手して詫びるんですよ!」
そして少し打ち合わせをする。
作戦は僕とマコラが突っ込む、そして霊峰富士大将軍がこちらに攻撃しようとしたらパニアがなんとかしてその動きを止める。
更に接近、そこで霊峰富士大将軍が反撃をしてきたらマコラがそれを防いで僕は全力でヤツを仕留める。これ作戦?ってレベルの話だけどそう決まった。
「それでは各々幸運を、行きましょう!」
「はいっ!」
「任せろ」
「………行く」
僕とマコラはあの巨人に向かって飛行して向かった。
他の連中もなんとかヤツに近づこうと頑張っている、数は向こうが多いのでまだこちらの移動には気付かれてはいない。
飛行速度を上げて更に接近。
「………気付かれた!」
「やはり甘くはないですね」
霊峰富士大将軍が刀を構える。
「うっしゃあぁあっ!このパニア様の本気を見せてやるぁあーーーっ!」
時折出て来るあの感じは一体なんなんだろうか、しかし雄叫びを上げたポンコツちゃんは懐から何やら綺麗なロザリオを取り出した。
「パーミリア=マーゼウスの名の下に!神を奇跡を巻き起こせ!どっせぇーーーーい!」
「どっせいとは何だ?」
僕が少し前に召喚したマジックアイ、あれを二人の傍に置いていた。
何やらポンコツちゃんが叫んでる、すると霊峰富士大将軍の足元にあの巨人すらも囲む程に巨大な金色の魔法陣が出現する。
その魔法陣から立ちのぼる巨大な光、その光が十字架を思わせる形となる。
中の霊峰富士大将軍は刀を持つがそれを動かせない様子だった。動きを阻害…いやっ封じる魔法か?しかしあの化け物すら完封するとは、完全に特級かもしかしたら超級ランクの魔法である。
「すっすごいぞパニア、お前はただの役立たずじゃなかったのか!?」
「誰が役立たずですか!?こちとら追放されたとはいえ故郷じゃ歴代最強の聖女だったんですよ!」
なにか分からないがリゼルさんがもの凄い驚愕の表情をしている。ポンコツちゃんは渾身の一発芸を成功させたような会心の笑みだ。
確かにこの魔法には驚いた、しかしそれ以上に解せない何かをリゼルさんは目の当たりにしてる様に思える、まるで詐欺師が詐欺を働いている現場に居合わせたような空気を感じる僕だ。
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