4.5日目 もし俺が…

「この絵は、3日目の女の子の事故の…」

「……」

「この絵を見て、わかったことがある」

「…何かしら」

俺は今までの絵からわかったことを桜花に伝える。

「今までの絵は全て繋がっているって言うことと、男の子と女の子のお話ってことだな」

もちろんこれは仮説だし、今後変わっていく可能性だってある。

ただ、今のところは俺の考えている通りだろう。

「…ええ。合っている」

……桜花が少し安心したような、それと同時に悲しそうな顔をしたのは気のせいだろうか?

「なぁ、桜花はなんで自分がここにいるのか知ってるのか?」

「…どうしてそんな事を聞くの?」

どうしてと言われても…

「うーん、単純に気になったのと、もし知ってるなら今やってる事と関係あるのかなって」

俺が言っている今やっていることは、俺のやるべきことを言ったり、本を渡してくれたりという、まあ俺の手助けのことだ。

「…私がここにいる理由は自分の意思。やってることも何もかも全部。…ただ1つ、自分の意思じゃないのは、全てを教えてあげることができないということ」

「……桜花は俺に『起きて』って言うだろ?じゃあ、もしも俺が『起きる』ことが出来たら桜花はどうなるんだ?」

これは単純な疑問だ。

もしも俺がここから居なくなったら、彼女はひとりぼっちになってしまうのでは無いだろうか。

それなら俺はここに残ってもいいかもしれない。

…そう思い始めている。

「安心して。あなたが起きたらここ自体が消える。だから私もここからはいなくなる」

「そうなのか。なら安心だよ」

「……あなたは」

桜花が何かを話そうとした瞬間、周りが、この部屋が光だした。

「うわっ、眩しい!」

「…もう必要なくなったってことね。きっとここにはもう来ない」

「そっか…なんかさみしいけど、まあ1歩前進ってとこか」

「そうね、それにその本。結構早く描かれてる。

…ただ私は今もひとつの絵しか見れていない」

「…それはどういうことだ?」

「そのままの意味よ。私はその本の最後しか知らない。…いや、最初しか知らないの」

「最後で最初…つまり俺からしたらこの本の最終ページか」

その時までには、俺がここにいる理由がわかるってことか。

「……そういえばさっきなんか言おうとしてたか?急に光った時」

「…いいえなんでもないわ」

「そっか」

気がつくと、いつもの場所にいた。

「今日はなんか疲れたな。もう寝るか」

「そう。おやすみなさい」

「ああ、じゃあな」

……桜花は、この場所の……この世界のことを知っている。

俺がいつか別れるなら、2人でお互いのことをはなして……

「あれ…?俺って…」

俺って誰だ?






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起きて 夜桜 @yozakularain

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