第36話 年末年越し大決戦!前編(3)
「なっなんだよありゃあ…」
何処かの冒険者の言葉がこの場の冒険者達の心境を代弁していた。
僕も同じだ、なんで富士山?って思ったしかも僕が知る富士山よりもかなり物騒な感じである。
戦国時代的な壁やら階段やらが富士山の登山道に代わり僕達冒険者をお迎えしている、富士山の所々には旗が立っていたりしていた。
ネビウス様、これは本気で冒険者達を迎え撃つダンジョンを創ったな?通りで死を肩代わりするアイテムなんて大盤振る舞いするわけだよ。
これは下手したら熟練の冒険者でも即死する難易度かも知れないぞ。
ギルドマスターのゴウズが大剣を抜いて先頭に立つ。そして号令をかけた。
冒険者達が次々に富士山へと突撃する、まあ階段なので一気には行けないので僕は後ろで歩きながら進むけどね。
マコラ達女子三人組も僕と同じような感じで行くようだ。
しかし当たり前だが向こう側も直ぐに反応を見せてきた。
冒険者達の動きが止まる、何事かと思いこっそりマジックアイを召喚して先頭の様子を窺う。
「あれは……武者か?」
マジックアイが捉えたのは紫色の甲冑に身を包んだ武者や足軽みたいな連中がいた。
しかし鎧の中身の見えている所が全てが真っ黒だった、墨汁を塗ってきたの訳でもない、まるで黒いガスでも身に纏っているようだ。
認識妨害の魔法か?まあそれはどうでもいい、問題なのは連中は既に武器を手にしているて言うことだ。
刀に槍に弓矢にとまさに戦国の時代の装いだ、何処かに火縄銃持ちとかいるかも知れない。
甲冑なんて見たこともない冒険者達は二の足を踏む、しかしゴウズが大剣を構えて大きな声をあげる。
「ヤツらはモンスターだ!躊躇すればやられるのはこっちだぞ!進めーーーーー!」
突撃するゴウズ。
しかしゴウズが振るった大剣は刀持ちの紫武者の一閃で大剣の刃が切り飛ばされた。
あ然とするゴウズ、紫武者はゴウズの首を切り飛ばした。
え~~~~~瞬殺!?。
やられたゴウズの身体は光となって消えた。
ネビウス様によるとあのエフェクトが肩代わりアイテムの効果が発揮された証拠らしい。
そしてあの木の板は真っ二つに割れて使い物にならなくなるらしい。
そうなるともうこの異空間の裂け目には入れなくなるので今回のゴウズの冒険は終了である。
ギルドマスターのいきなりの退場に若い冒険者達がどよめく。
「あ~あの口だけギルマスもうくたばったか」
「いやっ血も流れてねぇ、あの死を肩代わりしてくれるって聖遺物の力は本物だぞ!」
「そいつはすげぇな!あの口だけもたまには役に立った!」
「………もう少し心配してやれよ」
「え~アイツ口だけだしな…」
どうやらゴウズが歴戦の冒険者だと言う話はガセだったようだ。彼を知る多くの冒険者が『まあアイツはあんなもんだよ』と冷静に対応している。
そして戦いの口火は切られたので後は戦闘開始である。
戦闘フィールドは円形に開けたグラウンド場みたいな場所だ、屋根はなく日本的な城の白い壁に囲われた場所だ。そして奥には固く閉ざされた両開きの門が鎮座する。
あの壁の上に立たれて矢とか放たれたら冒険者はピンチである、しかしそんな事真似をする紫足軽は特にいなかった。
紫武者や槍持ちの紫足軽が前衛となり冒険者と戦っている、弓矢持ちは後ろから支援攻撃か。
しかし支援攻撃なら冒険者も負けていない、装備してる弓矢もモンスター素材の複合弓や弾を放つライトボウガンやヘヴィボウガンで応戦している。
そして倒された紫装備のモンスター達だが、何故か死体は残らずにその身体は光となって消えていく。まるで僕ら冒険者と同じあの木の板を持っている様な感じだ。
それにしても流石にダンジョンの序盤で負ける冒険者達ではない。更に魔法を使える冒険者も戦闘に参加し出して戦いはこちらの優位となる。
すると奥の門が開いた、恐らくモンスターを全滅させなくてもある程度の数を倒すと先に進めるようになる仕様なのだろう。
当然余裕のある冒険者達は更に奥へと進む、後ろで待っていた冒険者達が紫軍団に襲いかかる。
すこし待つといよいよ僕達の順番がきた。
「よぉーし、モンスターを倒してやりますよ!」
「あれはまだ様子見の雑魚モンスターだろうから力は温存しといた方がいいぞ」
「いやっあれでも普通に強いよ?新人冒険者達とか消えるから分かりづらいけど結構やられてるからね?」
僕はポンコツちゃんとリゼルさんに釘を刺しておく、連中は普通に強い、これから先に更に強化された個体が現れたら危険だ。
そんな危険な連中がこちらにも来た。
「マジックバレット!」
「………クレセントブーツ」
「蜂の巣じゃオラァアーーっ!」
「……貫け!」
僕の魔法が敵をぶっ飛ばし、マコラの蹴りが切り飛ばす。ポンコツちゃんの『アトミックボンバー』が火を噴き、リゼルさんのレイピアが紫武者の眉間を貫いた。
さてっそれじゃあ僕達も……暴れるとしますか!。
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