第3話 写真

翌日


「よし!出発しよう」

チェックアウトしたセレナは、街のパン屋に行った。

「ここかな?ホテルの人が言ってたところは」

「やあいらっしゃい」

中はまあまあ広く、種類も結構多かった。しかし、どれも見たことないパンばかり。

「やっぱ世界が違うと食べ物も違うんだね。パンという概念はあるみたいだけど」

とりあえず適当に選んで、袋に詰めてもらった。

「お嬢さん見慣れない顔だね。どこから来たんだい?」

「え⁉︎いや、その……、隣の国から仕事で来ました」

「そうかい。そんな小さなポーチで大丈夫なのか?」

「このポーチはなんでも入るんですよ。大丈夫です!」

「そうかい。じゃあ仕事頑張ってね」

袋をポーチに入れたセレナは、森の場所を教えてもらった。

「なんだかいい人ばっかだなぁ。いいなぁこの街」

彼女は街を出て、森に着いた。

「うわぁ、すごい」

色鮮やかな緑、樹木の香りや木漏れ日、川の流れる音、全てが今まで通り暮らしていってれば感じられなかったものだろう。

「ここで………いいのかな?」

早速何かの動物が見えた。セレナはさっとカメラを構えながら、少しずつ近づく。

見えた!大きなネズミだ。木の実を食べている。今がシャッターチャンスなのにも関わらず、なぜかシャッターを切らない。

「あれこれどうやって写真撮るんだっけ」

ガチャガチャと音を立ててしまったため、ネズミは逃げてしまった。

「えぇ……、ほかの動物を見つけなくちゃ」

10分ほど歩いていると、また何かいた。

さっとカメラを構えるところまではいいのだが、ここからか難しい。

そこにいたのは、大きな鳥の顔から足が生えている生き物だった。爆睡しているためか、かなり大きなモンシロチョウが頭に乗っかっても、起きることなく眠っている。

「(わぁすごい)」

説明書を片手に、シャッターを切る。

カシャッ

やっと写真を撮れた。

ピロリン

何か更新されたようだ。どうやらこの世界の地図と生物図鑑のようだ。カメラにこんな機能がついているとは、かなり高性能ではないか?

「何これ地図?こっちは図鑑か」

読んでみると、今撮った鳥のことが書いてあった。


【バードン】

和名:シロトウソクチジョウハト

分類:チジョウハト科

生活の場を地上に移した鳥。羽は退化し、長く大きなくちばし、足のみとなっている体つきが大きな特徴。


「…へぇ、なんか凄そう。とにかく動物の写真を撮らなくちゃ」

そっと後を去ると、その近くに、ゴブリンがいた。

「めちゃくちゃ悪そうな顔してるな」

カシャッ

「よし、撮れた撮れた」


【ゴブリン】

和名:コグロオニ

分類:オニ科

小柄な鬼だが、性格は鬼そのもの。行儀のよい子供にはプレゼントをあげるが、台所や家具を引っ掻き回す。


今のシャッター音で、一瞬ゴブリンに気づかれかけたが、なんとか向こうに行ってくれたようだ。

「なんだか楽しくなってきたなぁ」

セレナは森の奥へと向かった。

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