第2話 街

死神No.369は、ポーチの中を見てみた。

「うわぁひっろ!某青狸のポケットみたいな感じか」

彼女がカメラの説明書を読んでいると、誰かが声をかけてきた。

「お嬢さん。どうしたんですかこんな場所で」

どうやら勇者のようだ。

「え?ああいや、なんでもないですよ」

「何か大変なことでも?息切れしてますけど」

これは死神No.369が突然の業務命令に驚いていたからだ。

「いや、これは気にしないでください」

「お嬢さんお名前は?」

「私⁉︎」

死神No.369は、死神No.369という名前なのだが、流石にそのまま言うのはまずいだろう。

「えっと………、セレナです!はいセレナ」

「セレナさんですか。素敵なお名前ですね!僕はルーク。そしてこちらはマッキー」

ルークは肩の上に乗っていた魚のひれついた蛇を見せた。

「蛇⁉︎」

「はい。……もしかして合魚ごうぎょ類苦手ですか?」

「いえ!可愛いですね(合魚類ってなんだ?)」

「ところでお嬢さんは何故ここに?ここは凶暴なモンスターが生息しているのですよ?」

「えっと、いつのまにかここにいました笑」

「そうでしたか。じゃあ街まで送っていきますか?」

「本当ですか⁉︎ありがとうございます。私、この世界の地理あんまりわからないので」

ルークはセレナを街に案内した。残念ながら?動物には出会えなかった(この世界の住民はモンスター、セレナは動物と呼んでいる)。





街に着いたセレナは、彼にお礼を言うと、早速今日泊まる宿を探した。

「第600005823宇宙の星々とは違った街並みだなぁ」

彼女は宿を見つけた。

「チェックインはここでいいでしょうか?」

「はい。ここで大丈夫ですよ……。その緊張した感じ、もしかしてここ初めてですか?」

「あ、はい(そもそもこの世界が初めてなんですけどね)」

「この街はいいですよ。人も良くてみんな顔見知りです。お姉さんも綺麗な顔立ちですし」

「そうですか?ありがとうございます。それでは」

セレナは入室した。

「ふう、明日からどこで暮らそうか?まぁなんとかなるかなぁ?」

彼女はベッドに横たわると、窓の外を眺めた。

「わぁすごい自然がいっぱい」

これから彼女はこの世界の生態系に触れることになる。実は彼女も内心では、この世界の動物を見られることが嬉しかった。

いつのまにかもう夜に。

「……そろそろお風呂入らなきゃ……………あれ?着替えは?」

セレナはポーチの中を見てみると、なんと着替えが入っていたのだ。

「え⁉︎なんで⁉︎……ってことは上司は……」

ここでフォローしますけど!決して上司は変態ではありません!現地取材するのに必要最低限のものが、あのポーチに転送されただけです!勘違いしないように。

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