第28話 冬の始まり(2)
さてっアレクサンドに到着したので直ぐにイルバーンへと向かう、そして冒険者ギルドへと向かった。
冒険者ギルドに行くとギルド受付嬢のサーラさんがいたのでその受付カウンターへと向かう。
「おはようございますイルバーンに戻って来ていたんですね。ハジメさん」
「おはようございますサーラさん。はいっ戻って来ました」
しばらく日本でリーマンの仕事に集中していたので少し間を開けてしまった、まあいつもの事だ。
少しばかりサーラさんと話をする。
「ハジメさんってたまに現れたと思ったら街から消えるんですよね~」
「まあ冒険者以外にも仕事をしてるからね」
「へえ~?どんな仕事なんですか?」
「ふふっそれは秘密だよ。まあ悪いことなんてしてない事は保証するよ」
まっこんなおじさんが保証したから何だって話だけどね。
「そこは心配してませんよ、ハジメさんは冒険者としても大人としても他の冒険者に見習って欲しい所ばかりですし」
「僕なんて見習う所なんてないさ、それよりも新しいクエストって何かある?」
「そうですねぇ~今からの季節だとウィンダー地方のクエストを冒険者は受けに行くと思いますよ?」
ウィンダー地方、そこはテンバー地方とはまた様変わりする場所だ。
主に北に進んだ地方一帯をそう呼んでいて、そこはまさに冬!って感じの場所である。
本当に寒い、吹雪が吹き荒れる事も当たり前だしそんな中を平然と生きてる様々なモンスターが生息している。冬眠はどうした。
霜が降りた草原、針葉樹が生えた真っ白い森、チョモランマ?と思う程に高い山とかある地方である。
僕は寒いのは苦手だ…しかしと思出す、この前のホットコーヒーの事を。
そうっ寒いからこそウィンダー地方でゲット出来る食材を熱々の料理にして食べると最高なのだ。
よしっ決めた、ウィンダー地方に行こう。
「ウィンダー地方か。良いねそこに拠点を置いてしばらく活動するよ」
「分かりました、頑張って下さいハジメさん」
サーラさんの応援を受けて冒険者ギルドを出る、そして転移水晶がある白い寺院へと向かった。
相変わらず冒険者が沢山だ、中でも冒険者が集まっている転移水晶へ続く列に並んだ。
転移水晶を使って冒険者を次々にウィンダー地方のベースキャンプに送るのは40代くらいの短髪黒髪のおっさん神官のダネスさんである。
「ダネスさん、よろしくお願いします」
「おうっハジメか。向こうは寒いぞ?その格好で大丈夫か?」
「向こうに着いたら直ぐにストーブのある個室を借りるから大丈夫だと思いますよ?」
「そうか、ウィンダー地方も気を抜くと実力者でも死ぬ危険な場所だ。冒険は命懸け、それを忘れるなよ!」
全く以てその通りである、僕が頷くとダネスさんは転移水晶を使って僕をウィンダー地方へと転移させてくれた。
そしてウィンダー地方の転移水晶の傍に転移した、まわりを見ると雪こそ降っていないが寒い。
他の冒険者はいそいそと酒場のあるウィンダー地方支部の冒険者ギルドへと向かって行く。
僕は先に個室を押さえるか、ウィンダー地方のベースキャンプは木造建築が殆どだ。流石にテントじゃここはツラいもんね。
二階建ての宿屋へと向かう、受付のオバさんに挨拶をして部屋を借りた。
ここは少しお高めの宿だ。代わりに一人部屋はそこそこ広くでストーブが置いてある。
このストーブは何でもマジックアイテムらしく、電気や灯油ではなく魔石で熱を生み出すのだ。
たまには換気が必要なのは変わらないが部屋の暖かさが安い宿とは段違いなので僕はウィンダー地方ではここに泊まると決めている。
ストーブに入れる魔石は受付のオバさんに言えば貰える、既に貰った分をストーブの上に描かれた魔法陣の上に置くと魔石が消えた。
するとストーブのスイッチが入り直ぐに温かい風が出て来た。
「よしっこれで落ち着いてリュックサックの中の道具を整理出来るな」
何しろ久しぶりのアレクサンドだ、先ずはお手軽なクエストをこなして身体を冒険にならす必要がある。
使う道具も点検も兼ねて並べて見ないとね、まあ日本にいる時から暇があれば並べて見てるんだけど。
日本でも冬が始まった、日本じゃ県外に旅行すら行けない貧乏リーマンだけどこのウィンダー地方では冒険者として食べたいものを食べに行ける。
実に楽しみだ、冒険って心が躍るよね。
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